アルトリウスという男
翌朝、朝食を済ませカイとルースミアは朝早くから出かけた。
俺は酒場は夕方からだろうとギルドへ向かう事にした。
ギルドへ着くと依頼を探している他の冒険者達が一斉に俺を見る。
きっと昨日のスレイドの件だろうなぁ…
「失礼、君がスレイドさんを倒したという者かな?」
1人の戦士と思われる人物が話しかけてきた。
「野試合でしたが、たまたま運良く倒せたみたいですね」
「忙しいところ申し訳ないが、ギルド訓練所で手合わせをお願いしたい」
キターー!
覚悟はしてたさ。
してたけど、どうしてこうなる?
ギルドの訓練所に行くと、何故か一緒に他の冒険者達もゾロゾロとついてきた。
「えーと…
なんでこんなにたくさん居るんですか?」
「みんな君の戦いを見てみたいんだろうね」
うーん、礼儀正しい人だなぁ。
こういう人って凄い強い人ってイメージあるよね。
「武器はそこにある中から好きなものを選んでね。
そこにあるものは全て刃が潰してあるから安全だよ」
いや、安全じゃねーよ。
当たったら絶対に痛いだろ。
それに棒がない。
「あの〜、これじゃダメですか?
俺の武器コレなんですけど…」
「その棒が君の武器か。
刃が付いてないし、魔法効果が無いならかまわないよ」
よしなら何とかなるかも。
「ルールは降参又は気絶させたら勝ちとするでいいね?
では、互いに自己紹介しておこう。
私は人族戦士のアルトリウス。
一応スレイドさんと同じく、私もソードマスターだよ」
「俺は人族戦士のサハラです」
審判役は買って出てくれた訓練所の職員だ。
「それでは!始め!」
俺は棒を構え相手を見据える。
アルトリウスはスレイドの剣のみと違い、剣と盾というスタイルだ。
盾が邪魔だななどと思いながらジリジリとお互いに間合いを取る。
アルトリウスは盾を構え低姿勢に、俺は直立して肩幅に足を開き片足を半歩ほど下げ、棒は剣の様にしかし添え手を逆手に構える。
アルトリウスが動いた直後だった。
アルトリウスが剣を振りかぶると同時に俺は盾に突き入れると、意表を突かれ軸足の浮いたアルトリウスのバランスが一瞬崩れた。
そのままバトンの様に中央に手を移し、剣を持った手首を下手からクルンと反転させて打ちつけ、更にクルンと反転させて今度は首を打つ。
離れ際に胸に突きを入れると元の姿勢へと戻した。
アルトリウスの手から剣が落ち、片膝をついて胸を押さえながら参った!と叫んでいた。
俺すげぇ…
自分で驚く動きをしたよ。
周りからも、今の見えたか?とか何をしたんだ?などの声が聞こえ、審判をしていた職員は止めることすら忘れていた。
手合わせが終わり、他の冒険者達も蜘蛛の子散らすように立ち去っていった。
「ハハ、スレイドさんが負けたのも頷けたよ。
まさか盾を持つ者に盾を狙って攻撃してくるとはね。
その後の連撃はその武器ならではだね。
私の戦いの後を待っていた連中もいたんだろうけど、今のを見たら挑もうなどと言う奴はもういないみたいだね」
よかった!
この後100人稽古みたいにならずに済んだよ。
そうだ、ついでにスレイドの事を聞こう。
「アルトリウスさんは、スレイドさんを…」
「アルトリウスでいいよ。
スレイドさんの事を聞きたくてギルドに来たんだろう?
私の仲間から昨日のことは聞いていてね、それで実は今日必ず君がここに来ると思って待っていたんだ」
その後アルトリウスと一緒に近くの料理屋に入った…ってここフェガスのとこじゃねーか。
「いらっしゃーせー」
おい、その接客態度ダメすぎだろ。
って言うかその徹底ぶりは尊敬に値…しないか。
「うお!アルトリウスさん、とサハラ?」
随分な差だな。
席に着いてそれぞれ飲み物を注文をする。
俺は紅茶でアルトリウスは果実酒だ。
「さて、スレイドさんの事だったね。
あの人、今仲間を募集していたのは私も知っているよ。
いつも大抵1人で行動する人だから珍しくて、私も暇を見て調べていたんだ」
このアルトリウス、丁寧な接し方をする人だけど、裏を返せば話がまだるっこしい。
フェガスの料理屋に入って結局3時間ほど喋りっぱなしだったな。
結局別れるまでに分かったことと言えば、スレイドは猪突猛進な性格で一つの事に盲目になりやすいが根はいい人。
と言うどうでもいいことと、仲間を探している理由は要人警護とかではなかった。
アルトリウスはたぶん旅の仲間が欲しくなったか、仲間が必要な旅でもあるのではないか?という事だった。
うーん、スレイドはある人を護衛と言っていた。
そのある人は少なくとも貴族のような上流階級の人物ではないとアルトリウスが言っていた。
仕方がない。後はカイ達の情報と酒場での情報が頼みの綱だな。
まぁ、アルトリウスのおかげでそろそろ夕方か。
俺は宿に戻る事にした。
アルトリウス、剣と口が達者な奴だった。
いつもありがとうございます。
杖術に関して
主人公の命を奪う行為に抵抗がある上で探した武器種なので、作者自身は杖術は詳しくもないので適当に表現しています。
詳しい方が不快に感じたら申し訳ありません。




