襲撃
スンッ!
見張りについて30分ほどが経った頃だった。
カイがしきりに匂いを気にしだした。
獣人の証でもある犬耳、イヤ、ケモミミか?が器用にピクピク動いていた。
「カイ、どうし「数多数、来ます‼︎」」
俺が聞こうとした直後カイが声を上げた。
すぐさまスレイド達も起き上がり、武器を構えて馬車を守るように布陣する。
「人か⁉︎」
「違います。
この匂いはゴブリンでもありません」
やがて遠くに20人以上いや、もっと多くの二足歩行の人のような影が現れる。
月の光に照らし出されたその姿は醜悪そのもので、俺の知識に思い当たるものが一つあった。
「マジか!ありゃオークか!」
スレイドがそう言う。
オーク、よく豚の顔のヒューマノイドとされ、最弱なモンスターとされていることが多いが、今遠くに見えるそれは指輪配達に出てくるものの方に酷似していた。
更には1匹だけ何かの獣に跨っている、オークよりも大きい体格のやつがいた。
「ハイオークまでいやがるぞ!」
スレイドが続けて言う。
「この辺りにはオークはいなかったはずですよ!」
キリシュがそう叫ぶ。
「街に引き返しましょう!」
「いや、追いつかれる。
ここで迎撃するしかない!
エンセキとキリシュ達は馬車を守りながら迎撃!」
「「「おう(はい)!」」」
「ルースミアちゃんとエラウェ…なんとかは魔法であいつらが近づく前に数減らしてくれ!」
「良かろう」
「はい」
「あとは各自で生き残りを迎撃だ‼︎」
すげー!かっこいいなスレイド。
たぶん的確に指示を出しているぞ。
オーク達が一斉にこちらに向かって走り出す。
俺はすぐにエルフの外套をレイチェルに被せる。
「レイチェル、これで君の姿は見えなくなる。
君はここでおとなしくしているんだ」
「私、戦う!」
「武器もないんだから大人しくしてて。
大丈夫、すぐに終わらせるから」
そう言うと俺はコマンドワードを言う。
目の前に何も無いかのようにレイチェルの姿が消えた。
良し、と向き直すとエラウェラリエルが魔法の詠唱を開始していた。
ルースミアは口角を上げてもう少しだもう少しと口ずさみながら待ち構えていた。
怖えよ。
ズィーは弓をつがえて射出していた。
「クソ!魔法に備えてあいつら陣形を広げやがった」
横に長く広がり波のように押し寄せてくる。
ざっと数えて40以上はいるだろう。
俺はその想像以上の全体の総数を初めて目の当たりにして、これから起こる事を想像したらビビってしまい武者震いが止まらなくなった。
逃げたい。
こんな数無理だ。
オークの波が迫ってきた。
「神よ!我らに勝利の祝福を与えたまえぃ!祝福!」
ボルゾイが神聖魔法を唱えると、俺の恐怖心が取り除かれ先ほどまでの恐怖心が嘘のように消え去った。
祝福って恐怖心まで振り払うのか、すげぇな。
むしろやってやらぁ!って気分になったぜ。
「 我が眼前の敵を爆せよ!火球!」
距離にしてざっと20メートルぐらいまで来たところで、エラウェラリエルが火球を飛ばす。
前方で爆発が起こりオーク達が吹き飛んだ。
が、オーク達は広がってたため5匹ほど吹っ飛んだ程度だった。
エラウェラリエルはすぐに次の魔法の詠唱を開始した直後。
「ククク、燃やし尽くしてやろう!炎嵐!」
と言うルースミアの声とともに目の前で信じられない光景が起こる。
すさましい広範囲に炎の嵐が巻き起こり、オーク達が燃やし尽くされていく。
その凄さは範囲に入ってなかったオーク達が歩みを止めるほどだった。
今のルースミアの魔法で半数近くが焼き尽くされたが、我に返ったオーク達はすぐさままたこちらに向かって走り始めた。
「さて、楽しませて貰うぞ」
とルースミアがリストブレードの刃をシャコッと出す。
魔法はもう使う気はなく、切り刻むのを楽しむようだ。
「魔法の矢よ敵を打て!魔法矢!」
エラウェラリエルの声とともに光り輝く数本の矢がオーク目掛けて飛んで行き、オーク達を貫いて行く。
威力はそこまで高くないようで、当たった箇所を押さえながらオーク達は尚も向かってきた。
エラウェラリエルは更に次の魔法の詠唱を開始した。
魔法ってかっこいいなぁ。
「神よ!邪悪なるもの達を束縛させたまえぃ!束縛!」
ボルゾイも神聖魔法を駆使している。
4匹のオークが動きを止めた。
もうオーク達は眼前まで迫り白兵戦となった。
俺の出番だ。
とは言え、殺傷能力のない俺の武器でいかに効率よく戦うかを考えなくてはならない。
これは効率よく意識を刈り取れる場所を攻撃していくしか無いな。
などと考えながら俺は棒を構えた。
すぐ隣にはカイもいて、短剣を構えている。
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次回更新は月曜日を予定してます。
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