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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
最終章 見果てぬ夢
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エルフの女の子

ついに最終章です。

宿の食堂に戻るとカイとレイチェルが走り寄ってきた。


「お帰りなさいませサハラ様。ルースミア様。ご無事なようでなによりです」

「サハラ7日も帰ってこないでどうしたの?あれ?その子は?」


レイチェルがエルフの女の子に気がついた。

俺が女の子の事を話すとカイとレイチェルが神妙な面持ちになった。

カイがレイチェルに女の子を綺麗にしてあげてくださいと言って、俺たちの前から女の子を遠ざけるようにした。

レイチェルも意図が分かったのかすぐに連れて行った。



ヴァリュームがガウシアン軍に占領された翌日にスラムで一斉に働けそうな男女を連れて行ったんだそうだ。

ヴィロームなどに移して働かせる労力にされるらしい。女の子の母親は家に置いてきているときに、そのまま連れて行かれてしまったのだろうという事だった。

俺がガウシアン軍に言えば何とかなるんじゃないかと言ったが、カイは首を振って諦めるしかないと言われてしまった。

そしてこれが戦争であり、負けた国では仕方のない事なのだと。

じゃあどうしたらいいんだと言えば、奴隷商人に売る他ないという残酷な言葉がカイのくちから返ってきた。


「そんな事俺には出来ない。そうだ!ここでお願いして手伝いとして雇って貰えば良いじゃないか」


しかし帰ってきた言葉はいつの間にか来ていた宿屋の主人の無情な言葉だった。


「ヴァリュームは今後しばらく冒険者ギルドの活動の中止を命じられました。

ガウシアン王国となった旧レドナクセラ帝国のあちこちの町の安全作りに力を注がせるそうです。

そうなると、しばらくヴァリュームは行商人以外はほとんど来なくなり、宿屋もお客様がほとんど入らなくなるんです。

なので人を面倒見る余裕はなくなります」


俺は改めて敗戦の悲惨さを感じる事になった。


「分かった、なら俺が養う。関わってしまった以上あんな小さな子を奴隷商人に渡すなんて俺には出来ない」


カイはその言葉を聞くと嬉しそうにしている顔が一瞬見えた。さっきのはワザと言ったのか。



しばらくしてレイチェルが女の子を連れて戻ってきた。汚れていた服は綺麗なものに変わっていた。レイチェルのお下がりだそうだ。

そして体も綺麗に拭かれたようで綺麗な金髪と白い肌になっていた。


「サハラ、セーラムの目見えなかったのね。愛と美の神さまにお願いしたら治してくれたわ」

「お姉ちゃんが目を治してくれたの。パパ、綺麗になった?」


クルクル回って嬉しそうに言うが、俺はパパじゃねぇ!それにこんな小さな女の子、相手した事がないからどう接して良いか分からんぞ。ん?セーラム?


「セーラムって、その子の名前?」

「うん、サハラってば名前も聞いてないんだもの。年齢は10歳ですって」


セーラムと言うそのエルフの女の子は俺の感想を待つかのようにジッとエメラルドグリーンの目で見てくる。


「うん、綺麗になって可愛くなったよ」


そう言ってやるとうわ〜いと嬉しそうに喜んでいて、俺のエルフの理想像と違って、セーラムはごくごく普通の何処にでもいる女の子だった。

そしてそんな女の子に辛い選択をしてもらわなければいけなかった。


「セーラムはこれからどうするの?」

「ママを探すの」

「…セーラム、多分もうママには会えないかもしれないんだよ」

「えー!ヤダヤダ!ママに会いたい!」


参ったな。こういう時ってどうしたら良いんだよと思ったら、カイが私に任せてくださいと言ってきた。

どうやら奴隷商人の所で売られる前に経験があるらしかった。カイにお願いし部屋へ連れて行ってもらった。


俺たちは食堂で今後どうするか話をする事になるが、何しろあんな小さな女の子を連れて旅は出来ない。

何しろ冒険者証が発行されるのが15歳からで、それが無いと町へ入るのも大変になる。

加えてガウシアン王国になって、今まで通りかもわからない。


しばらくするとカイとセーラムが食堂にやってきた。

セーラムは泣き腫らした顔をしていて、食堂に来るなり俺にしがみついてきた。


「何とか分かってもらえたようです」

「セーラム、良い子にしてるからパパと一緒にいさせて」


おおう、すっかりパパになってしまった。俺まだ27歳だよ。抵抗はあったが母親と別れ離れになったばかりだし仕方ないか。もう少し大きくなれば分かってくれるだろう。


「分かった。セーラムは俺と…俺たちと一緒にいよう」

「うん」


ふと気がつけば俺はセーラムの頭を撫でていた。



その日の夜、俺のベッドに一緒に寝ようと入り込んできたセーラムをルースミアとカイに押し止められセーラムはレイチェルと一緒に寝る事になり一安心した。



明日はギャレット達の処刑の日か…

何でなんだ。別に戦ったわけでもなく降伏したんじゃないか。

なんで処刑されなきゃいけないんだよ。



読んでいただきありがとうございます。


次回更新は明日2度行います。

1回目は本日中か明日の昼までに、2度目は17時を予定してます。



ついに最終章になりました。

最終章の後にエピローグをやったら、凡人の異世界転移物語は完結です。


それでは

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