第29話 また逢えるよね
∧ ∧ ∧
アルテナ
「ノエマ……その髪……」
爆風に揺れるプラチナの髪。短くなってもその輝きは増すばかりか、もはや幻想的ですらある。
ノエマの胸は煌々と紅い光を放っている。
ノエマ
「アルテナ、わたし…………」
「もう絶対、泣かないから。」
アルテナは気付いていた。
ノエマは遺跡で変わったんだと。
しかし、自分がみつけたそれは、ノエマのほんの一部分でしかなかったことを知った。
フェイシー
「ティース……こいつなんか、さっきと雰囲気ちがうんだけど……」
ティース
「知るかよそんなことおおお!!!! もーわたくしが全員まとめて殺りますからオメエは指咥えて黙って見とけェェ!!!!!!」
ティースが細長い左腕をブンッと振る。すると黒色の激しい雷光が少女を真っ二つに引き裂こうと迫って──
ノエマ
「スキエンティア」
「ウンブリフェル」
(影を呼ぶ者よ)
その時───
ノエマの翡翠の瞳には環が浮かび上がる。
アルテナ
「え?」
「うあああ---!!!!!!」
[・・・・・・・・・・・・・]
ノエマの詠唱にアルテナの体が反応を示した。
次の瞬間ーー
碧い光が少年の全身を包む。
ノエマは『 古い龍の言葉 』を続けた。
ノエマ
「オブスクルクス!」
(闇の輝きよ!)
アルテナ
[………]
[なんだ……この……力は……]
[ノエマが……やった……のか?]
「しゃべってるひまないよ!アルテナ!」
「わたしたちを守って!」
「《《ドラコニス》》!!!」
(偉大なる全知の龍よ!!!)
[ノエマ]
[真なる観測者よ]
[我が古き友の名に誓おう]
[汝の希望]
[承知した]
アルテナを包んだ碧い光は輝きを増し、背に白銀色の翼が生えて来る。
そして、重力がなくなったように体が突然宙に浮かび上がった。
アルテナ
[うわあああ?! 俺……スキエンティア?アルテナ? だあー! もー空も飛んじゃってるし……]
[ああ!! もうワケわかんねえことだらけだけど、……やってやるぜ!!!]
龍の翼を与えられたアルテナは、白銀の両翼を大きく羽ばたいて爆風を起こし、ティースが放った黒い雷撃を相殺した。
ティース
「っはあああーーー?!?」
ノエマ
「フィリム……おいで。」
「じゃあ、今から三人でたたかうよ。
お兄さんとお姉さん。」
フェイシー
「……!? マジヤバイってティース!!!!」
ティース
「…………」
「いちいちいちいちいちいちいちいち」
「ああああ〜うざってーなー!!!!
ガキ共の分際でエェ!!」
「フェイシィィ……あなたも少しは立場を弁えてくださいよもオォオオ!!!!」
「ノエマちゃん」
「それじゃあー準備はいいですかー?」
ノエマ
「スキエンティア、アルテナ、フィリム」
「わたしたちもいくよ」
アルテナ
[おお!! ノエマこっちはいつでも良いぜ!]
フィリム
「フィーーー!!!」
ノエマが二人の顔見て頷くと、翡翠色の瞳に浮かぶ環が強く輝いて。白紫光が三人を包んでいく。
スキエンティア=アルテナの胸には『 影の環 』が浮かび上がり、フィリムはツノの光を最大限にした。
ノエマ&アルテナ&フィリム
「いい?」
[おお!!!]「フィイ!!!」
「ヌビルス!!!!!」
(朧月夜!!!!!)
次の瞬間
二人の否定者は光の渦に吸い込まれて──
ティース&フェイシー
「ぐああああああああ!!!!!!!!」
「きゃああああああああ!!!!!!!」
あっという間に、消えた。
ぐらっ
その後、ノエマは全ての力を使い果たしたようにふっと気を失い、地面に落ちる前にアルテナが抱きとめる。
はし。
アルテナ
「……ノエマ!! 大丈夫だ。もう、終わった。」
そう言って、意識のない少女を抱きかかえた
まま、少年は白目を剥いて地面に座り込んだ。
どさっ。
∧ ∧ ∧
………………
アルテナ
「………………」
フィリム
「フィー……!」
アルテナ
「……だっはあああ!!!」
「……って、あれ?!」
「フィリム?! ノエマは?」
アルテナが生き返った後、元気がないフィリムの後についていくと、幻環の白紫光の明かりの下に、ノエマの後ろ姿が見えた。
アルテナ
「ノエマーーー! おーーーい!」
ノエマが振り返った時───
【お前がその手で押さえても、それでも
夜の風になびくプラチナの髪は、星の瞬き
みたいで。】
【俺は、お前がこのまま消えていなくなっちゃう
んじゃないかって。不安に思ってたんだ。】
【その時、笑ってたの?】
【逆光の中に立つ綺麗なその姿を、
俺は今まで一日だって、忘れた日はなかったよ。】
【ノエマ……俺はずっと---
だったんだから。】
ノエマ
「え?」
「あなたは………」
「だれ───?」
宵闇に浮かび上がる幻環の中心部。
そこに浮かぶ闇色の球体の形が歪む。
次の瞬間
闇色の球体が弾けて──
一瞬でそこにいた三人を
飲み込んだ
∧ ∧ ∧




