はじまる
『お母さ〜ん!起こしてって言ったじゃ〜ん!!!』
葵は走って階段を降りた。
『あら、そんな事言ったっけ?』
『言ったよー!もう朝ごはんいい!遅刻しちゃうよー!』
葵はリュックを背負ってお気に入りのスニーカーを履くと家を出て行った。
『あ!バス待って!』
『(はぁ…疲れたぁ…なんとかバスには乗れたけども…こんなの酷い…始業式にこんな始末ないよ…しかもこんなのアニメとか漫画とかしか見ないし…)』
葵は携帯を開いて時間を確認する。
『(まだ時間あるかも…)』
『春江〜!おはよう!』
『あ!葵〜!おはよう!今日転校生くるらしいよ!』
『うそー!女子?男子?』
『男子だって!しかもすごいイケメンらしい〜!』
『ほんと!?やったぁぁ!私にも青春が現れる!』
葵はこの16年間恋をしたことがない。告白されたのは人生で3回ほど。だが全員自分の好みじゃないため断り続けてきた。周りからは『なんで!?あの人かっこいいのに断るとか損だよ〜』とよく言われる。だけれど全員自分のハートを撃ち抜くような人物ではない。むしろ空回りしている。
『自分の好みでありますように…』
始業式が終わり、転校生が発表される時間が来た。
『東山ー。入ってきていいぞ』
担任が扉に向かって彼を呼んだ。
出てきたのは髪の毛茶髪、ピアスをつけて制服は着崩し、くせっ毛がすごい男。まさにチャラ男だ。
『えっと、東山犬太です!みんなと仲良くしたいと思ってるからよろしく〜!!』
女子はもちろんのこと釘付けだ。顔もこのクラスの男子とは比べ物にならないくらいイケメンである。
『(超かっこいい…!私、この人好きだ!初恋!!)』
葵ももちろん釘付け。
『じゃあ、柴田の隣が空いてるな。そこに座ってくれ』
『うぃーす』
『!?』
彼が隣にきて葵は思った。
『(獣くさっ!…もしかして……いや、そんなわけない…)』
『柴田…なんて言うの?』
『え?!柴田葵です…!よろしくね〜…』
『ふーん。よろしくー!』
『(顔も犬っぽい…。聞いていいものなのか…)』
〜帰り〜
『東山くーん♡一緒にかーえーろー!』
『まってー!私と帰ろ?♡LINEも交換したいし〜』
『ずるぅい!私も交換するぅ♡』
『ごめん、俺さ柴田さんと帰りたい』
『え!?!?!?』
リュックに教材を詰めてると自分の名前が呼ばれ、さらには彼の願望により一緒に帰るという司令を受けた。
『えー柴田さんとー?』
『なんで柴田さんなの…?』
周りの女子が睨み始めた。




