101、アマゾネスへの入国ゴタゴタ
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今日で、私が書き手デビューをしてちょうど1年になります。昨年の12月11日から投稿を始めました。今日から書き手二年生になりました〜。
これまで、インフルで1日休んだ日以外は、毎日投稿を続けることができました。これも、いつも応援してくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
今後もコツコツとお話を綴っていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
私達は、門をくぐってアマゾネスに入国した。ハロイ島に比べると随分と寒い。ミューについていくような形で、私達は城へと向かって歩いていた。
「へぇ、なんだかイメージと違うわぁ〜。あちこちに兵がいるのかと思っていたけど、普通なのねぇ」
「マリー、田舎だと思ってるんでしょ。湖上の街と比べるとほとんどが田舎よ」
「きゃはは、ローズってば、エスパーに目覚めたのぉ? うふふっ。あたしのとこは、岩山だらけのド田舎だよぉ。今度、遊びに来るよね?」
「えっ? 私が行って、無事に帰してもらえるのかしら? 食べられてしまいそうだわ」
「それは絶対にないよぉ。あたしの友達に手出ししようとするバカがいれば、ローズに触れる前にあたしが殺すもの〜」
マリーは、楽しそうにあちこちキョロキョロしながら、とても物騒な話をしていた。
(天然なのか、計算なのか……)
私がそんなことを思っていると、マリーはペロッと舌を出した。わかってて話しているのね。
でも、私はなぜ、マリーと居ても怖くないのかしら。ミューは明らかにビビっている。いつもなら女子トークに割り込んでくるのに、今日は案内役をすると言って、私達の少し前を歩いている。そういえば、寮でも、マリーはいつも、遠慮されているわね。
よく考えれば、私も同じね。この国では私は次期女王として、尊敬されている、というよりは……ただ怖れられている。私が誰にも心を開かないからか、誰も私と友になろうとはしない。生まれたときから私の世話係をしていたミューは、別だけど……。
「ローズ、あたしは友達だからね。貴重な同郷だもの」
「ちょっとマリー、また頭の中を覗いたのね」
「あはっ、また叱られちゃったわぁ」
「ほんとに、やんちゃな妹ねぇ」
「うふふっ。でもローズがパパと結婚したら、あたしは娘よぉ〜」
「ええっ? カバ……リュックさんと? ないわよ、そんなことはありえないわ」
「あたし、がんばるから〜」
「何を頑張るのよ?」
「あたし、パパはたくさんいるけど、話せるママはひとりしかいないのよぉ? 不公平じゃない」
「マリー、意味がわからないわ。普通はお母さんは一人でしょ」
「あたしは、ローズもママになってほしいの〜」
(ちょ、何を言ってるのかしら)
私が呆れ顔でマリーを見ると、彼女はニヤッと笑った。また悪だくみを考えているのね。でも、私はカバンとはそんな関係じゃないわ。
城へ到着し、ミューが門番に話をしに行った。私はそのまま構わず、城門をくぐろうとすると、なぜか静止された。
「ローズ様、少しお待ちください。同行された方の調査ができないと……」
「それは無理よ。彼女のサーチなんてできないわ」
「危険な人物を城へ案内するわけにはいきません。ただでさえ、今は非常時なのです」
「ミュー、マリーは危険かしら?」
「ええっ? そ、それをミューに聞きますぅ?」
「ふふ、貴女達、仕事に熱心なのねぇ。偉いわぁ」
マリーは、なんだかワクワクしているようだ。私がどう行動するかを試しているのだろうか。
(ほんとに、困った子ね)
私も、マリーがついてくると言ったときから、すんなりと城に入れるとは思っていなかった。
マリーが城の中にまでついてくるかは定かではなかったが、どうやら、どこまでもついてくるつもりのようだ。一応、確認しておこうかしら。
「マリー、どこまでついてくるの?」
「うふっ、ローズの知る景色を見てみたいわぁ。それに、ローズのママにも会ってみたい。きっと、あたしを探してると思うのぉ」
「ちょっと待って、マリー、さっき結界に弾かれたんだから、この国に来るのは初めてでしょ? なぜ、お母様、いえ、アマゾネスの女王がマリーを探してるのよ」
「ミューは、あたしがいる方がいいって言ったわよぉ」
(どういうこと?)
