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第22話 たからもの

 中間テストも終わり、今日から早速テストの返却が始まった。


「舞華~。さっきの英語どうだった?」


「ん~、まぁまぁかな?」


 頑張った甲斐があって午前中に帰ってきた二教科はまずまずの点数だった。

 これくらい取れれば、きっと悠くんに褒めてもらえる。そう思うと頬が緩みそうになる。


「舞華ちゃんの“まぁまぁ”は当てにならないけどね~。そんなに機嫌がいいんだから良い点だったんでしょ?」


「まぁ、それなりには」


「わたしはさっぱりだったよ~」


「翠ちゃん、英語苦手だもんね」


「英語なんて簡単なのにー」


「葵は英語だけは得意だもんね……。なんでよー?」


「なんでだろー? でも、なんとなく解るんだよね~」


「本能?」


「試験前に葵に勉強見てもらったけど、あんまりよく解らなかったんだよねー」


 そういえば放課後二人で残って勉強していたっけ。


「人のせいにしないでよ。普段からちゃんと勉強しないからでしょ」


「このままだと期末もヤバイんだよねー」


「そんなになんだ?」


「そーだ、期末のときは、舞華教えてよ。おねがい」


「わたしはクビ?」


「葵の教え方はよく解らないから」


「まぁ、時間がある時ならいいけど」


「よろしくねー」


「でも、期末と言わないで、早いうちからの方がいいんじゃない?」


「そうだね」


 わたしも日頃の勉強が大事だと思う。


「でも、そんなに勉強したくない」


 翠ちゃんはいきなりやる気のない事を言う。


「それじゃーダメだよ」


「そうそう」


「試験前にちょちょいって感じじゃダメかな?」


 さすがにそれは、ちょっと。


「ダメなんじゃないかな?」


「無理だね」


「むー」


「今のうちから少しずつやったほうがいいよ?」


「そうかなー?」


「当たり前じゃないの」


 会話をしながら悠くんの予定を思い出す。水曜日はアルバイトが入っていたハズだ。


「早速だけど、水曜日なら放課後開いてるよ。部活ない日でしょ。どう?」


「早いなー」


「バイトの日?」


「うん」


「やらなきゃダメ?」


「したほうがいいと思うけど。ギリギリだと日が合うかどうかわからないし」


「そうかー」


「あたしも数学教えてもらっていい?」


「いいよ」


「んじゃ決まりでいいかな」


「仕方ないか~」


「それじゃあ決まりね」


「でも舞華は先輩と会えない日なのに大丈夫なの?」


「あ、え~とね、先輩がね、アルバイト終わったらね、帰りにね、会いに来てくれることになったんだ~。ぇへへ~」


「そうなの? でも時間、遅いんじゃなかったの?」


「うん。だからちょっとだけになるけど、会えるから。それで平気なんだ~」


 どんなに短い時間でも、大事な大事な時間だ。


「はいはい、ご馳走様。それで案外平気そうだったんだね」


「まぁ、そのほうが平穏かもねー」


「平穏ってなによ~」


「みんなが平和ってことよ」


「そうそう」 


 なんだか変な風に納得されてしまう。


「わたしが悪いって事?」


「その通りだけど」


「え~」


 なんか納得できない。


「先輩がいないと舞華ちゃん、いろいろ酷いじゃないの」


「いや、まぁ……」


 それを言われてしまうと、そうなんだけど。


「だから平穏ってこと」


「むぅ……。酷いって、そんなに?」


「そんなに、だね」


「酷いよ。うん」


 それじゃぁ、しょうがないのかな?

 

 でも、酷いって言い方も酷いんじゃないだろうか。



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