旅の仲間の結成
俺は冷静を必死に装いながら部屋に戻った。
やっぱりどうしたってルースミアに目がいく。
そのルースミアはと言えば、普段と全く変わりなくベッドに腰掛けていた。
「先ほど、サハラ様の形容しがたい叫び声が聞こえましたが、いかがされましたか?」
形容しがたかったですか…
そらそうでしょうな。
「いや、別に何でもないよ。
そ、それよりさ、宿の店主の話って何だろうね」
話題のすり替えだ!
話題のすり替えに成功し、結局あれこれ話し合ったが答えは出るわけもなく、俺たちは酒場に向かう事にした。
[本日貸し切り]
そう入り口に札があった。
そんなに聞かれたらマズい話なのか?
俺たちの姿を見た店主が誘い入れる。
酒場の中は当然ながら客はおろか誰1人いなかった。
店主の案内で更に奥にある個室へ向かった。
扉を開けると中にはレイチェルとレイチェルの母親がいて、なぜかそこにスレイドもいた。
「よぅ!待ってたぜ」
スレイドが陽気に挨拶してくる。
レイチェルの母親は頭を下げ、レイチェルは笑顔で手を振っている。
「ここは外に音が漏れないのでここでお話しします」
そう店主が言うと席に全員座った。
「まずはこれからお話しする事は、出来たら他言しないでもらえると有り難いです。
とは言え、正直ここまで話が大きくなってくるとは思ってもみなかったと言うのもありまして…」
と店主主導で話が始まった。
俺のなんとなく思っていた通りレイチェルは店主たち夫婦の娘ではなく、ある朝宿屋の裏手口に赤ん坊がお包みに包まれ泣いているのを保護したそうだ。
保護したはいいが親が見つかることはなく、まだ子供のいなかった夫婦は我が子のように育てる事にしたそうだ。
前もって夫婦で話し合って、本当の親が見つかったり、やりたい事進みたい道を見つけた時、その時はレイチェルの望むようにしてあげようと決めていた。
そうしているうちにレイチェルはすくすく育ち、15歳の誕生日の日に夫婦にこう告げてきたそうだ。
(父さま母さま、私冒険者になるわ。
冒険者になって仲良くなったお友達と一緒に帝都に行ってみたい)
夫婦でもさすがに冒険者になりたいとは想定外だったらしく、18歳になるまで待つように言い聞かせたそうだ。
18歳になるまでに夫婦はレッドエンペラードラゴンインを経営しながら、レイチェルの仲間兼護衛をして貰える人を探していたところで、名の通ったスレイドが現れお願いを持ちかけ了承を得た。
だが、スレイドが言うには1人では厳しいから最低でも後1人探してからにさせてくれという事で、スレイドの仲間探しが始まったがそう簡単には見つからず、レイチェルが18歳の誕生日を迎え焦っているところに、俺が現れ噂を耳にし、お願いを持ちかけることにしたんだそうだ。
店主の話が終わると夫婦は揃って俺たちに頭を下げお願いしてきた。
娘の夢を叶えてやってほしいと。
「帝都に行くのは小さい頃からの夢だったの。お願い連れて行って?」
帝都かここからどれぐらいあるんだろう?
まぁどちらにせよ、そのうちどこかに行こうとしていたんだから帝都に行くというのは別にいいんだけど。
「レイチェルさんは、なぜ冒険者になりたいんですか?」
これだ。
帝都に行ってみたいのなら、往復の護衛だけすれば良いはず。
別に冒険者になる必要はない。
「夢が叶ったら、次の夢を探して叶えたいじゃない?
たぶん、ううん、きっとまた別の場所へも行きたいと思うようになるわ。
その時冒険者になっていれば好きなところへ行けるのよ」
まったく、夢は果てしないな。
まぁ冒険者ならギルドで金を稼いで生活しながら自由にあちこち行けるもんな。
「楽しそうだな」
気がついたらそんな事を呟いてしまった。
「きっと楽しいに決まってるわ!」
本当にこの子には敵わないな。
ルースミアを見ると、やれやれと言った表情でカイを見れば笑顔で首を縦に振っていた。
「分かりました、お引き受けします」
「「ありがとうございます」」
夫婦が揃って頭を下げる。
「よっしゃ!決まりだ!
