全てが始まった場所
「おや、あいつの反応が弱くなったな……ということは、この聖堂にも誰かが侵入してきたということか」
万が一に備えて村人たちにも聖堂に近づけないように言ってはあった。
だが、村人たちの包囲網を突破して中に入って来た者がいるようだ。
そして、念のために配置しておいた神官を倒しているようなのでそこから推測すると、今回派遣された憲兵は相当厄介な相手らしい。
外の村にも配置した他の神官の反応も動きが激しいので、中に入った者以外にも腕の立つ者がいるとすると精鋭かそれともまさか九十九武器使いがいるのかと考えてしまう。しかしどの道それらの場所も突破されるのも時間の問題だろう。
だが、もう少しですべてが報われる。
それだけの準備はもう終えている。
今までの不当な思いもすべて精算できる。
本当に長い時間があったがすべてこの日の為にあったのだと思うと最早その疲れは吹き飛んだ。
これで国に大手を振って帰ることが出来る。
国賊とも呼ばれた私が英雄として国に凱旋出来る可能性を秘めているそれは今も足元で光っており、少しずつ夢を叶えるその召喚術を終えるまでの時間までは秒読みまで近づいて来ていた。
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私はあの後聖堂の奥にある部屋に入れられた。一応私はあの教皇にとって大事な存在らしい。その為今は一人で死ぬ事が出来ないように術もかけられている。
そして先ほどから外から普段にはない音がする。
きっと外で何かが起こっているに違いない。
そういえば、今日は王国から誰かが来るって言っていたな。
どうせなら、もう少し早く来てくれていれば良かったのに。
私がユウトを召喚する前よりも、もっと前に。
そうすれば、村のみんなも苦しむことはなかった。
そしてユウトも死ぬことはなかったのに。
だから出来ることなら今からでも多くの人が助かってほしい。
でもそれは難しいだろう。
それほど、私はあの教皇の事を恐れている。
それに私もこれから自分で無くなりどこで死ぬか分からないだろうから。
もう気にすることはない。この村を出ていけば私を知る人間なんていないから。
それにこれは悪いことをした私に神様が罰を与えたのだから。
この罰を受けたらそれで全て許してほしいといういのは私の我儘かもしれない。
でもそうじゃなきゃ私はユウトに会えないと思っている。
そして全部終わった後にユウトに謝りに行けたらいいな……。
この時、エアリスは自分の瞳から流れた涙が頬を伝わるのが分からなかった。
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俺は敵がどこかに潜んでいるかもしれないということを頭から離さないようしながら捜索していたが、一瞬その事を忘れるほど探し続けていた。
そして、先に見つけた部屋は中央奥につながる部屋。そしてさらに下に向かう階段があり、あの部屋には見覚えがある。その部屋は俺がこの世界に召喚された部屋である。
ということは、あそこに何かがあると思い、扉を開けるとそこには、知った姿と二つの頭を持つ大蛇がいた。
「なっ……」
「おや、誰かと思えば懐かしい顔だな。でもお前は死んだはずだが?」
ユウトが目の前にいる奴が何者なのかを疑っていると、それを察したのか、
「ああそうだった、お前は私の顔を知らなかったな。私がエアリスを使ってお前を召喚させた教皇だよ」
その言葉にユウトはいろいろと言いたい事があったが、まず確かめたいことを聞いた。
「エアリスはどこにいる?」
「エアリス?ああ、エアリスは今大事に私の元で管理しているよ。今となっては、用途は違うがお前よりも大事な存在だからな。そしていらないお前はここで私に仕留められるからな」
「俺もお前を倒すために来たんだよ!」
俺は剣を構えるとその殺気に触れたのか、教皇の後ろにいた大蛇が動き出しユウトに向かって噛みついて来る。
しかし、ユウトはその攻撃を避けると大蛇は壁にそのままの勢いで突撃する。
そして衝突したところを見てみると大蛇が衝突したところは一部が溶けていた。
「あっぶねぇ、それにしてもあの蛇すげぇ早いな」
大蛇はユウトを仕留め切れなかったことを確認し、舌を出しながら方向を変えそして、すぐにまたユウトに向かって突撃する。だが、別にかわすことが出来ない攻撃ではない。
しかし、ユウトの敵はこの大蛇の他にもいる。
「ほら隙だらけだぞ!」
ユウトの背後に移動していた教皇は背後からユウトを切りかかるが、ユウトは剣ですぐに応戦する。
「なかなかやるな。いなくなってから何をしていた?」
「お前に言う必要はねぇよ」
その後も互いの剣がぶつかり合い、お互い一歩も譲らない剣戟が続いた。




