帝都を目指して
かなり書きたまりましたので、急遽本日2話更新します。
先頭をカイとスレイドが歩き、その後に俺とギャレットが続き、最後尾にルースミアとレイチェルが並んで歩いている。
しばらくは街道を道なりに進むため、危険もほとんどなく進める。
カチャカチャカチャカチャカチャカチャ…
結構音が気になるな。
当の本人を見るといつものことで気にしてる様子は全くなかった。
街道を歩いている間にギャレットと話をした。
ギャレットは現在年齢29歳で、幼い頃より冒険者よりも騎士なる事を夢見て7歳頃に小姓になったそうだ。
14歳ごろには従者を経験して、20歳で正式に騎士の叙任を受けた。
そして若いながらにして27歳の時に騎士団長に叙任されたとの事だ。
ついでに騎士について聞いてみた。
知っての通り騎士道十戒の話から始まったが、俺が興味を持ったのが騎士の特殊能力だった。
騎士になるとその不屈の信仰により特別な力が与えられるらしい。
詳しくは話してくれなかったが、神官や僧侶に近いものだと言っていた。
改めて仲間の状況を確認する。
森に入れば戦闘になる可能性は充分にある。
そうなると、今一番のネックが攻撃手段も防御手段も無いレイチェルだった。
レイチェルをチラッと見る。
俺が見たのに気がつき二パッと笑顔で返してくる。
武器もないし防具も街で買ったローブ一枚だけって…あれ?
「レイチェル、それどうしたの?」
レイチェルが丸盾を持っていた。
「ルー姉さまが自分の身ぐらいこれで守れってくれたの」
嬉しそうに盾をブンブン振っている。
盾は振り回すものじゃ無いぞ。
まぁこれで攻撃を防ぐぐらいは出来るか。
それにルースミアが渡したのなら、きっと魔法の盾とかだろうな。
「でもね、これがなくてもサハラが守ってくれるわよね?」
「そ、そうなの⁉︎」
「ん!」
ルースミアがジト目で見てくる。
なぜカイまで見てくる…
スレイドとギャレットは笑ってやがった。
もしかして俺ってばモテ期到来?
ニヤける顔を周りにバレないように必死に欠伸をしたり伸びを無駄にしてごまかした。
「こっから街道それるぞ」
スレイドが知らせてきた。
街道から逸れた先には森が見えている。
大体3時ぐらいだろうか、森より少し離れたあたりまでくると今日はここで一晩明かすことになった。
「かなり早いが、今から森に入ってもそう移動しないうちに夜営になる。
夜営場所も探したりするならここで一晩明かした方が安全だ。
明日朝一で森に突入でどうだリーダー?」
「そうだね。
経験豊富なスレイドの判断に任せるよ」
「騎士団であればそのまま行軍するところだが、ここは諸君らの意見に従おう」
夕方までに夜営準備に入り、日が落ちると食事を済ませた。
就寝まで時間のあるうちに明日からの隊列について話すことになった。
「二列縦隊で行こうと思う。
先頭1人はカイに任せたい」
「お任せください」
「もう1人は道案内も兼ねてスレイドに頼むよ」
「おうよ」
「二列目にレイチェルとギャレットさんにお願いしたい」
「は〜い」
「私は最前列か最後尾の方が良いと思うのだが?」
「ええ、そのつもりですよギャレットさん」
「うん?」
「広さが足りれば両方の補佐をお願いします」
「なるほど」
言うまでもなく最後尾は俺とルースミアと言うことで決まった。
次に今晩の見張りを最初にカイとレイチェル、次にスレイドとギャレットが担当し最後に俺とルースミアになった。
特に何事もなく朝を迎え、みんな素早く朝食をすませると移動を開始する。
「まぁジャングルみたいな深い森じゃねぇし、元々多少リスクはあるが近道で使われてたぐらいだから、ある程度は見晴らしも効くし迷う事も無いぜ」
森の近くまで来るとスレイドが気楽に言う。
ジャングルのようなものを想定していたが、入り組んではいるものの、長年利用していた者たちによって地肌が見えて道っぽくなっている。
確かにこれなら俺1人でも迷う事もなさそうだ。
しばらく森を進むが、鳥のさえずりが聞こえ実にのどかで、決して危険な雰囲気は感じられない。
「本当に最近魔物が増えて危険なのか?
俺には森林浴を楽しみながら歩いてる気分だよ?」
「おいおい、まだ森に入ったばっかだぜ?
抜けるまで2週間ぐらいかかんのに、入って早々魔物に出くわしてたら身がモタねぇよ」
それもそうか。
森の中を歩き始めてかれこれ3日ほど経った。
最初は魔物が増えたと聞いていた為緊張していたが、魔物らしい魔物に遭遇することなく順調に進め、俺はどこが魔物が増えたんだと思えてきた。
道中これまでせいぜいイノシシや一応魔物にあたる異常に攻撃的な大蛇、1メートルはある巨大な蜘蛛が出てきた程度で、カイのおかげで不意打ちを受けることなくあっさりとスレイドとギャレットによって倒された。
突進してきたイノシシを魔法か何かで光った盾でギャレットが止めた時は正直カッコよすぎだった。
イノシシを倒した日は、解体してイノシシの肉を焼いて食べた。
臭みは気になったが、携帯食よりは遥かにご馳走になった。
もちろん俺は解体ショーは耳も塞いで見なかったよ。
蛇の時も皆んなごく普通に食べていた。
もちろん俺も食べたが、本当によく言われている通り淡白な味で醤油が欲しくなったな。
蛇の皮をビーッと剥いだ音はトラウマになりそうだ。
あと1メートル級の蜘蛛を実際見た時は絶対に雑魚モンスターとは思えなかった。
想像してみ?中型犬ぐらいの大きさの蜘蛛が飛びかかってくるんだよ?
しかも斬りつけるたびに体液飛び散りまくって気持ち悪いのなんので、女の子みたいにキャーキャー叫んじまった。
さすがに蜘蛛は食べる事はなかったな。
とにかくこの世界の人達は、食えれば魔物も食料という認識で、俺は嫌でも慣れるしかなさそうだった。
だが、それも昨日までの話だった。
3日目にカイが最初に、次いでスレイドが空気が変わったと言い出した。
ギャレットも警戒を強めたように見え、レイチェルまで黙って辺りをキョロキョロしだした。
俺、なんもわかんないよ…
「なるほどな」
ルースミアがボソッと言う。
「何者かに見られている感覚がしますが、サハラ様進みますか?」
「こりゃ確かに嫌な感じだぜ」
冒険者としての勘ってやつかな?
と思っていたら、ルースミアが俺に近寄ってきた。
「一旦戻れ。
なわばりに入ったようだ」
いつもありがとうございます。
もう1話は昨日書いた通り、17時に更新させます。




