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選律の星環譜  作者: 刹那
20/67

評価1.0

朝。実技室の掲示板に新しい紙が二枚。ひとつは大きく、ひとつは小さい。


【掲示】評価カード1.0 本日より運用開始。

【追記】目印補修完了までの暫定措置:交代目線は影の輪でも可(E-12bと矛盾しない範囲)。


白点は——まだ薄い。けど、丸い影ははっきりしている。


「1.0、来た」ルナが短く言う。

「βからの変更点、三つ」


ミレイユ教官が白板へ。


EP-1の明記:一人一回/セッション。短く/合図付近が望ましい。


SY-肩の記録:浮いた→呼吸前倒しなど、修正手順を単語で残す。


協調の帯:休憩帯のみ+1可。運用中の声掛けは干渉−1に近い。


「四問(対象/場所/主体/時間)は枠として継続」


「了解」


—志水が短音器と記録カード1.0を配る。カードの端に小さくEP-1/SY-肩/協調のチェック欄。

見学席に楓。扉が開き、黒鐘イツキが入る。会釈は監督者へだけ。距離は、いつもどおり。



◆セットG(1.0の初動)



合図。ピッ。


胸の中にポコン……。


A:反応→当て / B:当て→反応


「A。反応から」

——赤、右。白、前。黄、左後ろ。腰だけ切ってタッチ。戻る。呼吸は四吸・二止・四吐。


三分で当て(軽い)へ。×の左上から入り、三回目で中心。合図。二拍静止。視線は影の輪。交代。


EP-1を置くかどうか——胸にポコン。


A:今、置く / B:次の交代に置く


「A。今」


「合図→止まる」

——短く。カードのEP-1に小さく✔。


イツキは姿勢→反応→当て。終盤で低く一言。

「交代=影を見る」。カードに✔が入る。


ログ(G)


正確度:逸脱0%(両者)


再現性:R-1(1.0通算)


説明可能性:EP-1達成(両者)


安全余白:SY-肩=発生なし


協調:該当なし


ミレイユが一言。

「1.0、問題なし」



◆セットH(曖昧の処理)



合図前、窓の外が少し明るくなる。影が薄く変わって、輪郭が一瞬だけ揺れた。


「目印不良→影で代用(暫定)」ルナが短く再確認。

「四問を言って」


「対象=使用者、場所=黒円上の影の縁、主体=監督者、時間=本セット」


合図。ピッ。反応→当て。途中、踵がわずかに滑る。肩が浮きかけ。


胸の中にポコン……。


A:速度を落とす / B:呼吸を前倒し


「B。呼吸前倒し」

——二吸を差し込む。肩は沈む。


合図。二拍静止。影の縁を見る。交代。


イツキは姿勢十秒のあと、反応→当て。終端前に短く

「時間の穴→静止」。


ログ(H)


正確度:逸脱0.6%(カイ)/0%(イツキ)


再現性:R-2


説明可能性:EP-1達成イツキ


安全余白:SY-肩=「浮きかけ→呼吸」✔


協調:楓→休憩帯で水を渡す(+1)


三ノ宮が確認に来て、カードの端を見て頷く。

「帯の中。+1で妥当」



◆補修(白点が帰る)



昼前。用務の人が入ってきて、白いペンで白点を塗り直す。輪っかライトの下、点はくっきり戻った。


「暫定(影)、午後は解除可」志水。


「掲示は残す」ミレイユ。

「雨天や停電でも使える置き換えとして」


(常設ではない。けど、言える。便利)



◆セットI(白点へ復帰)



午後。合図。ピッ。


胸の中にポコン……。


A:目線を白点へ戻す / B:影を続ける(検証)


「A。白点へ戻す」

——二拍静止も白点基準。反応→当て。呼吸は落ち着いている。


交代の直前、外部音が窓際でチン。E-12bの範囲。


胸の中にポコン……。


A:打ち切りまで足す / B:二拍だけ


「B。二拍だけ」

——最後の音から二拍静止。再開。テンポは保たれる。


イツキは終盤に短く「交代=床を見る」。白点を見ている。✔が入る。


ログ(I)


正確度:逸脱0.4%(カイ)/0%(イツキ)


再現性:R-4(1.0通算)


説明可能性:EP-1達成(両者)


安全余白:SY-肩発生なし


協調:該当なし



◆小事件未満(被り問題)



セットJ。合図直後、俺が「合図→止まる」と言った同時に、反対側でイツキも同じ言葉を置いた。

被った。


ミレイユが片手を上げる。

「1.0では、被りは減点ではない。ただし二人で一回と数える」


「**EP-1(個別)**は満たさない?」楓が確認。


「今回の一回は共有扱い。次のセットで個別に置き直して」


「了解」


—次の交代で、俺は短く「交代=白点」、イツキは終盤に「時間の穴→静止」。個別で回収。

チェック欄に✔が二つ増える。



◆まとめ(1.0の手触り)



夕方。カードの集計。


正確度:イツキ0%継続/カイは**最大0.6%**で収束


再現性:R-6(1.0通算)


説明可能性:EP-1は被り一回→個別回収


安全余白:SY-肩は一度だけ→修正記録


協調:+1(休憩帯)/−1は発生なし


三ノ宮が短く評する。

「1.0の線はそのまま運用可。影の暫定は掲示で維持、常設は白点。E-12bと衝突なし」


「名付け→圧縮は増やしすぎない」ミレイユが付け足す。

「言葉は短く/場所を選ぶ」


ルナが三行で締める。

「EP-1=一人一回。白点=基準。支援は帯の中」


胸の中にポコン……。


A:この学園で静かに暮らす / B:全力で勝ちにいく


「保留」

——今日は、1.0の速度で歩く。


廊下に出ると、輪っかライトの丸が二つ、足音は二人分、少し遅れて一人分。

テンポはたん、たん、たん。白点は、今度ははっきり見えた。見える。名前は、もう決まっている。

交代=白点。短く、十分。

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