第9話 獣宴<爪牙呻吟>
3月20日 夜
「殺す! 殺スェ!! コろ死て死むァえェぇーッ!!」
人を人たらしめる知性や理性、それら全てをかなぐり捨てたような金切り声。
その大絶叫を発した白衣の男の凄絶な形相は、さながら人の身で妖魔に堕ちた人外化生であった。
「「「「 グルオオオァッ !! 」」」」
もはや狂人と化したスチュワートの声を主人の命令と判じて従ったか。
それともただのきっかけとしか受け取らなかったのか。
どちらなのかは定かでないが、四人の人狼は、さながら砲弾の如く突進してきた。
踏み込みにかかる重量と衝撃で、薄い石畳が皿を割るかのように易々と砕かれ、周囲に飛沫の如く散る。
「……がぁッ!!」
「いけません!! メアリ様!!」
グレゴリーの制止の声に、知ったことかと無言を返し、メアリもまた前に出る。
人狼たちは、突出したメアリを最初の標的と見咎めて殺到した。
それぞれの脚力と立ち位置から、接敵に僅かばかりの時間差が生まれる。
先頭に飛び出した人狼は、最も凶暴な、二人の男のうち若い方の男の人狼だった。
群れで狩りを行う狼の本能に従ってか、やや遅れて続いた者たちは、二人が左右に分かれ、一人が彼らの背後を追う形で即席の陣形を組んで襲いかかる。
「カァアアアーッッッ!!」
一番牙を任された人狼は、鋸刃を縦に並べたような上下の牙を剥き出して肉迫する。
これに対し、メアリは前傾姿勢から跳躍一番、死の顎を避けつつ、髪を掴んで一瞬だけ倒立。
牙をかわされたと相手が気付いて見上げる前に──
「……じゃッ!!」
──右耳に、深々と中指を差し込んだ。
変身中のメアリの指の先は、鋭い爪が長く伸びている。
その鋭利な爪は、耳穴の内壁を切り裂きながら奥深く入り込み、鼓膜を貫いた。
頑強な肉体と硬質な銀毛で身を鎧うウェアウルフと言えど、脆い部分は存在する。
「ギャヒィッッ!?」
思わぬ反撃に気勢を殺がれ、たまらず呻いた先頭の人狼は、突進の勢いを御し切れず、つんのめって転倒した。
頭蓋の奥を責め苛む刺すような痛みは、人狼の狂気を一時押さえつけて身動きを縛る。
満月の人狼の自然治癒力にかかっては数秒程度の戒めではあるが、この乱戦において主導権を渡さぬための一手としては上等手。
左右に分かれた二人も、頭上という死角に飛び込まれて一瞬メアリを見失い、その足を止めて天を見上げる。
しかし、後方に陣取って遅れながら走りこんできた人狼には、その動きは丸見えであった。
突進の勢いはそのままに、視線だけ上向かせた最後列の人狼も同じように跳躍。
空中で無防備となったメアリめがけ、食いつき引きずり落とさんと躍り掛かる。
「寄るなッ!!」
「ギャゥッ!?」
これをメアリは、屈伸前方宙返りからのヒールキックで迎え撃つ。
戦斧を落とすが如き重量感を持った踵が、大口を開けた人狼の鼻面を打擲する。
衝撃を堪えんと踏ん張るための大地は、先ほど軽はずみに放棄してしまっている。
軽挙を悔いる暇も無く、眼下に蹴り落とされた人狼は、蹲って耳を押さえる仲間へと落下し、望まぬ追い討ちをするはめになった。
(……ッ! まずっ……!)
