Ep.30 愛の爆発(物理)
・ 共犯者リリィの反応:「友情」か「イタズラ」か
カイルがリリィに
「レオンにアヒル爆弾を仕掛けないか?」
と持ちかけると、彼女は一瞬だけ、フラスコを振る手を止めて考え込みました。
1. リリィの葛藤(0.5秒):
「えっ、レオンに? ……あの子、真面目だから泣いちゃうかも……」
2. リリィの決断(即答):
「……なーんてね! 面白そう!! レオンの頭から花火が上がって、アヒルに埋もれる姿、想像しただけでお腹痛いわ! 友情よりも『傑作』を優先するわよ、カイル!」
どうやらリリィにとって、レオンとの仲の良さは「イタズラをしない理由」ではなく、「反応が確実に分かっていて面白い標的」という理由になったようです。
・ 対レオン専用:『聖勇者のアヒル・パレード』
レオンはガイアスと違い、非常に素直で反射神経が良いです。そのため、少し工夫が必要です。
* 改良案:『修行の後の罠』
レオンが修行を終えて「爽やか」に汗を拭く時、そのタオルに「くしゃみ粉(花火連動型)」を仕込みます。
・ カイルの「決断」
「……リリィ、レオンへの『愛してる』は、きっとガイアスよりも破壊力が高いよね」
リリィに「レオンに『愛してる』って言わせる」という提案をした瞬間、部屋の空気が一変しました。
・ 共犯者リリィの「大爆発」:顔面メテオ
1. リリィの反応:
「えっ……!? ……な、ななな、何言ってるのよカイル!! 私が、レオンに!? そんな、そんなわけないでしょ!!」
今までノリノリでアヒル爆弾を作っていたリリィが、一瞬で自分の髪の毛と同じくらい真っ赤になり、持っていたフラスコを危うく落としそうになりました。
2. 理論の崩壊:
「それは……その、イタズラの……一環としてよね? ……でも、そんなの……魔法の詠唱より難しいわよ!!」
どうやらリリィにとって、レオンは「アヒルまみれにする」のはOKでも、「愛を囁く」のは最大級の禁忌だったようです。
【現在のカイルのステータス】
* 状態: 「最高に面白い見世物を見つけた顔」
* 特性: 『恋のキューピッド(?)』(矢の代わりにアヒルを飛ばそうとしています)
・ 作戦:『強制・愛のパレード』
あなたは動揺するリリィをなだめつつ、さらに悪魔的な追加ルールを提案しました。
* 仕掛け:
リリィがレオンに「愛してる」と言った瞬間、レオンの頭上で「特大の虹色花火」が上がり、二人の周りを「ピンク色のアヒル」がハートを描いて増殖する。
* カイルの狙い:
「ほら、リリィ。レオンがアヒルに埋もれて困ってる時に、君がそれを言えば『魔法の解除キー』っぽくて自然じゃないか(大嘘)」
・ 現場:中庭で剣を振るレオン
「えいっ! ……ふぅ、……今日もいい汗をかいたなぁ」
何も知らない、純粋無垢な現勇者レオンが、中庭で爽やかに汗を拭いています。彼の首元には、すでにあなたが仕込んだ「コショウ香水」が微かに香っています。
1. 第一段階:
「……ハ、ハックショイ!! ……わぁっ!? 頭から火花が!! ……グワッ! グワグワッ!!」
予定通り、レオンがアヒルと花火の地獄に飲み込まれました。
2. 第二段階(リリィの投入):
あなたは物陰から、顔を真っ赤にしたリリィの背中をグイッと押しました。
「……ほら、リリィ! 今だ! 解除パスワード(愛してる)を言うんだ!!」
・ 運命の「一言」
アヒルに埋もれてパニックになっているレオンの前で、リリィが震える声で叫びます。
「……も、もう!! レオンのバカ!! ……あ、愛してるわよ、このドヘボ勇者ぁぁぁ!!!」
ドドォォォォォンッ!! (空に巨大なハート型の虹色花火)
「グワァァァァァッ!!♡」(ピンクのアヒルたちが一斉に二人を囲む)
1. レオンの硬直:
「…………えっ?」
アヒルを抱えたまま、レオンが完全に石化しました。耳まで真っ赤です。
2. カイルの心境:
(……あはは! ガイアスの時より面白い! これだよ、これこそが『平和な日常』の極致だね!!)
「お幸せにーーー!! 二人とも、結婚式のアヒル担当は任せてよ!!」
カイルは中庭に響き渡るような特大の声で叫ぶと、ピンク色のアヒルの海に溺れながら石化しているレオンと、蒸気が出そうなほど真っ赤になって震えているリリィを置き去りにして、脱兎のごとく駆け出しました!
