悪役令嬢、女騎士に弟子入りし色々と学ぶ。
野外訓練5日目の翌朝。
カレンに弟子入りをしてから2日目。私は寝所から少し離れた近くの川で剣を構えた私はカレンによる剣術の稽古が行われ続けていた。
セリスティア「やあああああっ!!」
鞘と柄を紐で固定した剣で師匠であるカレンに振るい掛かるも、カレンは私と同じく同じく固定した私用の剣で私の攻撃を防ぐ。
カレン「振りは良いが踏み込みが甘いぞセリス!!」
そう言うとカレンは私の攻撃を防ぎながら自身の体重を込めて力一杯に私を一気に押し出す。
セリスティア「うわあああっ!!」
押し出された事により吹っ飛ばされた私はバシャッと川に尻餅を付くも、私は素早く立ち上がって再びカレンに攻撃を仕掛ける。
セリスティア「まだまだあああっ!!」
今度は一度では無く連続で打ち込み続ける!けど、技量の差なのか、カレンは素早い反応速度で私の連続での攻撃を全て剣で受け止める。
カレン「つあああっ!!」
カレンは私の次の攻撃を受け止めると同時に再び力量で私を押し出す。
カレン「どうしたセリス!こんな程度ではまだまだだぞ!!」
セリスティア「はいっ!!」
眼に諦めを感じ無いセリスティアは再び立ち上がり、連続攻撃をカレンに3度4度と繰り返し続けていく。しかし、カレンはセリスティアが同じ行為を繰り返してる事に何故か違和感を感じた。
カレン{妙だ。何故セリスは同じ行動を繰り返す?はたまた何かを狙っているのか?だが…。}
次の私の攻撃を受け止めると同時に再び力量で私を押し出す。
カレン「同じ行動を繰り返した処で勝機は無いぞ!!」
再び押し出された事により身を吹っ飛ばされた私、けどねカレン、私はただ単に同じ事を繰り返した訳じゃないのよ、それを今から貴女に教えてあげる!
セリスティア「防御技術。『受け身』!」
私は押し出された衝撃を和らげさせ、空中で倒れる状態のまま地に片足を付かせて立ち上がらせる。
カレン「何!?そうか、それが狙いか。」
セリスティア「からの〜〜〜『加速』&『突撃』ぉ!!」
2枚重ねの技術発動。先ず『加速』で自身の速度を2倍に上げさせてから、新たに得た『突撃』の技術で私の総合値、機動力の数値分だけ攻撃力に足し合わせる!!
セリスティアの現在の総合値の一部。
攻撃力:27+16=43。
機動力:28+19=47✕2=94。
私の機動力を足し加えての合計攻撃力137。このまま一気に決める!!
カレン{自分の機動力を攻撃力に足し加えて来たか。ならば私も少し本気で防がせて貰うぞ!}
セリスティア「行っけえええっ!!!」
カレンは私の最高攻撃力による突撃を剣で防ぐも、ズズズと少しだけ押し出される。
カレン{どう言う事だ?武器の歯応えが感じなっ!?}
その時、カレンはセリスティアの攻撃を見て驚愕する!自分が受け止めたのは剣ではなくセリスティアの左拳だった。しかも彼女の両手には剣を握り持っていない!なら、肝心のセリスティアの剣は一体何処に消えたのか…。
カレン「まさか、上かっ!」
カレンは目線を見上げると、其処には私の剣が空中のまま縦回転していた。
セリスティア「『跳躍』っ!!」
高く跳ぶと同時に剣を掴み取る、この一瞬の隙を私は逃さず、空中で降下しながらカレンに斬り掛かった。
セリスティア「チェェェェェストォォォ!!!」
振るい放たれる私の一撃がカレンに直撃する、かと思った。
セリスティア「あ、あれ?」
カレンは一度も使わなかった大型盾で私の一撃を完全に防いだのだった。
カレン「………驚いたよ、まさか一度に複数の技術を使って一瞬ながら私を追い込ませる何てな。本当に令嬢なのか?」
セリスティア「………。」
カレン「フッ、まあ良い、一度に複数の技術を使って私を追い込ませるとはとても良かったぞ。折角だ。褒美として私の技術をお前の身体に叩き込ませてやろうではないか!!」
あ、これ確実に不味いパターンだ。カレンの盾から物凄い力を感じた私は今直ぐにカレンから距離を取ろうとするが時既に遅し。
カレン「技術『シールドバッシュ』!!」
セリスティア「きゃあああああっ!!!」
カレンの技術によって、先程よりも思いっきり吹っ飛ばされた私はバシャッと一気に川の水の中へと落ち、そのまま大の字になって倒れ伏せた。
カレン「し、しまった!私とした事が力加減を…セリス!!」
力加減を間違えてしまったのかカレンは直ぐ様に倒れた私の元へと駆け付けるも。
カレン「セリスっ!大丈夫、か……。」
セリスティア「きゅ〜〜〜。」
案の定、どうやら私は眼をグルグルと回しながら気絶していたそうらしい。
レイラ「御二人共、朝食が出来ましたのでそろそろキリの良い所にお願い致します。」
朝食の仕度を終えたレイラがタイミング良く現れ、私達を呼び掛けると気絶した私は水の中から一気にザバッと起き上がる。
セリスティア「朝食!?」
レイラ「………その前にお嬢様はお着替えの方が先の様ですね。」
セリスティア「アハハ……先に朝食は駄目かな?」
レイラ「駄目です。お風邪を引かれたら困りますので。」
キッパリと笑顔で駄目出しするレイラ。
彼女に弟子入りしてから、私の野外訓練の難易度はイージーからハードへと繰り上がった。訓練の内容は先程の様に戦闘をメインとしているけれど、他にも総合値上昇の為の騎士団流の訓練方法が幾つか存在する。
先ず最初に機動力と回避速度、反応速度強化の為の回避訓練。内容はカレンが投げて来る石を私が左右に回避する。至近距離と遠距離によって避けるするタイミングが違ったり、時にフェイントで別方向から投げて来たりもする。
何でもカレン曰く。
カレン「戦いの最中、時に相手は予期しない所から矢を放って来たりする!」
この様に右と見せ掛けて左に石を投げ、左と見せ掛けて右に投げ、時にはド真ん中と次々と私に向けて全力で投げ。私は石が当たる寸前ギリギリながらも死に物狂いで避け続ける!!
