第19話:予想外の始まり
【お知らせ】
第2部の別作品としての投稿を見直し、今後は第1部の本編内で引き続き連載を再開することになりました。
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ミリーナは驚愕し、自分の耳を疑うように一歩後退した。瞳を大きく見開き、穏やかなキョウノの表情を見つめながら、扉に寄りかかって不審そうに問い詰めた。
「キョウノ……私を忘れたの?」
キョウノは少し申し訳なさそうに頭を下げ、どこか温かくも決定的な苦笑いを浮かべながら後頭部をかいた。
「ごめん……でも、君が誰なのか本当に分からないんだ」
その瞬間、ミリーナの緊張の糸が切れ、半狂乱になって彼に詰め寄り、壁を震わせるほどの怒鳴り声を上げた。
「私に怒ってるの!? 私が——だからって、そんな演技してるわけ!?」
彼女が言葉を言い終える前に、ラオが雷光のごとき速さで割り込み、ミリーナを強く押し倒した。地面に倒れ込んだミリーナが呆然と見上げる中、ラオは橙色に怪しく輝く瞳で、冷徹な殺気を含んだ視線を上から下へと投げかけた。一言も発することなく、彼はキョウノの手を強く握りしめ、彼女を無視して通りへ歩き出した。
街の路地を進む間、キョウノはまるで初めて世界を見る子供のように、無邪気で好奇心に満ちた行動を見せていた。あちこちへ跳ね回り、露店に並ぶ商品や珍しい品々を目を輝かせながら眺めている。だが突然、キョウノは足を止め、とても純粋な瞳でラオを見上げ、ぽつりと呟いた。
「リース……僕を置いていかないよね?」
その瞬間、ラオの身体が激しく脈打ち、足が地面に縫い付けられたように固まった。震える右手が無意識に動き、己の顔を強く鷲掴みにした。襲い来る衝撃と激しい頭痛を抑え込もうとするかのように力を込める。
キョウノは不思議そうに首を傾げ、顔を歪めるラオを見つめた。
「ど……どうしたの、ラオ?」
ラオはすぐに我を取り戻し、顔から手を外すと、深呼吸をして押し殺した声で答えた。
「なんでもない……心配するな」
二人は再び歩き出したが、ラオの脳裏には疑問が渦巻いていた。(『リース』とは誰だ? なぜその名を聞いた瞬間、全身に冷気が走り……まるで遠い昔から知っているかのような感覚に襲われたのだ?)
◇
ようやく二人は学園に到着し、門をくぐった。キョウノの額には、呪いの枷の印を隠すため、ラオが丁寧に巻き付けた太い布帯が巻かれている。
遠くの方で、特徴的な髪をした少女——ヒカリが中庭のいつものベンチに座っているのが見えた。
何の前触れもなく、キョウノは彼女に向かって全速力で走り出した。ヒカリは驚き、慌てて立ち上がって叫んだ。
「な、なに!? 急に何なの!?」
キョウノは彼女の目の前でぴたりと止まり、心からの感嘆と憧れに満ちた眼差しで見つめると、大声で叫んだ。
「好きだーーー!!」
大勢の生徒の前で突然愛を告白され、ヒカリの顔は真っ赤に染まった。彼女は狼狽しながら叫んだ。
「キ……キョウノ!? なに……なんなの急に!?」
キョウノは満面の笑みを浮かべ、自信満々に言った。
「どうして僕の名前を知ってるの? 君も僕のことが好きなの? じゃあ、結婚しよう!」
ヒカリの目から恥ずかしさと怒りの火花が散った。彼女は即座に手をキョウノへ向け、固有魔法を放った。
「『時逆行』!」
キョウノは宙で逆さまになり、数メートル吹き飛ばされて地面に転がった。ヒカリは一瞬青ざめ、罪悪感から言った。
「ご、ごめんなさい! 傷つけるつもりじゃ……!」
キョウノは阿呆っぽい笑みを浮かべながら、服の埃を払って立ち上がった。
「っ……大丈夫! それで、返事はどうかな?」
ヒカリは眉をひそめた。「返事って……なんのこと?」
キョウノは無垢な真顔で答えた。「もちろん、僕たちの結婚についてさ!」
限界を迎えたヒカリは、さらに強力な手つきで魔法を放った。
「『時逆行』!!」
倍増した衝撃波がキョウノを中庭の外、隣接する深い森林の奥深くへと吹き飛ばした。ヒカリは背後から怒鳴り散らした。
「今回は絶対に謝らないからね!!」
ラオはため息をつき、キョウノを連れ戻すために森林へと走った。数分間の捜索の後、危険など露知らず、樹木の間でリスたちと無邪気に遊んでいるキョウノを発見した。
ラオは彼の肩を掴んで言った。
「おいカイ……行くぞ。授業が始まる」
◇
二人は教室に入り、それぞれの席に着いた。
すると突然——(トントン、トン)と、軽やかで素早い足音がラオの席へと近づいてきた。
ラオが振り返ると、エイミが勝ち誇ったような嘲笑を浮かべながら背後に立っていた。
「へえ……やあ、臆病者さん?」
途端に、二人の周囲の空気は重く陰鬱なものへと変化した。エイミはさらに顔を近づけ、刺すような声で耳元で囁いた。
「聞いたわよ。侵略者どもと戦って……そのせいで腕を失ったんですって?」
ラオは話を終わらせようと冷淡に返した。
「ああ……背後を突かれて切られたんだ」
エイミは目を細め、首をかしげながら、恐怖を感じさせるほどの確信に満ちた笑みを浮かべた。
「嘘をつかないで、ラオ……あなたの腕は、そんな油断で切られるようなものじゃないわ」
(つづく)




