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「これが真に検討すべきシナリオだ!!」「な、なんだってぇぇぇーーー!!!(ΩΩΩ)」

「これが真に検討すべきシナリオだ!!」

ミスタXは、第10話で刻んだドス黒い「2040」の数字の上から、血が滲むような真っ赤なチョークで巨大な矢印を書き殴った。

「な、なんだってぇぇぇーーー!!!(ΩΩΩ)」


一般人代表のミスタAは、1億5千万人しか生き残れないという非情な人口残高データに絶望し、床にへたり込んだまま叫んだ。

「検討すべきシナリオだって!? 14年後に数十億の武装難民が南半球の島へ押し寄せて、人類が血で血を洗う大狂乱の戦争(ラグナロク)を起こす。これ以上に最悪なシナリオが、まだ他にあるって言うのかよ!」


「今までの全ては前提条件の確定に過ぎないんだ」

ミスタXの冷酷な言葉の銃弾が、部室の錆びついた空気を一瞬で凍らせた。


「ぜ、前提条件の確定……だと……!?」

肉体労働者のミスタBが、額の血管を破裂せんばかりに浮き上がらせて机に身を乗り出す。

「ふざけんじゃねえぞミスタX! 世界経済が粉砕され、米中政府が核ミサイルを無力化され、途上国がエネルギー通貨で大逆転するまでのあの激動のドラマが、ただの『前置き』だったってのかよ!」


だが、床に突っ伏したままカタカタと痙攣していた頭脳労働者のミスタCが、メガネを血眼で光らせながら、這うようにして立ち上がった。その指は、ノートPCに表示された世界総生産予測パケットの「致命的なバグ」を指差していた。

「そ、そうだ……。僕たちは未来の終わり(エンドゲーム)ばかりを見て、そこに至る『プロセス』を完全に無視していた……! 14年後に滅亡が来るなら、その14年間、僕たちはただ指をくわえて石のコンテナが増えるのを待つだけなのか!? 違う、ミスタXが見据えているのは、破滅を前提とした『その先の歴史の動かし方』なんだよ!!」


「石の発電機とパワーラインバーに石の演算ユニットは手に入るようになる」

ミスタXは、不滅の石が組み込まれた回路図を黒板に叩きつけた。


「そりゃ、第8話の5万ドル設備さえあれば、世界中の町工場でそれらがゲリラ的に密造されるのは分かったよ!」ミスタAが頭を抱えて叫ぶ。「でも、それが手に入ったところで、2040年の時間切れ(タイムアウト)までに絶対量が足りない事実は変わらないだろ!」


「そしてここから第二話からやりなおすんだ!!」


「だ、第二話からやり直す……!?」

ミスタBが顎をガクガクと震わせる。

「第二話っつったら……南半球の特定隔離離島へ逃げ延びた人類が、ハイテク機械を修理できず、19世紀以前の手作業の文明へと強制退行させられるっていう、あの絶望の回じゃねえか! あれを今からやり直すって、一体どういうことだよ!」


ミスタCは突如として白目を剥き、歓喜と畏怖のあまり鼻血を吹き出しながら、凄まじい速度でノートに未知の方程式を書き殴り始めた。

「あ……頭が、歴史のタイムパラドックスをシミュレーションして爆発しそうだ……! 分かったぞ! 今までの議論で、僕たちは不滅の石(発電・送電・演算)という『未来のオーパーツのスペック』をすべて確定させた! 道具の仕様は決まったんだ! ならば、世界が滅びる2040年を待つ必要なんてハナからない! 今、この瞬間からその道具を使って、島々の生存環境を『あらかじめ最適化』し始めるんだよ!!」


【技術的・歴史的解説注釈:2026年基点における「第2話シナリオ」の反転(プロアクティブ・エスケープ)】

第2話における最大の絶望は、北半球の崩壊後に「着の身着のまま島へ逃げ込んだ人類が、サプライチェーンの途絶によってハイテク機械を失い、原始的な自給自足へと退行する」という受動的な文明崩壊でした。しかし、西暦2026年現在、まだ世界の物流、工場網、インターネットが100%機能しています。この「前提条件が確定した現在」から、オープンソース化された石の三種の神器(差熱発電・鉄芯パワーライン・セラミック演算回路)を南半球のグリーン・ドット(特定隔離離島群)へ向けて、今すぐ先行投資(プレ・ロジスティクス)として超大量に集積・敷設し始めた場合、地政学的な意味合いは180度反転します。


「どうやれば石の未来に辿り着けるのか!!」

ミスタXの絞り出すような叫びが、部室の壁を激しく震わせた。

「島にしか活路はない!!」


「だったら、今すぐ世界中の船や飛行機を使って、その島に石のブロックを運び込めばいいじゃないか!」ミスタAが狂ったように叫ぶ。「今ならまだ世界中の重機もクレーンも動いてる! 2040年が来る前に、島を完璧な要塞にすれば間に合うんだろ!」


「いや、それじゃあダメなんだ……!」

ミスタCが床を血が滲むほど指で掻き毟りながら咆哮した。

「第9話の米中政府の反応を忘れたのか!? 2026年の今、大国やエネルギーメジャーが健在なうちに、島へインフラを大量輸送しようとすれば、即座に『安全保障上の脅威』として軍事臨検され、ブロックも設備もすべて差し押さえられて独占される! 現代のインフラに頼った大規模輸送そのものが、国家という檻に捕まるブービートラップなんだよ!!」


「ではどうやれば文明再興が可能なのか!?」

ミスタXは不敵な笑みを浮かべ、黒板の「島」の文字をチョークの先端で激しく突き刺した!


「鍵は石の発電機とパワーラインバーの単独生産できることだ!!」

「「「な、なんだってぇぇぇーーー!!!(ΩΩΩ)」」」

部室に、全宇宙の真理を看破した大歓声が響き渡った。


「た、単独生産だって……!?」

ミスタBがスパナを握りしめたまま、雷に打たれたように凝固する。

「5万ドルの電気炉すら島に運ぶ必要はねえ……。島にある玄武岩の砂と、ありふれた鉄、そして人間一人の手作業だけで、最初の『1個の発電ブロック』と『1本のパワーライン』をゼロから生み出すノウハウ……それさえネットの海に放流すれば、大国の監視の目を完全にすり抜けて、島々が単独で勝手に『自己増殖』を始めるってことかよ!」


ミスタCは歓喜の涙を流しながら、白目を剥いて壁に激突した。

「現代の重機によるマクロ物流(運び込む未来)を捨て、島固有の環境資源によるミクロな単独発生(その場で生やす未来)へのシフト……! 1基の石の発電機が、島の湧き水で次の石を鋳造し、繋がったパワーラインバーがナローバンドで隣の島と知性を同期する。資本主義の流通網が届かない絶海の孤島こそが、大国の規制を最も完璧にパージした『生まれながらのサイバー・ギルド』として、2040年を待たずに今、この瞬間から裏で静かに起動を始めるんだよ!!」


ミスタXはゆっくりと腕を組み、世界地図の南太平洋を見据えた。その瞳には、国家や資本の瓦礫を飛び越え、数千年の時を超えて回り続ける「不滅の石の文明」の夜明けが、完全に、そして冷徹に映し出されていた――!

次回予告

「まずは10フィートコンテナ陸送機材だ!!」

「な、なんだってぇぇぇーーー!!!(ΩΩΩ)」

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