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現実


 (かご)いっぱいに、シロハナソウを()んだユウト達は無事ギルドへ帰還(きかん)した。


 ギルドの受付さんに今回の依頼の報告をして報酬(ほうしゅう)を受け取りエアリスに渡す。

 

 残念ながらここでの報酬は一切(いっさい)ユウトに入ることは無い。


 エアリスの話によるとすべて教皇に渡されるのだという。

 

 しかし、それを聞いたからといってユウトは特に思うことは無かった。それよりも今日はもういろいろと疲れてしまったので、早く村に帰りたい気持ちでいっぱいであった。そして今はエアリスとゆっくり村へと戻る道を話しながら歩いている。


 「今日は初めての依頼が上手く出来てよかったな」


 「うん、そうだね。教皇様も言っていたけど、これからユウトには依頼を受けてもらわないといけないから頑張ってね」


 「なるべく頑張るよ」

 

 今日はモンスターに出会わなくて良かったけど、どこで遭遇(そうぐう)するか分からないからな。

 

 それに聖剣がもっと使えればいいけど今のところ使えそうな見込みは無いから槍で戦うことになるが、それも自信はない。

 

 考えれば、考える程悩ましくなりしまいには嫌になってきたところでとあることを思い出す。

 

 聖剣といえば、あの時もらった銀貨を今度街で使って遊ぶことは出来ないか。

 

 あの時副賞としてもらった銀貨十枚は結構な大金(たいきん)らしいし、その半分はユウトの手元(てもと)にある。それだけあれば、それなりにこの世界ならではの楽しみを楽しめるに違いない。

 

 それにエアリスにも半分渡したから一緒にどこか行けるかもしれない。


 「なぁエアリス。昨日あげた銀貨の使い道は何か決まったか?」


 「……決まったわよ」


 「あれか街で何か欲しいものあったのか?」


 「昨日すべて教皇様に差し上げたわ」


 「えっ……」

 

 ユウトはショックのあまり思わず歩くのを止めてしまう。


 「確かに、銀貨をもらった時は何に使うかいろいろ悩んでいたわ。だから、あの後教皇様にどうすればいいか相談(そうだん)したら、すべて(いただ)いてくれることになったのよ!教皇様も喜んでくれたみたいだし、これも全部ユウトのおかげね!」


 笑顔でユウトに向かって言っているが、ユウトはエアリスの言っていることが分からなかった。というよりも分かりたくなかったのだ。


 教皇に差し上げた?あれ程何に使うか喜んでいたのに?


 「……なぁ、エアリス?教皇ってどんな奴なんだ?」


 「ユウト。様をつけないとだめよ。教皇様は素晴(すば)らしい人なのよ」


 「そうかそれは分かったよ。気をつける。でさ、素晴らしいって何が素晴らしいんだよ‼俺には何が素晴らしいのか分からねぇよ‼」


 「いいから、それ以上はいいの。私なんかに分からない、素晴らしい方なのよ。」


 「一発ぶん(なぐ)りたいから、合わせてもらえないか?」

 

 疲れていたこともあり急に頭に込み上げてくるものを抑えられず、言ってしまったことの重大(じゅうだい)さにユウトが気づいた時には、最早(もはや)遅かった。


 「ユウト‼、あなたでも、教皇様を愚弄(ぐろう)するのは許さないわよ!それに私だってユウトが折角(せっかく)手に入れた銀貨を教皇様に渡していいのか悩んでいたけど、やっぱり教皇様の言う通りなのね。ユウトはまだ教皇様がどれだけ偉大(いだい)な方なのか分かっていない本当に残念な人ね」

 

 エアリスの軽蔑(けいべつ)するような一言にユウトは反射的(はんしゃてき)に反応する。


 「おかしいのはエアリスだろ!」


 「ユウト、少し黙りなさい!」

 

 ユウトは先ほどとは違う今までにエアリスから聞いたことない冷たい声に(おどろ)くのと同時に首元(くびもと)が閉まり、何も言えなくなる。

 

 そしてエアリスが言っていることは絶対に間違っているのに何も反論(はんろん)できない。


 むしろエアリスの言っていることが正しく思えるように脳が書き換えられているような感覚に(おそ)われる。

 

 そして首の締まりがきつくそのあまりの苦しさにユウトは膝から崩れこのままではまずいと思い、言いたくも無いが、


 「分かった!もう言わない。教皇様のことはもう悪く言わないよ!」

 

 締まる喉元(のどもと)から(しぼ)り出すように言ったユウトのその言葉を聞いたエアリスは、


 「本当に?」


 「本当の本当だ!」


 そう言うと同時に首の締め付けが緩み普段通り呼吸が出来ようになった。


 「分かればいいのよ。さぁ帰りましょう」

 

 そしてエアリスは何事もなかったようにユウトに向かって手を差し伸べる。

 

 ユウトはその手を借りて立ち上がるとエアリスはまた歩き出す。

 

 ユウトも置いて行かれないように小走(こばし)りですぐにエアリスに追いついたが、内心はこの言い表すことのできない感情を抑えつつその後は一緒に歩き始めた。

 

 その後は村に帰って来てからすぐにエアリスはいつもの教皇のところへと向かった。

 

 残されたユウトは現在家で槍を(みが)きながら今日の出来事(できごと)を振り返ってみた。

 

 今日は早速(さっそく)教皇の命令(めいれい)で依頼を受けることになった。

 

 結局モンスターは現れなかったが、もし遭遇(そうぐう)していたらどうなっていたのかは想像するのは容易(たやす)い。

 

 そしてエアリスは教皇の事であの(よう)になった。

 

 そうすると現在の問題は教皇だ。


 出会った時からよく分からない奴だったが現在では俺の障害(しょうがい)となっているのは確かだ。


 このままだと明日からまた何を追加されるか分かったものでは無いし、また教皇絡みでエリアスと言い争いをしたくないなど考えているといろいろモヤモヤしてくる。


 「よし!やっぱり行くとするか!」

 

 分からないことは聞くのが一番だ。


 ユウトは時間があるうちに村の住人(じゅうにん)に会ってみることにした。


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