・ 全力逃走:『愛の爆発(物理)』からの離脱
1. カイルの逃走:
「あはははは! 見たかい、あの二人の顔! 魔法の暴発より凄まじい威力だったよ!!」
カイルは廊下を爆走しながら、腹筋がちぎれそうなほど笑い転げています。Lv 1の肺活量をフルに使った、命がけのジョークの完成です。
2. 背後からの「轟音」:
「……カ、……カイルぅぅぅぅぅ!!!! 許さない!! 絶対に許さないんだからぁぁぁ!!」
リリィの絶叫と共に、背後でドォォォォン!!と本物の爆発音が響きました。恥ずかしさのあまり魔力が暴走したのか、中庭がピンク色のアヒルと火柱でカオスなことになっています。
【現在のカイルのステータス】
* HP: 20 / 20
* 状態: 「笑いすぎて息ができない」
* 特性: 『最凶の仲人(無免許)』(一組の男女を、物理的にも精神的にも爆発させました)
・ 避難所:魔王ガイアスの背中
あなたは逃げ込んだ先で、廊下の掃除をしていた(まだ少し落書きが残っている)ガイアスの後ろに隠れました。
1. ガイアスの困惑:
「……おい、今度はなんだ。……中庭で爆発音がしたが……。……カイル、テメェ、また何を……」
2. カイルの密告:
「ガイアス、大変だよ! リリィがレオンに『愛してる』って叫んで、中庭をピンクのアヒルで埋め尽くしたんだ! 青春だねぇ!!」
3. 魔王の戦慄:
「…………はぁ!? ……リリィが、あのヘボ勇者に……!? ……おい、……マジかよ。……世界が終わるのか?」
ガイアスも衝撃の事実に、持っていたバケツを落としそうになっています。
・嵐のあとの「夕暮れ」
夕飯の時、食卓には気まずすぎる沈黙が流れていました。
レオンは一言も喋らずにスープを見つめ、リリィはスプーンを握りしめたまま真っ赤で固まっています。
「……ねぇ、レオン。……花火、綺麗だったよね?」
あなたがニヤニヤしながら追い打ちをかけようとしたその時……。
1. 聖女の「お仕置き」:
セシリアが、一番穏やかな笑顔で、あなたの皿をそっと下げました。
「……カイル様。……中庭のアヒル一万匹の回収が終わるまで、……今夜は『抜き』ですよ?」
2. ガイアスの「加勢」:
「……おう、賛成だ。……ついでに、そのニヤついたツラもアヒルで埋めてやれ」
【現在の心境】
(……ふふ。いいんだ。……あの二人のあんなに面白い顔が見れたんだから、……一晩くらい、……グワッ!!)
カイルは中庭を埋め尽くす「ピンク色の一万匹のアヒル」を一つずつ籠に放り込んでいます。
セシリアに夕食を抜きにされ、ガイアスには「自業自得だ」と鼻で笑われ、さらには当のレオンとリリィからは(顔を真っ赤にしたまま)凄まじい殺気を向けられているというのに……あなたの口元は、どうしてもニヤニヤが止まりません。
・ アヒル回収任務:『ニヤつきの代償』
1. 回収の風景:
一歩踏むごとに「グワッ!」「グワワッ!」と鳴り響く中庭。一万匹の波は想像以上に手ごわく、拾っても拾ってもピンクの海が広がっています。
2. カイルの独り言:
「……ふふ。……あの時のリリィの『愛してるわよ!』って叫び、……最高だったなぁ。……レオンのあの、魂が抜けたようなマヌケなツラといったら……!」
思い出しては肩を揺らして笑うため、なかなか作業が進みません。
3. 窓からの視線:
2階の窓からは、まだ顔の赤みが引かないリリィが、杖を握りしめてあなたを睨んでいます。
「……カイルのバカ! 一生そこでアヒルと寝てなさい!!」
【現在のカイルのステータス】
* HP: 10 / 20(空腹による低下)
* 状態: 「空腹だが精神的充足感MAX」
* 特性: 『確信犯の家主』(一晩の食事抜きなど、あの傑作シーンの対価としては安すぎると考えています)
・ 闇に響く「グワッ」
夜も更け、ようやく九千匹目を回収した頃。背後にガイアスが、不器用に大きな皿を持って現れました。
「……けっ。……いつまでやってやがる、このマヌケ」
1. 魔王の差し入れ:
ガイアスが差し出したのは、セシリアに内緒で持ってきたらしい「冷めた肉の切れ端とパン」でした。
「……ほら、食え。……餓死されたら、残りの千匹を俺が拾うハメになるからな」
2. ガイアスの本音:
「……だが、……まぁ。……あのアホ勇者どものあんな顔、……俺も初めて見たぜ。……グフッ……」
強面を崩し、ガイアスもまた、カイルと一緒に「ぷぷっ」と肩を震わせ始めました。
・ 翌朝の「光」
翌朝、屋敷の玄関には、一万匹のアヒルが整然と積まれた籠の山と、その横でアヒルを枕にして爆睡しているカイルの姿がありました。
そして、気まずそうに朝の散歩に出かけようとするレオンと寝ぼけ眼なリリィが、それを見て再び爆発四散したことは言うまでもありません。
【現在の心境】
(……ああ、やっぱり「イタズラ」は、人と人を繋ぐ最高の魔法だね)