直後、会心の一撃に浸る暇もなく、メアリの総身に怖気が走る。
見ることもなく感じたのは、着地地点でいまだ健在の、残った人狼二人分の視線である。
もはや自由落下に任せるしかないメアリには、自身の着地を手薬煉引いて待ち受ける二つの殺意を避けるすべは無い。
身動きできぬ空中へ身を躍らせたのは彼女も同じ。
メアリは直前に軽挙と詰った相手を笑えないと自嘲すらできず、死の予感で矮躯を凍らせた。
着地を待たずにやられる。そう思った瞬間だった。
「う、わっ……!?」
落下するメアリの襟首を掴み、少し離れた地点へと牽引しつつ着地する影があった。
「……ワゥ?」
「あ……! ありがとホリン!!」
宙を切り裂くように横切った影は、妖精犬ホリンであった。
牛より大きな巨体を羽毛さながらの身軽さで駆け抜ける知性高き番犬。
残った人狼二人が落下中のメアリに殺気を向けるや否や、そうはさせじと横合いから襟首を咥えて掻っ攫い、死の空間から退避させたのだ。
油断無く振り返ったホリンは、メアリの横で太く頑健な足を八の字に踏ん張って身構える。
ホリンの勇姿に奮い立ったメアリもまた、まだまだこれからだとばかりに気合を入れ直す。
その直後。メアリとホリンは同時に『背後』に気付いた。
「私に背を向ケるかァ……貴様ラぁ……」
弾かれたように振り向いた先には、乱れたブルネットの髪と白衣を川面の水草のように揺らめかせ、左右にゆっくりと腕を開くスチュワートの姿。
そしてその周囲に、重力の頚木を解かれて浮遊する大小の石片が不気味に蠢いていた。
拳大ほどもある大きなものから、小指の頭ほどの小さなものまで様々なそれらは、人狼たちが踏み砕いた石畳の欠片である。
「私の研究ニ……背ヲ向けるかァァァーッッッ!!」
筋違いと意味不明をブレンドした絶叫とともに、開いた腕を一息に胸元で交差する。
同時に、浮遊していた石片が雨霰と降り注いだ。
「く……ッ!」
発条のように身を躍らせて石の弾丸から逃れんとするメアリとホリン。
散弾銃にも似たそれは、間接攻撃系近代魔法『RockSplash』と呼ぶ一芸であった。
精神に異常をきたしているせいか、狙いも何も無い盲滅法な攻撃魔法。
血走った目はメアリとホリンを見ているようで、その実、虚空を睨んでいるのみ。
粗雑極まる魔法はしかし、無視しかねる攻撃手段と評して違いは無かった。
当たれば無事では済まない幾つかの飛礫だけをなんとか回避したメアリとホリン。
小さな飛礫は已む無くその身に受けたが、深刻な傷は被らずに済んだ。
だがここで再度、後背に浴びせられる殺意に気付く。
「「グオァァァッ!!」」
(ッッ!? まずい、挟まれた……!!)
後ろにはいまだ健在の人狼たちが陣取っていた。
どうやら同一射線上にいたため、ロックスプラッシュの流れ弾を浴びて足を止めていたようだが、それが止んだ今、迸る狂気を遮るものも無い。
見れば、鼓膜を破ったはずの人狼が回復して起き上がり、蹴り落とした一人もすでに立ち直っていた。
半ば凝然と凍りつつも、選択すべき行動を刹那で分析する。
問。ここでスチュワートに狙いを絞り、大将首を取る?
答。悪くはないが、人狼四人の殺到を抑止し得る選択なのか疑問が残る。
問。ホリンと左右に分かれて、相手の分散を狙う?
