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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第五章 レドナクセラ帝国の崩壊
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ラビリンス

バルロッサが帰ろうとした俺に謝ってきた。


「何がですか?」


バルロッサが謝った理由は、闘争の神が原因だった。

俺たちがここに来る少し前に現れ、バルロッサに何としてもここに引き留めろと言われたそうだ。

バルロッサは赤帝竜に喧嘩を売る気などないと言ったそうだが、別に戦う必要はなく足止めが出来れば良いと言われたそうだ。

断れば闘争の神に殺されるか赤帝竜に喧嘩を売れば同じく殺されかねないのは分かりきっていたが、俺という存在がもしかしたらと僅かな可能性に賭けたそうだ。


「何で足止めなんかをするんですか?」

「理由は聞かされてはおらぬ」


何ていうかバルロッサってとことん可哀想な奴だな。

死の神にここヴァリューム湖の遺跡の権利?を譲り、ルースミアに文句言われ、挙句に闘争の神に殺されかける。まぁ俺の事じゃないしいいか…それよりもだ。

俺は考えてみる。俺たちが帰れない事で喜ぶのは誰か?

ガウシアン王国か?確かに俺が始原の魔術を使えばオークの軍団同様の結果を作り出せると思う。

ただね、俺は戦争に参加する気はないから、闘争の神の杞憂に終わっただけだね。


「おそらく闘争の神は俺たちに邪魔されたくなかったんだと思いますが、元々そのつもりも無かったんで…それでしたら気にしないで良いですよ」

「そう言ってもらえると助かる、いや感謝するぞサハラよ」

「で、貴様は一体何をしたのだ?」

迷宮(ラビリンス)の魔法を使ったのだ」

「なるほど、迷路(メイズ)ではなく迷宮か、7日は無理か?」

「そのぐらいだろうな」


げ、こんな所で7日も過ごすのかよ。カイとレイチェルに心配かけちゃうなぁ。

町の方はオークじゃあるまいし皆殺しはないでしょ。ギャレットは騎士だしこればかりはどうにもしょうがないしそこまでするだけの義理もないよな。

俺はお人好しでも善人でもなく、ヤンキーがいれば避けて通るような、危険ごとには近づかないようにしながらごく普通に生きてきたんだ。

普通そんなもんだよな?


それよりも7日か。待てよ、7日あったら少しはウィザードのこと教えてもらえるんじゃないか?


「あの、お願いがあるんですが…」

「何だ?」

「7日待つ間に魔法を教えて貰いたいと思うんですが…」

「7日でだと?」

「そうですよね。いくら魔導王と言われたバルロッサ様でもやはり無理ですよね」

「ぐぬぬ…そう言われては儂にもプライドがある、とは言えさすがに素人に魔法を教えるとなると普通は才能があっても1年はかかる。

お前次第で初歩だけになるだろうが構わぬか?」


マジすか!俺は初歩だけでも良いからと教えてもらう事にした。

食事はマズい保存食が鞄にあったのを思いだし、それを齧りながら教わる事にした。



最初の1日目に魔法感知(ディテクトマジック)を教わる。これが出来ないと先には一切進めないらしい。

訓練方法は2つのアイテムを置かれ、どっちが魔力を感じるかと言うところからだった。

全くわかんねぇよ。

バルロッサが見本を見せると手をアイテムの上に添えるとそれだけで魔力を感じ取れるんだそうだ。ついでにルースミアも興味があるのか暇なのかニヤニヤしながら見ている。


ふっ…普通主人公とかなら簡単に覚えられたりするのだろう?だが俺にはそんな事は当然無かったぜ。

結局魔法感知を続けて5個のアイテムの中から魔力を感じ取れるようになるまでに3日、魔力の強弱の違いまで感じ取れるまでに更に2日かかり、なんとか魔法感知を出来るようになった。

バルロッサにどんなものか聞いてみたら、普通だそうだ。まぁ元々俺は凡人だよ。

それにしても残り2日かよ。いや、正式には今日が最後だな。


6日目に魔法読解(リードマジック)になった。魔法の書かれた巻物を魔力感知をしながら読み取るらしいのだが、ここでつまずく事になった。

巻物の文字自体は魔力を感じ取れば共通語で読める簡単な物だったとの事だが、腕輪を失って会話こそ問題無かったが、文字の読み書きはわからなくなっていたのだ。

もちろん全く分からない事はないが、何ていうかな…中学校で習う程度の英単語で英語の本を読むようなものだ。


バルロッサに文字が読めないとなるとさすがにこれ以上は無理だと言われ、ガックリと肩を落とした。


「まぁそう落ち込むな。魔法感知だけでも覚えられたなら、後は共通語の読み書きさえ出来れば、使い切りになるが巻物を読む事で魔法効果を引き出すことが出来るぞ」


うん、それは知ってる。本来ならその巻物を自分の魔法の書に書き写すことで、自分用に記憶して使うことが出来るようになる。

それをアイテムとして使い切りにしてしまうという贅沢な使い方をするやり方だ。

巻物の値段は簡易的なもの以外は全て法外な値段らしいのだ。

そうしないと魔法感知が出来るシーフなどが悪用するんだそうだ。特に報酬が高いアサシンは気軽に高額な巻物を使い捨てにして使ってくるんだとか。


俺もルースミアの財宝で金はあるんだけど、それじゃあダメなんだ。自力で魔法が使いたかったよ。



こうして7日目にヴァリューム湖の遺跡から出てヴァリュームに向かった。



読んでいただきありがとうございます。


次回更新は明日の17時予定です。




それでは

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