表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/112

第81話 連合の影

 空気が、少しだけ違った。


 同じ広場。

 同じ朝。

 同じ炊き出しの匂い。


 それでも、

 来訪者の立ち姿が、

 町の輪郭をはっきりさせていた。


---


「お久しぶりです」


 クラウス・ヴァルネンは、丁寧に一礼した。


 前回よりも、随員が一人多い。

 装いも、わずかに正式だ。


---


「本日は、契約の更新と――」


 一拍。


「提案があります」


---


 まとめ役の男が前に出る。


「提案、とは」


---


「都市連合の設立が決まりました」


 静かな声。

 だが、広場のざわめきが一瞬止まる。


---


「連合……?」


---


「はい。

 近隣六都市が、防衛と交易を一体化します」


 クラウスは巻物を広げる。


 簡潔な図。

 線で結ばれた町の名。


---


「外縁部で、小規模な衝突が発生しました」


 声は落ち着いている。


「単独では守れない。

 その判断です」


---


 広場に、微かな緊張が走る。


 戦い、という言葉は出ない。

 だが、意味は伝わる。


---


「あなた方の町にも、参加を求めます」


---


「条件は」


 まとめ役が問う。


---


「代表の固定。

 緊急時の即断権限。

 連合への責任明示」


---


 沈黙。


 “代表の固定”。


 その言葉が、空気を重くする。


---


「固定、とは」


---


「常設の代表者を置く。

 契約・防衛・物資供給の最終責任者です」


 クラウスは続ける。


「連合は、判断の速さを最優先します」


---


 視線が、自然とまとめ役へ向く。


 彼は息を飲む。


---


「うちは、分散で回しています」


 静かな返答。


---


「承知しています」


 クラウスは即答する。


「ですが、分散は平時の構造です」


---


 その言葉が、空気を刺す。


---


「有事には、中心が必要です」


---


 広場の端で、マルタが腕を組む。


「守れるのか」


 率直な問い。


---


「守れます」


 クラウスは迷わない。


「連合に入れば、防衛は共同です。

 単独より遥かに安全です」


---


「入らなければ?」


---


「交易優遇はなくなります。

 防衛支援も限定的に」


 脅しではない。

 事実の提示だ。


---


 私は、そのやり取りを見ていた。


 これは思想の話ではない。


 **現実の圧力**だ。


---


「期限は」


 まとめ役が問う。


---


「七日」


 短い。


---


 ざわめきが広がる。


 七日で、

 町の形を決めろという。


---


「考えます」


 まとめ役が言う。


---


「ええ」


 クラウスは頷く。


「ただし、次は猶予がありません」


---


 その言葉を残し、彼は去る。


---


 広場に、重い沈黙が落ちる。


---


「……どうする」


 誰かが呟く。


---


 まとめ役は答えない。


 答えられない。


---


 視線が、今度は私に向く。


 期待ではない。


 **選択を迫る視線**だ。


---


 私は前に出ない。


 ただ言う。


「連合は、強いでしょう」


 一拍。


「ただし、強さには形があります」


---


 それ以上は言わない。


---


 レオンが低く呟く。


「来たな」


---


 町は今日も壊れていない。


 だが、

 初めて“外の構造”が、

 内側に入り込んだ。


 分散か、集中か。


 選択の期限は、

 七日。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