ミューの方に目を向けると、焦った顔をしている。そういえば、なぜ、私が一時帰国をすることになったのか、聞いていないわ。
「ローズ様、顔がこわいですぅ。怒らないでください〜。女王陛下が、協力者を探しているんです。条件に当てはまる人で、協力してくれそうな人は、そんなに多くはないので」
「何? マリーと事前に打ち合わせしていたの? 私だけが知らないということ?」
「ひゃー、違いますぅ。マリーさんには話してないけど、バレたんですぅ。面白そうだから行ってあげると言われたので……マリーさんの申し出を断る根性は、ミューにはありませんからぁ」
(まぁ、確かに、断るのは大変だわ)
「マリー、ミューの頭の中もすぐ覗くのねぇ」
「うふふ、だって念話を繋ぐと見えちゃうんですもの」
「覗き魔マリーね」
「やだぁ、こんなかわいい少女に、エロいあだ名をつけないでよぉ」
そう言いながらも、マリーは嬉しそうな顔をしている。
「じゃあ、勝手に覗かないでね」
「ええ〜、それは無理だわぁ。ローズなんて、覗かなくても漏れてきちゃうもの〜、うふっ」
(覗き防止の魔道具がほしいわ)
城門で、足止めされている間に、近衛兵がゾロゾロと出てきた。そして、私達の姿を見つけると、その一人がこちらへと近づいてきた。
「ローズ様、おかえりなさいませ。ご同行の方の素性を教えていただけませんか。入国の際は、ローズ様が留学先でお世話になっている寮の管理人さんだとか」
「ええ、そうよ」
「見た目で判断してはいけないのかもしれませんが、子供ですよね、10歳前後に見えます。魔族だと聞きましたが、その種族を教えていただけますか」
「ローズ様、ここはミューが、お答えします。彼女は、女王陛下が、探されている協力者ですよ。西の国境の争いを止めてくれるはずなのです」
「ミュー殿、お言葉ですが、子供ではないですか」
「ねぇ、子供だと何がいけないのぉ?」
マリーの様子が変わった。これは、気分を害しているわね。まさかとは思うが、暴れられると……きっと国が滅びるわ。
「マリー、私が話すわ」
私がそう言うと、マリーは、ぷすっと頬をふくらませた。うん、大丈夫ね。
「おまえ達、私の同行者に無礼ではないか。彼女は、女王陛下とほぼ同じくらいの時間を生きている。それを子供だと卑下するのか?」
「うっ、ローズ様、申し訳ありません」
「謝る相手が違う!」
「はっ、はい! お嬢さん、申し訳ありません」
「マリー、とりあえず、私の部屋に案内するわ。おまえ達は、道を譲りなさい!」
私が怒っていることが伝わると、近衛兵はしぶしぶ、道をあけた。
私はマリーを連れて城門をくぐった。すぐ後ろを近衛兵がついてくる。
「ローズ様、あの、同行者のサーチができなくて……」
このまま、何もわからずに通すと、下手をすると女王は、近衛兵を処分するかもしれない。でもこれ以上の足止めは無礼だわ。
私は近衛兵を無視し、城の廊下を、私は自室に向かってスタスタと歩いた。マリーは、キョロキョロしながらも、私の後ろを歩いてきた。近衛兵がついてくることから、悪目立ちしている。
私は、自室の前で立ち止まった。
「マリー、ここが私の部屋よ」
「ローズ様、あの、同行された方は……」
「マリーよ。彼女は、この国を一瞬で滅ぼす力があるわ」
私のその言葉に、近衛兵は緊張したようだった。
「ローズって、ここでは冷たいわねぇ。この人達、困ってるじゃない。あたしは、マリー。ドラゴン族の魔王の娘よぉ。ローズの友達だから、国を滅ぼすなんてことは絶対にしないわぁ。うふっ」
「ド、ドラゴン族……し、しかも、魔王の娘……。た、大変失礼いたしました」
近衛兵は敬礼をした後、慌てて走り去った。
それと入れ替わるように、爺がなんだかすごい勢いで、やってきた。
「ローズ様、あぁ、ローズ様! おかえりなさいませ」
「爺、ただいま。友達と一時帰国しただけよ」
「ローズ様にお友達ですか!! あぁ、お嬢さん、ありがとうございます。ローズ様と親しくしていただいて、うっうっ、感謝いたします。私は、ローズ様の……」
「爺、そんなことより、お茶とお菓子を用意してきて」
「あわわ、そうでした。すぐにご用意いたします」
爺は深々と頭を下げて、急ぎ足で食堂へと向かった。
「マリー、どうぞ。ミューも入る?」
「ふふっ、王女様のお部屋拝見〜」
マリーに続いて、ミューも部屋に入ってきた。
(さて、事情を聞きましょうか)




