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四面楚歌的な 2


 ベッドに寝転がり泉田先生との休憩の一部始終を思い出す。

 そうなんだよね、フラれたんだよね。そしてそれを泉田先生はハルちゃんに…

 いや、良かったよ?もうずっと言えないと思っていた「好き」を伝えられるなんて、そんな事を私が出来るとは思わなかったし。けど言わなくていいじゃん!何で言うかな泉田先生。立場的に黙っておけなかったんだろうけど、私の立場も考えて欲しい。

 そしてこの3人でドライブに行って、何か楽しい事はあるんだろうか?不毛な感じだ。はぁ~~~と誰に聞かせるためでもないのにわざとらしいため息を付く。

 絶対おかしいでしょ?この3人。

 それでもだ。行きたくないかと言えば行きたいのだ。 

 泉田先生とドライブなんて本当にこの先絶対ないもん。この際ハルちゃんはいないものと思えばいいんじゃ…ハルちゃんその日に用事できないかな…そうだミノリ君に手を回して…いやでもミノリ君に言ったらミノリ君もついてきそうな気がする。



 泉田先生と二人か~~二人でドライブの想定で妄想してみよう。

 でも、塾長の奥さんが言っていた通り、私と泉田先生はどうやったって交わる事はない運命なんだろう。たぶん無人島に二人きりになったって、泉田先生は私とはどうにもならないんじゃないかと思う。ちょっとでも私の事をどうにか思っていたらハルちゃんに告られた事を話したりしないだろうし、そもそもハルちゃんから私についての相談を受けたりしないだろう。

 …泉田先生と無人島に二人きりか…いいなぁ…ちょっと無人島バージョンで妄想をこのまま深めてみようかな…でも例えば遭難した私がほぼ全裸でも泉田先生は何とも思わないかも…


 結局無人島は止めて雪深い山小屋で二人きりという妄想を始めたところでメールが来た。

 ミノリ君だ。

 件名が「今日のビイ」。

 今日のビイは青いペンキが塗られたベンチに乗ってうずくまっていた。なんとなくムッとした顔をしている。

  「昨日はお疲れ様~

   せっかく部屋で二人きりになれたのに

   邪魔が入って残念だったね~~

   ばあちゃんがりっちゃんのこと良い子だ~って言ってたよ。

   懲りずにまた来てよ。迎えに行くから。

   明日はバイトに行くからね!

   ビイもストレスがたまっているようなので

   今日はビイを連れて大学の構内をまわりました~~」

 ビイは可愛いし、ミノリ君のメールはほのぼのするが、もう私はミノリ君にメールを返さないと決めた。飲み会で私のメールの返事を人に教えた罰と、昨日のお宅訪問でも悪ふざけが過ぎていた。



 私はマキちゃんに電話する。

 「なに~~?」と眠そうな声で出たマキちゃんは言った。「電話無視ろうと思ったけど、恋愛相談だったらもったいないと思って出たんだから、他の用事だったら切るよ?」

どんな言い草だマキちゃん。

 ムッとしながらも私は泉田先生に誘われた事の次第を話す。

 泉田先生に告って振られて、それをハルちゃんに話された事は言わない。

「良かったじゃん、面白そうじゃん」マキちゃんはつまらなさそうに言った。

「泉田先生と二人で行きたい」

「ふうん」

「いや、ふうんじゃなくて」

「上目使いですんごい可愛い感じ出して『私、二人で行きたいの』って言ってみたらいいじゃん」

「そんな事出来たらもうやってます!」

「で?」

マキちゃんの合いの手はそっけない。

「マキちゃん~~、ドライブに一緒に行って欲しいんですけど…」

「え~~」

マキちゃん、あからさまに嫌がるな。信じらんない。今この人といちばん仲良いはずなのにと思ったらマキちゃんが「とか言って~~」と言う。


「…何?」嫌な感じだ。

「もうハルカせんせぇに誘われたよ」

やっぱり嫌な感じ!「…なんて?」

「泉田先生にリッチィとのドライブを設定してくれるように頼んでるけど、3人だとリッチィが気まずいと思うから一緒に来てって。結構丁寧な感じで頼まれたけど」

「…それ、なんで私が気まずいかって訳を言ってた?」

「あ~~とうとう告ったんだって?イズミィに」



 みんなか。

 みんな知ってるのか。しかもそれでいてそんな薄いリアクションかマキちゃん。

「…私が振られたの知ってんのに何でそんな普通の感じで受け答えするの?」

「いや結構驚いたって。そりゃあイズミィの事好きだって知ってたけどさ、ハルカせんせぇ出て来たから、結構すぐに押し切られてハルカせんせぇの方行っちゃうのかなって思ってたけど、なかなかそうならないから面白いよね」

「ハルちゃんにはなんて答えたの?」

「自分が告って振られたのは私に黙ってようとしてたくせに」

「ごめん。振られたのが嫌だったから」

「だよね~~」

「で?なんて答えたの?」

「だから面白そうだねって」

「違うよ!行くか行かないか、どっち答えたのかって事!」

「一緒に行くよりもね、3人で行くのを間近で尾行したいな私」

「マキちゃん!」と怒鳴ってしまった。

「行って欲しい?」とマキちゃんが聞く。

 んん~~一緒に行って欲しくて電話したけど、この4人で行って、まぁ二人は当事者だけど残り2人も私が泉田先生に振られてるのを知ってるんだよね?

 それってなんか私だけ可哀そうな感じじゃない?


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