表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繭のほころび  作者: 変汁
20/22

②⓪

何人かは繋がらなかった。


けど諦めず手当たり次第にかけた最後の最後に会社の後輩と繋がった。


美香は腫れた唇の痛みを堪えながら助けを求めた。



だが、雑音が酷いのか、相手の声が全く聞き取れなかった。


美香はスマホ向かって更に助けを求めた後、電話を切った。


こちらの声が後輩に届いている事だけを祈り、美香は身体を起こしトイレへ向かった。


この時ばかりは裸で良かったと思った。


糸のせいであそこは拭く事は出来ないが、衣服を着ていればこのように簡単に用はたせやしない。


用を足している最中、お腹が鳴り、空腹を覚えたが何かを作るのも大変な作業になるのは目に見えていた。


食べるとしたらもう野犬のように食物に齧り付くしか無い。


無様だなと思った。何故、自分がこのような目に遭うのか知らないが、せめて5体は自由でありたかった。


トイレから出てとりあえず足で冷蔵庫を開けた。


ソーセージやトマト、キャベツなどがある事を確かめて、両足を使ってトマトを取り出した。


下手に手を使うと冷蔵庫に糸がくっつき取れなくなる事を恐れたのだ。


美香はそのまま胡座を組み、左手の指先でトマトを拾い上げた。


それを糸のせいでL字型になっている右手と刃先が自分へ向けられている包丁が当たらないように、トマトを口に運んだ。


腫れた唇の痛みを堪えながら食べるトマトはとても美味しいとは思えなかった。


それに丸齧りだから、お腹や膝に果汁が垂れてしまう。


ベタついたが我慢した。


丸ごと食べ終えても空腹は治らなかった。


けど、ただ食べる事こんなにも神経を使う事に美香は消耗してしまい新たに何かを口にする元気など、失われてしまっていた。


あとは、誰かが尋ねてくるか、連絡が来る事を期待するしかない。


美香は玄関の鍵だけ開けて、再びベッドへと戻って行った。


毎日、ほとんど物を口にせず、4日が過ぎた。


水分は補給していたが、その水分さえ口にするのも億劫になって来ていた。


唇の腫れは少し引いたが、全体的に肌は荒れ始めだしていた。


見た目ではわからないが少し身体が軽くなった気がする。


その4日間、訪問者は勿論、誰からも連絡は来なかった。


今の私は無断欠勤状態なのに、誰も何も思わないのか。あり得ないと思った。



あーこのままだと確実に死んじゃうな。


そう思った時、自分の身体の一部が変だと思った。


その異変に気づいたのはまともな食事も取れていないのに、お腹が痛くなったのだった。


元々、便秘気味な美香ではあったが、便秘薬を使用した時に感じる微細な痛みがお腹の一部ではなく、あらゆる箇所で感じられた。


トイレに立ったその時、美香ははっきりとその異変に気がついた。


今の自分のお腹は栄養失調の人のように下腹部だけが、異常なほど出っ張っていた。


「何これ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