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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第三章 旅の仲間
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情報屋

カイ視点



ルースミア様と宿を出て私が先導して1人目の情報屋の元へ向かいました。


1人目の居場所は繁華街の脇道で朝から呑んだくれた酔っ払いのようなふりをして大抵寝っ転がっています。


「下婢…カイよ、情報屋と言うのは我がついていかないといけないような危険な奴なのか?」


情報屋へと向かっている途中でルースミア様が話しかけてきます。

嬉しい、名前で呼んでもらえました!


「情報屋は危険ではありません。

情報屋がいるあたりの治安が良くない場所が多いです。

盗人も数多くいると思いますので、持ち物には注意してください」


ルースミア様は頷き返します。

私もルースミア様の鞄などを気をつけなくては。


最初の情報屋は繁華街の脇道に酔っ払いのフリをして大抵寝っ転がっているはずです。

いました。

私はあらかじめ渡されていた銅貨1枚をそっと手渡します。


「なんだ?施しか?」


情報屋の男はそう言うと私とルースミア様を見ます。


「最近の調子は?」

「んん〜あぁ、まぁまぁってところか」


すかさずもう1枚銅貨を渡します。


「おいおい、随分景気いいなねーちゃん」

「稼げる話がありましてね」


すると男は体を起し、辺りをキョロキョロと見渡します。


「何が知りたい」


上手くいきました。

私はサハラ様に頼まれた情報を聞き出そうとします。


「あんたもか?

最近スレイドのこと嗅ぎ回ってる奴が多くてな。

おかげで俺っちは奴の情報を集めるだけで懐があったまるぜ。

スレイド様様だ」


どうやら私達以外にも調べていた人達がいたようでした。

ただここではスレイド様の人柄や、貴族のような上流階級の方と接触がないなどがわかった程度で、有益な情報は得られませんでした。



2箇所目に向かう時でした。


「カイよ、なぜあんなに金を渡すのだ?

情報が得たければ脅せば良かろう」


前々から思ってましたが、ルースミア様の発言は怖いです。

脅しているわけでは無いと思うのですが、ルースミア様はサハラ様以外と言葉を交わす時は、こう…なんて言うのか、高圧的と言うのでしょうか、何処かの偉い方なのでしょうか?


「ルースミア様、情報屋にとって情報は命なのです。

なので彼らを脅しても、例え切り刻んだとしても情報は得られ無いと思います」


納得がいかないようですが、理解はしていただけたようです。


「次の情報屋からは、スラム街になります。

治安も悪くなりますので、お気をつけてください」

「スラム街?」

「スラム街とは都市部で極貧層が居住する過密化した地区のことで、都市の他の地区が受けられるような公共サービスが受けられないなど荒廃状態の場所です」

「フム、まぁ我に手出しすれば死んで後悔させるだけよ」

「そ、それはダメです。

いくらスラム街と言えど後々問題になってしまいます

サハラ様にもご迷惑がかかります」


ルースミア様はサハラ様と違って情け容赦が無い方のようですね。

サハラ様は奴隷という私を1人の人間として扱ってくれて、とても優しくて…

まさに私の夢のような方にお仕え出来ました。

お二人の関係が気になります…



貧困層の多くが住むスラム街まで来ました。


「これはまた随分と汚いところだな。

ゴブリンでも住んでいるのでは無いのか?」


はう、言葉を慎んでいただかなければ…


「ルースミア様、卑下する様な言葉は少々控えてください。

ここに住む方達は血気盛んな所が多い…」

「よぉ姉ちゃん達よ、誰がゴブリンだ?あぁ⁉︎」


遅かったです…

10名のゴロツキに絡まれてしまいました。

そう言えばスラム街に来るとわかっていた時点で、服装も変えておくべきでした。

今の私は小綺麗な服装でルースミア様も同じくここには似つかわしく無い格好でした。

早くここは取り持たなくてはいけません。


「申し訳ございません。

こちらの方はスラム街が初めてでして、別にあなた方を貶すつもりはありませんでした」

「ならよ、ほれ謝れや」


私はすぐさま謝罪の言葉を言い頭を下げます。


「あんたじゃねぇ。

そっちの姉ちゃんだ」


ルースミア様を指差してそう言います。


「我が何故貴様らに頭を下げねばならない」


空気が凍るとはまさにこの事でしょう。

さらっとルースミア様は言い返しました。


「おい、どうやら痛い目に合わないとわかんねぇらしいな?」


ルースミア様が私を見ます。

私は慌てて首を振ります。


「案ずるな。

別に殺さなければいいのだろう?」


そう言葉を口にするとルースミア様は殴りかかってきた男達を殴り出しました。

全て1人一撃で殴り倒し、防御すればその腕ごとまさしくぶっ飛ばしていました。


間近で楽しそうに殴るルースミア様を見て私は、この人だけは絶対に怒らせてはいけないと思いました。


その後、体を支えあいながらゴロツキ達は去って行きました。

今の騒動を見ていたスラム街の住人達に怯えや恨みの目を向けられてしまい、これ以上スラム街で情報収集は難しくなってしまったので戻る事にしました。



サハラ様申し訳有りません。




いつもありがとうございます。

次回更新は月曜日になります。

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