覚悟
「何言ってやがる!ふざけんな!」
スレイドが怒鳴るが、俺はそれを無視してカイに向かって言う。
「カイ、命令だ。2人を連れて街に行ってくれ…いや、行け!」
カイは拒絶するかのように首を振る。
「レイチェル、君は夢を叶えるんだろう?
なら今は夢のために逃げてくれ」
レイチェルは俺の顔をジッと見つめ、何かしら考えている。
「かっこつけてんじゃねぇ!
逃げれば何とかなるかもしれないだろ⁉︎
キリシュ達が他の冒険者連れて来てっかもしれねぇ!
それか昨日みたく皆んなで撃退すりゃ良いだろうが!」
スレイドが叫ぶ。
うるさい。
うるさい、うるさい、うるさい…
時間がないんだ。
俺だってルースミアが一緒だからとはいえ怖いんだ。
だけどこのままじゃ3人共死ぬ。
もしかしたら俺も加わって4人かもしれないけどな。
ふぅっと溜め息をつき、3人に向かって言う。
「分かんないか?
お前達がいると、足手まといなんだよ」
言った、言っちまったぁ。
でも足手まといは言い過ぎたかな…
まぁ言っちまった以上しょうがない。
今の俺の言葉でスレイドとカイが固まるなか、レイチェルだけが頷くと
「うん、そうね。
スレイド、カイ姉さま行こう。
サハラ、ルー姉さま、チョットだけ頑張っててね。
街に着いたらすぐに援軍を連れてきちゃうんだから!」
間に合うはずがないのはレイチェルも分かっているはずだ。
にも関わらずそう言ったのは俺もよく分からないが、何らかの意図があったんだろうか?
ただレイチェルの言葉でハッとしたカイが俺を見る。
「急いで助けを呼んで参ります。
サハラ様、ご武運を!」
立ち上がるとカイは2人を待たずに駆け出し始めた。
それを見てレイチェルも後を追う。
「クソッ」
スレイドもそう呟くと俺を一睨みしてから走り出した。
走り去った3人を見届けてから、ふぅとひと息つく。
「やっと行ってくれたよ」
「サハラ、鞄を寄越せ」
「うん?」
ルースミアに魔法の鞄を渡すと鞄の中に手を入れて何かを取り出し俺に渡すと、また鞄を漁っている。
手渡された物はポーションぽいものだ。
「それは『英雄の薬』と言って一時的にだが、己の身体能力を高めてくれる。
戦う直前にでも飲んでおくといい」
鞄を漁りながらルースミアが言う。
このポーションって確か貴重なアイテムだったよな。
「主が使う武器が剣とか槍であれば、我の財宝にも優れたものがあるのだがな。
とりあえずはこの防具でも身につけておけ」
そう言うとルースミアが白銀に輝くシャツを渡してきた。
俺は今身につけているレザーアーマーを外して、服の上から白銀に輝くシャツを着込みながら説明を受ける。
何だこれ、すごく軽いけど防具なのか?
一応細かいチェインで出来てるからチェインメイルって奴かな。
「それは我に挑んだ愚か者が身につけていた『ミスリルチェイン』だ」
うおぉこれがあのミスリルチェインか!
こんなに軽くて薄いのに、本当に鋼よりも丈夫なのかよ。
「説明の必要は無いだろうが、下手な鉄よりも丈夫だ」
「ありがとう。
武器はそのうちしっかりしたものを作ってもらわないといけないね」
「ミスリルなら丈夫で軽い」
「うん、でも安くは無さそうだね。
とりあえず今はこの棒を折らないように戦わないといけないな」
いつも思うが、ルースミアは無駄にアイテムをくれない。
ルースミアに挑んだんだほどの冒険者達なのだから、それ相応の武具があると思う。
だけど、決して仲間には分けるそぶりも見せないな。
やっぱ財宝はドラゴンにとって大切ってことなのかな?
声には出さないが、こう言いたい。
宝の持ち腐れだよルースミア。
しばらくすると今さっき来た方角より大群の足音が聞こえてくる。
「来たな。
サハラ、我が本来の姿になればすぐに終わらせられるぞ?」
「姿が見られたらその方が面倒だし、もし背後に何者かがいて逃れたオーク達が知らせたらマズいから、本当に最後の手段にしておいてよ」
「ふむ」
オーク達の姿が見えるともはやそれは軍隊と言える数だった。
これとたった2人で戦うのか…
勝ち目無いよな。
普通ならな!
いつもありがとうございます。
次回はサハラとルースミアそれぞれの視点で書いてあるので2話更新させようよ思います。
更新時間は2話時間を分けて行う予定です。
最近忙しくなり、2話先ぐらいで止まっています。
ほぼ毎日更新出来るだけ頑張るので宜しくお願いします。