答。こちらが各個撃破されやすい状況を作る悪手にもなり得る。
時の狭間にねじ込んだ僅かな思考時間で浮かんだ二つの戦術は一長一短。
理不尽なほどに短い時間制限の中、迫るデッドラインに急かされてなお決断できず。
そんなメアリの焦りなど一顧だにせず、人狼たちが再び飛び掛る──
「誰カ忘レチャイネエカイ……?」
──寸前、得意げな声が風に乗って流れてきた。
メアリとホリンから人狼たちの位置を結ぶ中間地点に、不気味な光が灯っている。
その光は握り拳ほどの小さい何かのようで判然とせず、次々に数を増やしていく。
二つが四つに、四つが八つに、オークウッド邸の正面広場を埋め尽くさんとするかのように、倍々に増殖しつつあった。
「……ランタンくん!!」
「オウヨ小娘!! おいらヲ忘レテンジャネェゾ!!」
茫として妖しい光源は不規則に揺らめく青白い炎の明かり。
よくよく注視してみれば、その色は徐々に変わっている。
青から紫へ、紫から赤紫へ、赤へ、橙へ、黄へ、緑へ……
「グゥ……グァア……!」
「グルルゥ……グォオオ……!?」
「ぬ、ぐぅ……おノれぇ……ッ! 何だコレは……ッ!」
苦しげな呻きを吐きながら身をよじる人狼たちとスチュワート。
その場を包囲するように四方八方に浮かぶ無数の光源を睨みながら、やおら手を振り足を振り、実体無き幻炎を振り払おうとし始めた。
「ホッホー! ソォラ踊レ踊レェ!!」
鬼火による視界幻惑と、炎色催眠による混乱誘発。
悪戯好きで知られる彼らの趣味と実益を兼ねる、得意中の得意手。
分類上は妖精扱いでありながら、悪霊としての側面を持つジャック・オー・ランタンの真骨頂であった。
そこへ──
「やれやれ、これでようやく私も参加できますな」
──悠然と歩を進める、執事の姿。
「え、グレゴリーさん!? 無茶です!!」
メアリは慌ててグレゴリーを制止しようと大声で叫ぶ。
無理もあるまい。たとえ人外、ホブゴブリンとはいえ、相手は満月に狂ったウェアウルフなのだから。
ゴブリン及びホブゴブリンは妖精と亜人の中間にカテゴライズされる人外である。
どちらの世界とも交わらず、種族独自のコミュニティを築き、そこで暮らす。
ホブ(hob)とは親しみを込めた呼び方であり、人間に友好的、という意味合いがある。
邪悪な面が強いゴブリンたちとは、理性と知性において一線を画し、また戦闘能力も彼らを上回る。
さりながら、高次生物ウェアウルフとは比ぶべくもない。
人より手先が器用で力が強い程度では、大人と子供以上の開きで隔てられていると評しても過言ではないのだ。
「……グレゴリーさん!? 左ッ!!」
「おや」
人狼の一人が幻炎に惑わされながらもグレゴリーに気付いたか、充血した眼球を向けた。
すでに1メートルも離れていない距離にまで近づいている。
そこは最早、致死の暴風圏。
「グゥルル……ァアアアッ!!」
無造作に持ち上げた爪を鬱陶しげに振るわんとする狂狼。
ホブゴブリンの矮躯など、ただそれだけで充分と蔑むが如き、片手間の即死攻撃。
「危な──」
──ドンッ!! という鈍く重い音と同時に、人狼の巨体が折れ曲がった。
「……え?」
誰もが予想した未来を悉く覆し、グレゴリーは、悶えて頽れる狂狼を見下ろす。
メアリの位置からは人狼の巨体に隠れて見えなかった事実は、しかし単純の一語に尽きる。
グレゴリーは頭上から降る致死の爪を掌底で逸らして捌きつつ、そのまま懐へ踏み込み、筋肉組織の薄い下腹部に肘打ちを叩き込んだ。
捌くに際して関節を折り曲げた状態の肘を、胸の前から地面と水平に滑らせて、相手に肘先を突き刺したのだった。
──外門頂肘。
「……グレゴリー、さん?」
