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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第四章 忍び寄る暗雲
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うん、なんかゴメン

息を吸っていたドラゴンが突然のドラゴン語に驚く。


俺以外の仲間もルースミアを見ている。


「ドラゴン語だ。

一番交渉しやすいはずだ。

我に任せておけ」


ルースミアはそう言うとグリーンドラゴンの方へ近づいていく。

俺の方を見た時に俺は頼むという気持ちを込めて頷く。


『まさかドラゴン語を人間が話せるとはな』

『いい加減に黙って聞いていれば、若造が調子にのるな!

大人しく我とこいつらを通せ』

『何と生意気…な。

ん?ま、まさか…』

『畏るな。今我は人の(なり)をして旅を楽しんでいる。

我の正体を明かすようなことをすれば、いかに同族といえど生かしてはおかぬぞ』

『は、畏まりました』


どうやら話がついたらしく、ルースミアがこちらに戻ってくる。


「森を通してくれるそうだ」

「さすがルースミア」

「対価とやらはどうなったのですかな?ルースミア君」

「我がドラゴン語で会話できたので満足だそうだ」


と、チラッとグリーンドラゴンを見る。


「う、うむ。ドラゴン語を話す人間に会えてオレは満足したぞ」


何か絶対にルースミア脅したんだろ。

グリーンドラゴンがすっかり萎縮して見えるぞ。

ギャレット、スレイドの2人はあまりのドラゴンの対応の変化についていけてないのか、呆然と立ち尽くしちゃってるし。



その後、この森の帝都への近道になる、森の通りを通る者には手を出さない事を約束させた。

それがこのグリーンドラゴンが今後この森を住処にする以上、討伐対象にならなくするためだとルースミアが教えたようだ。

と後でコッソリ教えてもらった。

きっと同族としてルースミアのような同じ苦労を味あわせたくなかったんだろうな。


このドラゴンの急変にはさすがに皆んな驚いていたが、俺とルースミアに加えてグリーンドラゴンまで加わって上手くごまかしあい、事なきを得た。


グリーンドラゴンと別れる際にこの森であれば、俺たちに森から危害を加えないようにすると約束してもらえたため、その後僅か1週間で森を抜け切る事になった。

夜営も不要ってすごいな。


何かゴメンと聞こえないだろうがグリーンドラゴンに謝っておいた。




森を抜けて少し歩けば街道に出た。

帝都につながるだけあって、街道は整備されていて綺麗だった。


「うわ〜、綺麗綺麗」


森の中ではおとなしかったレイチェルも、綺麗な街道に出るといつもの元気な姿を見せてくれた。


ギャレットの話ではもう少し行ったところに宿場町があって、そこから帝都へは半日ほどで付く距離だと皆んなに言う。


その宿場町に昼過ぎにたどり着き、ここで一晩過ごして、明日帝都に向かう事になった。


「実はサハラ君に言ってなかった事がある」


宿を取って落ち着いたところでギャレットが唐突に話し始めた。

嫌な予感がする。こういう時は絶対にろくな話じゃないに決まっている。


「領主に言われていて親書を届ける時は、君達を証人として連れて行くようにと言われているのだ」


だー!やっぱそう来たかよ。

それってつまり皇帝に謁見するって事だよな。


「お断りします。と言うのは出来ませんか?

俺たちは冒険者です。

その様な場に出るだけの礼儀作法など知りませんよ」


本当は本とか映画で見た程度なら知ってるけどね。

ただルースミアが問題で、人間に頭を下げてはくれないだろうし、もし話を振られたりでもして、もしたらあのしゃべり方は非常にマズい。

加えてカイは奴隷だし、レイチェルはあの軽さだ。


「謁見の間では頭を下げていてくれるだけで問題ない。

後は私が口利きすると約束する。

これは領主の頼みでみあるのだ」


そう言うとギャレットが頭を下げてくる。

頭を下げようが俺はそんな場に出たくはない。

良い顔をしないでいると、ギャレットは困った顔をしてしまう。


「それではこうしよう。

最初に私が謁見してくる。その上で皇帝が会いたい様であれば、会う事を了承して欲しい。

そうなれば多少なり無作法も問題なくなる」


うーん、ここいらで折れないとマズいかな?

ギャレットもかなり妥協してくれてるからな。後はルースミアだが…

俺はルースミアに皇帝に謁見している間だけで良いからかしこまった態度を取ってもらえないか尋ねてみた。

俺の困った顔を見て溜息をつくと渋々ながらに了承してくれた。

ギャレットにはカイの事も伝え、全て了承した上でという話で落ち着いた。


夕飯まで時間があったため、一度解散し宿場町を散策する事にした俺たちは、俺はルースミアとカイ、スレイドはギャレットとレイチェルで別行動する事にした。



「大丈夫なのでしょうか?」


自分の身分を心配してだろうか、カイが俺に尋ねてきた。


「謁見の事?」

「はい」

「大丈夫とは言い切れないけど、今はギャレットさんを信じるしかないよ。

それに悪い事をして謁見に臨むわけじゃないからね」


カイは俺の言葉を聞いてハイとは答えていたが、まぁ普通に考えて奴隷が皇帝に会うなんてあり得ないからな。心配でたまらないんだと思う。


「サハラよ、無事に帝都につくがどうするつもりだ?」

「そうだなぁ、先ずはレイチェルだね。

神殿に行って確認を取らないといけない。

次が俺の武器かな?

特別に注文して作って貰わないといけない」

「ミスリルで作るのであれば、ドワーフを探すのが良いだろう」

「うん」


そんな話をしながらブラつき、途中良い匂いがして買い食いをしたりしながら時間を潰した。

カイも前ほど遠慮はしなくなり、美味しそうに肉をほおばって食べていた。




夕飯時になって宿に戻った俺たちはスレイド達と合流するのだが、レイチェルとギャレットはいたがスレイドの姿が見えなかった。


「スレイドは?」

「彼は凄いな。歩いていたら冒険者に囲まれて、そのまま身動き取れなくなっていたよ」


どうやらスレイドは帝都方面でも有名らしく、冒険者達の憧れで引っ張り回されている様だった。

こう言うのを聞くと改めてスレイドの凄さを感じるのだが、一緒にいるとどうもただの口汚いハゲ親父にしか見えないんだよな。



しばらくして開放されたのかスレイドがいやーワリィワリィと戻ってきた。

その後は食事が取れる宿だったため、夕飯をとるとそのまま就寝となった。




翌朝、朝食を済ませ帝都に向かうのだが、ギャレットが帝都行き馬車を取り付けておいてくれたため早速馬車へ向かう。


「馬車なら昼前には帝都に到着するだろう。

今日中には親書だけでも渡したいので、宿を決めたら私は城へ行ってくる。

私は城で休眠場所を与えられるだろうから、君達だけ宿を取って欲しい」


謁見は恐らく明日だろうという事だ。

その後俺たちが招集されるなら更に翌日だという事だ。


こうして馬車に揺られながら俺たちはレイチェルの約束であった帝都に向かったのだった。




いつも読んでくれてありがとうございます。


次回更新は明日の17時を予定してますが、下書きの速度によっては2話更新するかもしれません。

そうなるよう頑張ります。



今回の話でグリーンドラゴンのところで戦闘を期待していた人には申し訳ないです。

今のメンバーが戦ったら、ルースミア以外サハラを含めて間違いなく死ぬ相手なんです。


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