次の訓練はと言うと私達が採取した茸の山を分別する眼利きの訓練だ。ルールは簡単、食用茸と毒茸に別々に素早く分けるだけ、無論『鑑定』の技術を使う事は禁止。何しろ手先と器用力を伸ばす為の訓練だからね。
昨日も同じ訓練したけれど、幸いながら昨日の食事に毒茸が入っていなかった事は座学の為に植物図鑑を読んで正解だったわ。
次に午後から行われる訓練は森林の近くにある山での崖登り、内容は簡単、切り立った崖を素手のみで頂上まで這い上がる。頂上に昇り終えたらカレンが既に接地したロープで下に降りてからまた頂上へと登ると言う繰り返し。
攻撃力とHPもとい体力が伸びるそう。
そして夕飯前の最後の訓練はと言うと…。
カレン「瞑想をするぞ!」
何でもカレン曰く、魔法力と魔力ことMPの最大質量を伸ばす訓練だそう。内容は言わば精神統一をしながら自身と自然と一体化。
私は現在、崖登りの訓練後、直ぐ様にカレンと共に近くの川で身を水で濡れながら瞑想をしていた。これも本人曰く…。
カレン「魔力を上げるにはより自然と一体化するのが我が騎士団流だそうだ。」
眼を瞑り、魔力を集中させながら全てを感じ取ろうとする。
大地の感触、水の冷たさ、空気の温度、風の吹く音、そして心臓の鼓動。地水炎風の4大基礎属性を基本とし人間の魔力の元である生命力を強くさせる。
今の私は川の水と一体化している状態だ。
そう言えば前世の頃もこんな体験あったっけ?中学最後の修学旅行で京都観光がてら座禅の体験学習を班の友達と一緒にやったっけ。この時の私は無心と言う概念とは無縁の学生生活を送っていたからね…。
ああそっか、これが無心の状態って事か。
カレン「セリス!おいっセリス!」
セリスティア「んっ………。」
眼を開けると、レイラとカレンが心配そうな顔をしながら私を見つめていた。
レイラ「お気付きになられたのですか!お嬢様!?」
セリスティア「へ?レイラ?カレン?」
カレン「どうしたもこうしたもじゃないぞ!先程から今日の訓練が終わった事を君に伝えようとした全く無反応だったんだ!?何しろ半時近く程、瞑想を続けてたんだからな…。」
セリスティア「そ、そうなの?」
おいおい嘘でしょ…私、誰かに呼び掛けるまで結構、瞑想に集中していたの!?
レイラ「兎にも角にも御無事で良かったです、さぁお嬢様、お夕食前に替えの服に着替えに参りましょう。これ以上この場に居れば風邪引きますので。」
セリスティア「それもそうね、じゃあまた後でねカレン。」
カレン「ああ、私は後片付けをしてから直ぐに戻るから。」
今日の訓練を終えた私はカレンと別れ、レイラと共に寝所で着替えに向かった。
………………。
1人だけ残ったカレンは川から上がると、思惑な表情をしながら川を見つめ、ある事を思い出し浮かべた。
カレン{私は驚いた……。今日の訓練を終えようとセリスに声を掛けようとした矢先、セリスの身体から魔力の波動が放出されると同時に周辺に見た事無い『波紋』を連鎖させ。身体が輝き出した。}
魔力放出状態のセリスティアの身体から光が鎧の様に身に纏われる。こんな魔力の感覚、今まで見た事が無かったとカレンは感じた。
カレン{レイラから前に聞いた事がある、セリスの産まれながらの属性体質は『炎』。あれはどう見ても炎には見えなかった。別の属性、まさかと思うがセリスは……。}
いや、そんな筈が無い、気の所為だと悟ったカレンは川を後にし森の中へと戻って行った。