「ご心配なく。すでに『練り終えて』おりますので」
止水の静寂を纏わせた残心から、ゆらりとグレゴリーの体躯が流れる。
すぐ近くで呻いているもう一人の人狼に体幹を向けると、そのまま───
──ドドドンッ!!!! と、重苦しく響く三つの音を発した。
体重200キロはあろうかという怪物が、地面とほぼ平行に飛び、地に転がる。
それは余りに現実感が薄く、にわかには信じ難い、冗談のような光景だった。
「……え、えええ!?」
「拳も、肘も、一撃入れるだけで痺れがきますか。
いやはや、錬功を怠ったつもりはなかったのですがね。
流石は満月のウェアウルフ。この程度では蟷螂の斧ですかな。とはいえ……」
連続した低音は、続けざまに地を鳴らしたグレゴリーの踏み込みの音。
それに合わせて叩き込まれた、拳打、肘打ち、肩裏による体当たりの衝撃音。
その打点は一分の狂いも無く、対敵のみぞおち──水月。
調息、閉息、練気から成る、気息充溢をもってして放たれた白打。
練りに練られた『内功』が、尋常ならざる驚異的な破壊力を生み出したのだ。
──上歩・頂肘・靠・連環套路。
「36拳12脚、しめて48套路。
俄仕込みで恐縮ですが、出し惜しみはしませんぞ」
接近戦を重視し、肘打ちや、肩及び背面部で敵を打ち付ける体当たり技法も多く用いる。
積極的に攻め込むを最上とし、その術理には攻防一体を成す複合戦法が内包されている。
相手の攻撃に身を晒し、のみならず、自ら向かいつつ、突き出した腕でいなし、捌き、そのまま突きや肘を放つなど、複数動作の同時発動をこそ極意とする。
蹴り技は、踵での膝関節や下半身を踏み付けるような下段蹴り抜きを多用。
悪辣にも、敵に向って踏み込む動作自体に、既にして脛への蹴り上げが含まれている。
爪先や足甲にて蹴る動作は一部の套路を除き、あまり使用されない。
かと思えば然に非ず、戦闘において蹴りを放つ事が少ないというわけでは無い。
下段への蹴りは、実戦においてダメージを与えつつ行動を封じる一挙両得の技。
武術として、より確実性と実用性を高めるため、これを多用するのだ。
上記の戦法における拳脚の運用方法から導き出されるその流派とは、即ち。
──東国僧院拳法。
吐息が掛かるほどの超近距離にてその真価を発揮する格闘術。
地に叩きつけるような踏み込みを伴い、重心移動や体勢の急展開を要とし、超打撃力と成さしめる秘伝の武芸である。
「おのれェエエエッ!! 何をやっていルか傀儡どもォオオオッ!!」
この意外すぎる展開を、誰よりも歓迎できないのは魔術師スチュワート。
高次生物の看板を掲げながら、しかし醜態を晒し続ける無様な使い魔たちに向け、無情にもさらなる命令を与える。
呻こうが悶えようが、止まるな。
辛かろうが苦しかろうが、構うな。
いざや殺めよ。ただ疾く斃せ。速やかに。
一際強力で暴力的な思念を乗せて、命令を送り込んだ。
「……一時退避! 陣形を組み直します!」
理解するや、グレゴリーは使用人一同、うち客人一名に指示を飛ばす。
ホリン、ランタンは即座に、メアリは歯噛みしつつやや遅れて。
改めて正面玄関前広場に後退する。
そうはさせじと人狼たちが地を蹴った。
狂気に苦悶と呻吟が混ざり合った咆哮を上げつつ、颶風となって追い縋る。
(まずい、速すぎる……!)
その恐るべき速度に背筋を凍らせるメアリ。
これでは陣形を組む前に、再び乱戦に持ち込まれてしまう。
後退と前進では、攻め易さ守り易さに雲泥の差が出ることは火を見るより明らか。
だが、この場の指揮官たる執事は、ここにきてなお沈着冷静であった。
「……頼みます、オリビア!!」
(……オリビアさん!?)
