表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/32

第8話 泣くだけ泣いたら


    幻惑の光がゆっくりと

    砂の上に落ちて溶けていく。



 その光は、白紫色の環『 記憶の太陽 』によって

もたらされたものだった。


 そして幻環は静かに悠々と空に浮かんでいる。


 その中心に沈黙する『 漆黒の球体 』はまるで

『 まだ何かを飲み込もうと、その機会をうかがっている 』かのようだった。




    砂漠の朝はいつも静かだった。

   けれどその日--


 

   いつもの毎日が大きく揺らいだ--


▼▼▼


  少年アルテナは、うっすらと目を開けた。


 木造の家の中は、『 ほこりのにおい 』がした。アルテナが目頭をつまんでぎゅっと押すと、泣き続けて腫れた目の奥がまだ熱かった。


アルテナ「あれ?俺……」


 「そっか。あの後、そのまま寝ちまった

のか……」


 体に掛かっていた布が肩からずり落ちかけて、それを少女ノエマがそっと直してくれた。


ノエマ「……?」


 「……アルテナ?おきた?」


 少女の声はいつだって夜明けの太陽みたいに眩しい。昨日もそうだ。今日だって少女の言葉は優しくて温ったかい。


 アルテナはそう感じた自分がなんだか気恥ずかしくなって、寝癖がついた髪を整えるフリをした。


アルテナ「……ん。もう……大丈夫。」


 「ノエマ、昨日はなんかその………」


 「ありがとな。」


 アルテナは、照れくささを誤魔化すように目をごしごしとこすって、『 胸の奥のざわめき 』が止んでいることに気付き、ようやく胸を撫でおろした。


▼▼▼


 すっかり身支度を済ませた二人と一匹は、互いに顔を見合わせていた。


ノエマ「木箱にあったこれ、わたしのペンダントとおなじ……?」


アルテナ「ほんとだな。似てなくもない……ような。つーか母ちゃんは、『 これ 』がなんだか知ってたって言うのか……?」


 「にしても相変わらずひっでぇ字だよなあーこの手紙……。」


 「ノエマ、良くこんなへたくそな字ィ読めたな。けど、これじゃあ……大事なことがなんにも分かんねえな……」



 するとフィリムが『 なにか 』を口にくわえたまま、アルテナの方へ とことこ近づいてくる。


 …ぽと。


 フィリムはアルテナの足元にその『 なにか 』を落とした。


アルテナ「……ん?お、フィリム?どーした?てか昨日はありがとな。あ、なんだこれ?」


 「もしかして、母ちゃんが手紙で言ってた『 おれが寝る時も手放さなかったってやつ 』か?」

 

 「なんか……『 USB 』みたいな形だな。」

「って…うおおーっ!?なんかまたきたー!!!」


 突然、少年の胸から碧い光が漏れ出した。


    ---記憶復元(コードリカバリー)---


    ---ログ更新:

    アルテナ・フォッティーゾ(www)


   --再構築率:0.27%

   -欠損記憶(ロストコード)復元完了


アルテナ「いや……お前の声ひさびさ聞いたわ!」

「ってそっこーイジんなっ!!!」


 そんな時また、フィリムのツノが

微弱に反応し--


 新たな方向を指し示し『 二人の失われた記憶 』への道がまた、新たに開かれたのだった。




▼▼▼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