第52話 初デートコンシェルジュ
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翌朝。白馬アイウォールズに乗って、リベッラ王女とアルテナはビアンテ王国の王城へと向かっていた。
アルテナの手には白と淡いピンク色の『 カンパニュラの花束 』が握られている。
ばからっばからっ
「リベッラ……王女さあ。」
「なによ今さら!?リベッラで良いわ。」
「リベッラ……これってどこ向かってんの?」
「それは……大丈夫よ。わたしにまかせて!」
王女様はアルテナにそう言い聞かせ、真っ直ぐ道のずっと先を見つめていた。
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「ブルルル……」
「なんだ?!ここは……墓地か?」
「いいから、ついて来なさい。」
アイウォールズから下りた二人は、墓地のなかを歩いて行く。
すると立派な『 白い大理石で造られた霊廟 』の前で、リベッラ王女が立ち止まった。
「お母様………」
霊廟の門をくぐり、朝一でアルテナに市場で買って来させた花束をそっと献花台へ置き、彼女は祈った。
「リベッラ……ここって……」
………………
「ふう……よし。終わった!」
まだ春先で。
冷たい風が吹き抜ける墓地。
「なによ。ここは、
わたしの『 お母様のお墓 』よ。」
そう言った王女の視線が、ここではないどこか遠い場所を見つめているかのように、アルテナには映っていた。
「お母様はね、すっごく綺麗な人
だったのよ!ーーーーーー
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真っ白とピンク色が基調になった
王城内にある王妃の私室。
ーーーリベッラ………
「リベッラ?」
がちゃ
「はあい!お母様!……んしょっ」
ぱたん
と、背伸びをして王妃の私室の扉を閉める
リベッラ王女。
「あら?新しいドレスね。良い色ねえ……
とても似合っているわ。ふふ。なんだか
お姉さんみたいよ。」
少女リベッラは、最近体調を崩しがちだった母親
=『 キアラ・リリウム・ビアンテ王妃 』の体調
を慮って言った。
「お母様、わたし………」
「リベッラ……私は……いいえ。これからはこの子がわたしやあなた、それにお城のお世話をしてくれるわ。紹介するわね」
「ほら、遠慮しないでもっと近くへ
いらっしゃい。」
すると、窓際のカーテンの影から、見るからに年下のメガネの男の子が姿を現した。
「はっ……」
「はじめましてリベッラ王女様!……ぼくは、いえっ!私の名前は『 エスカルド・ルーチェヴェローナ 』と申します……!」
「これからはビアンテ王城の一執事として、よろしくお願いいたします!」
ぷい!
「え……?あれ??」
子どもたちの様子を見て、くすくす笑っている王妃と、そっぽをむいて頬をふくらませる王女様の二人を交互に見て、あたふたし出す少年エスカルド。
「リベッラったら、きっとやきもち焼いたのね。うふふ。」
「この子、可愛いでしょ?あなたの
『 本当の弟 』だと思ってこれからも仲良くしてあげてね。
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ーーーーーー
ばたばた………
「リベッラ様!!王女様!」
「王妃様が………」
「息を……引き取られました……」
ドンッ!
「リベッラ様?!」
だっだっだっだっ
バン!
「お母様!!」
「お母……様……?」
淡い光の中で。
整えらた寝台の上。うっすらと微笑を浮かべ、まるで眠っているように横になっているキアラ王妃。
その体は薄くなりポロポロと剥がれては消えて
いく。
すぐそばには意気消沈としたビアンテ国王が、
キアラ王妃の手を握って立っていた。
「リベッラ………キアラはよく今日まで頑張ったよ。どうか、赦してやっておくれ………」
「そんな………」
リベッラは父の言葉には目もくれず、母の顔をもう一度良く見た。
母の顔には綺麗に死に化粧が施され、生前のような美しさはそこにまだあった。
そしてすぐにまた『 リベッラ 』と呼んでくれる気がして。瞬きをした次の瞬間には、そこにはもう母のドレスしかなかった。ーー
「いやああああああ…………!!!!!!」
ビアンテ王城にいた誰もが、リベッラ王女の悲痛な叫びを聞いて同じ様に涙を流していた。
..... ..... .....
「リベッラ?」
……………
「……おいって!」
「……え?」
霊廟を後にしすでに歩き出していたリベッラ王女の顔は、涙で濡れていた。気付けば寒さでその体は震えている。
「ほら、使えよ……これ」
とアルテナがぶっきらぼうな態度で、リベッラ王女にぼろいハンカチを手渡す。
「辛れえ……んだよな……きっと。
分かんねえけど」
「……あ、ありがと。」
アルテナは彼女にそっと触れると、
涙で濡れた頬は熱く柔らかかった。
少年に触れられた彼女はそれを受け入れてーー
白い玉のような息が重なる
そして二人は
肩を寄せ合ってキスをした。
未だに癒えない傷を負った者同士の、甘酸っぱい『 二度目の口付け 』誰にも言えない二人だけの
『 秘密のデート 』。
アルテナは、誰からも見られず。誰からも祝福されず。この世界から切り離されてとうとう『 二人っきり 』になってしまったような、そんな気がした。
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