メアリは後方に控える、妖精の召使いに視線を走らせた。
彼女は開け放たれた玄関の大扉の前で変わらずに、しかし幽玄に佇んでいた。
その背後に、冴え冴えと輝く月の光を鈍く照り返す『無数の銀色』が目に入り──
「──……!!!!」
直後、怒涛の勢いで射出された『何か』の群れを見た。
十、二十と、連続して放たれる銀色の飛来物は、獲物に襲い掛かる雀蜂の群れよりも獰猛に、ただ真っ直ぐ、追い縋る人狼たちに降り注いだ。
無数の風切り音を伴った銀色の飛沫は、不可視の力によってオリビアに操られた──
「な、なにこれっ……!?」
──屋敷の台所に眠っているはずの、銀製の食器群だった。
「グァッ!?」
「ガルゥオッ!?」
「ギャイッ!?」
「……な、にィッッッ!!!?」
メアリとスチュワートの驚きも無理からぬこと。
飛来した銀光は、矢でも弾丸でもなかった。
銀製のナイフ、銀製のフォーク、銀製の皿。果ては銀製の燭台まで。
銀は人外、わけても夜闇の民に連なる亜人に有効なダメージを与え得る金属だ。
オリビアはそれらを操り撃ち出して、人狼たちを迎撃したのだった。
見ればオリビアの表情はいつになく険しい。しかし理由は明々白々。
これらは本来武器などではない。日々の生活のための道具だ。
不本意そうに柳眉を歪めるのは、さもありなん。
それを管理し、清め磨くのが仕事の妖精シルキーである彼女なのだから。
「代理権限譲渡!! 【城砦】管理優先権を『オリビア』へ!!」
それを知ってか知らずか、グレゴリーの声が響く。
厳粛に一礼したオリビアのもとへ、食器たちが舞い戻る。
用途とあまりにかけ離れた、乱暴な使い方をした道具たちへの謝罪に応えるように。
──迎撃術式ポルターガイスト。
攻撃手段に乏しい妖精シルキーのオリビアにアルバートが譲渡した権限は、迎撃魔法の起動トリガーである。
「ホリン、前へ! ランタン、後ろを!」
「アイアイ、バトラー!!」
「ワゥ……!」
オリビアと食器たちが稼いだ僅かな時間を用いて、使用人たちは隊列を組み直す。
前衛として、メアリの左右にグレゴリーとホリンが侍り。
中衛として、ランタンと鬼火の群れが後ろに浮遊し。
後衛として、オリビアと食器たちが控えた。
いけるか。一瞬自らに問うたグレゴリーは、しかし。
(厳しい、ですね……!)
彼我の戦力差を冷静に分析した結果、胸中で否定した。
「「「「 グルルルルゥ……! 」」」」
ここまで味方に被害無く、ほぼ一方的に攻め立てた。
しかして相手にもまた、ほとんど被害らしい被害は無かった。
金色の瞳に浮かぶ狂気は変わらず、与えたダメージは恐ろしい速度で回復し続けているのだ。
戦いは間もなく持久戦の様相を呈するだろう。
そうなれば継戦能力において圧倒的に劣る味方の不利は覆らない。
地の利こそあるものの、決め手を欠いたままでは勝利は無い。
いっそ、オリビアに『切り札』を使わせるか……?
グレゴリーが内心で呟いたその時──
「……ヘルメス神官長の予想通り、か……畜生らめが」
──第三の勢力が、この場に現れた。
忌々しげな声にその場の全員が反応し、オークウッド邸敷地内に踏み込んできた黒い影を見た。
夜に溶け込むカソックの黒と、闇の中でも光を失わぬ白絹のヴェール。
肩までで切り揃えた少し不ぞろいの金髪を夜風に揺らし、胸に下げるは銀のロザリオ。
玲瓏たる月光を浴びて輝くのは、美しい輝きに反してあまりに暴虐的な凶器、儀礼済み大銀槌。
「父と子と聖霊の御名において神罰を下すもの也──覚悟せよ、外道」
群青の瞳に瞋恚の炎を宿した断罪の乙女。
唯一神教武装神官、シスター・イーリスがそこにいた。
- 続 -