これから本当に仲間だ、よろしく頼むぜ!」
いや、お前は別にいいんだよ…
とにかくだ。
これで俺たちはパーティっぽくなったのかな。
そう言えばカイって前衛後衛どっちだろう?
レイチェルは?
「それでは明日はレイチェルさんの冒険者登録とかして、いろいろと話し合いや準備をしていこう」
「レイチェル」
「え?」
「アナタは私のお友達になったんですもの。レイチェルって呼んでよ」
「あはは、分かりまし、分かったよ」
「俺もスレイド様でいいぜ」
「分かったハゲ親父」
「ひでぇなぁ、俺まだ25って言っただろ」
「じゃあハゲで」
「うぅ…スレイドで頼むよ」
みんなが笑い場が和むと、レイチェルの父親は俺に旅立つまでの間はレイチェルの友達として歓迎させてほしい。
つまり無料で宿泊と食事を提供してくれると言ってくれた。
まぁ先払いした分あるんだけどな。
「今更だけど自己紹介だけしておこう。
俺は人族のサハラ、27歳で前衛の戦士です。
これからよろしくお願いします」
「ブッハ!俺より年上じゃねーか。
俺は人族のスレイド、25歳の前衛の戦士だ」
俺がルースミアを見る。
「我はルースミア、20歳ソーサラーだ」
「なぁ前から思ったんだが、麗しの君はどこぞの地位のある人の娘さんとかなのかね?」
そりゃ気になるよな。
何しろ自分の事を我呼びだし、そして名前が赤帝竜ルースミアと同じ。
加えて畏怖されているソーサラーだ。
「スレイド、ルー姉さまはルー姉さまよ。
じゃあ次は私の番ね。
レイチェル!人族の18歳でここレッドエンペラードラゴンインの娘よ。
物心がつく年頃から神様にお願いすると怪我とか病気を治してくれるようになったわ」
おいコラ待て。
サラッと言いのけたが、レイチェルは神聖魔法使えるのか?
「ルー姉さま…か。悪くはないな。
それより、神に愛でられている可能性があるが、問題はどこぞの神か?と言ったところだが」
「その辺は今日はいいよ。
最後にカイ、締めも兼ねて頼むよ」
「ええっ!サハラ様、私がですか?
分かりました。
私は獣人族犬種のカイです。
ご縁があってサハラ様の奴隷になりました。
年齢は23歳です」
「ちょぉっとまったあぁぁ!
って事はあんた奴隷だったのか⁉︎」
「はい」
「俺はサハラが普通に話してっから、てっきり冒険者だと思ってたぜ」
「カイは確かに奴隷だけど、大切な仲間だ。
奴隷扱いするなら…スレイド、あんたとは手を組めない」
「ふん、まぁ俺は別にかまやしないさ。
俺の奴隷じゃないしな」
「カイ姉さまもお友達よ」
ニッコリ笑顔でそう言うレイチェル。
カイは俺の時同様困惑していた。
「カイもいいじゃないか。
世間では奴隷だろうけど、俺たちは仲間だよ」
「我は気にせん」
「うん!」
「ま、そう言うこった」
困惑しながらも嬉しそうに言う。
「サハラ様、皆さんもありがとうございます」
こうして俺はレイチェルとスレイドと仲間になることになった。
その後はもう遅くなったため一度解散となり、翌日から行動することにした。
その夜、寝付けず考え事をする。
結局情報収集ってほぼ無駄だったんじゃ…
いや、アルトリウスと出会えた事が今回のことに繋がったんだよな。
そんで、その後ルースミアと…
いつもありがとうございます。
ついに仲間結成しました。
ハーレムはなんか話が難しくなりそうなので、脳筋っぽいスレイドも仲間に入れて動かしやすくしてみました。
次回更新はスレイド君のおかげで5話先まで進んだので、本日もう一度後で更新します。
その後は翌日の17時ごろの予定です。
宜しくお願いします。




