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アルナイル~光を求めて~  作者: 伊藤おかし
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23話 初めての採取


僕はログインして1時間も経たずして再び宿屋のベットの上で目を覚ます。なんて事はない、フルモンキーの数の暴力に敗北したのだ。


 「プハー 、これが仮想世界での死か…」


 確かに僕は先日のアンネロゼの戦闘を見た経験を活かし、幸先の良い戦闘をしていた。だが、順調なのは最初だけだった。スタミナが早々尽きた僕は、走り続ける事ができず四方八方から来るフルモンキーの群れに包囲されていた。


 それだというのに僕ときたら「もっと速く、鋭く」途中からフルモンキーの群れに勝つ事より、今日晴剣館で見たあのイケメンや師範の動きを真似、自分なりの理想の攻めを追い求め過ぎて気付けばHPゲージが大変な所まで減っていた。


 体力ゲージを見て最初は焦ったけど、まぁ死ぬわけじゃないしと開き直り、最後迄技の練習をしてたら背後から撲殺されてしまった。

 今日教えてもらった事を意識したけど全然実践できなかった。もっと、もっと戦って試していかないと。

 

 1人反省会がある程度纏まると、次に目の前にずっと表示されていた赤いウィンドウに目が行く。


「デスペナルティ?アバターが死んでしまった為、ステータスが一定の時間低下します?えっ、死だらこういうのあるの?!」

 

 これは困ったなー、これからあの猿共にリベンジマッチを申し込みに行こうと思っていたのに、これでは勝ち目なくないか?!


「はぁー」

 溜め息1つで、リベンジしに行きたい欲求をどうにかして押さえ込む。


 溜め息を吐き終え気持ちを切り替えた僕は、当初の目標であったサブウェポンの入手を優先する事にした僕は刀では無くツルハシを腰に刺して再びフンバナ大森林に向かって歩き出した。


 再び戻ってきたフンバナ大森林を細心の注意を払いながら探索する。目指すはこのエリアの各地に点在する洞窟だ。そこで剣の素材に成りそうな鉱石が採取出来るらしい。


 まぁ、今モンスターに襲われたらひとたまりもない為エンカウントしない事を祈りながら進事10分、急斜面になっていた場所を見つけた為その辺を探索し、漸くそれらしい場所を発見する。


「漸く500ゴルもしたツルハシの出番だな」


今日は掘るぞー。ツルハシを片手に洞窟の奥へと進んでいくと中は、外の大森林特有の緑の世界から一変してゴツゴツとした岩肌に囲まれる岩窟の世界へと切り替わっていた。


 草原から大森林と翠が広がるエリアで探索していた為か別の世界に迷い込んだ感じがする。奥にすすもうとするが、真っ暗な世界が広がっており、明かりが無い今奥での採掘は無理だろう。


 余り奥に行くと日の光が届かない為、洞窟エリアの浅い所で場所で採掘を始めるが、問題はここからだった。


「おっも?!」


 このツルハシ、デスペナルティで筋力が下がってる事も相待って凄く、いや物凄く重いぞ?!


 現実で重くした竹刀で素振りした事を思い出させられる。まさか仮想世界に来てこんな大変な作業をするとは夢にも思わなかった。


「こんなに大変なのに、お目当ての鉱石は出ないって、やる気無くなっちゃうなー」


 愚痴らずに続けられる程採掘作業に興味が持てない事や、本当にこのままここを掘ってても大丈夫なのかという懸念もあってか、次第にツルハシを振るペースが落ちてくる。


 不味いなこのままでは、収穫なしで500ゴル失うだけで終わってしまう。なんとかして、何かしら使える物を掘り当てねば!!


 僕は荒い息を整えながら不安を一旦押し殺して考える。用は辛い作業だと考えてしまっているからペースが落ちるのだ。


 何かしら楽しい事に結び付けられればいけるはずだ。僕は両手に握られているツルハシをジッと見つめながらツルハシを振り回して楽しい物に頭の中で変換していく。


 思い浮かぶのはやはり刀だ。見た目も格好良いし、重くても何故か振い続けたくなる魅力を持っている。


「よし、お前は…名刀ツルハシだ」


 脳内変換を完了した僕は愛刀を振るうかの様に、素振りのフォームでツルハシを振るう。振るわれたツルハシは豪快に岩肌を削る。


会心の一撃だったのか良い音がなり、岩肌から青みがかった鉱石を露出させる。


「やっと1個目だ」


 漸く出た鉱石のお陰で幾らか僕の不安が払拭され、思わず笑みが溢れる。この重めの素振りをやり続けても現実の筋力は鍛えられない。しかし、フォームは別だ。こっちでもたくさん振って感覚を研ぎ澄せば現実に戻った時役に立つかもしれない。


 僕はその後も黙々と名刀ツルハシを振り続け採掘していった。


 1時間半後、あの後満足いくまで振り続けた結果そこそこの数の鉱石が手に入った。中でも最初に手に入ったこの青みがかった鉱石の水彩鉱石、と最後の方に出た黄色い石の黄金輝石に期待したい所だ。


「なんとか素材や金になりそうなの手に入ったし、そろそろ戻るか」


 洞窟の外に出ると既に日沈んでおり、太陽の代わりと言わんばかりに月明かりが僕をを照らしてくれる。


 僕の視界には昼間のエリアとは一風変わった冷たい印象を与える夜の森が広がっていた。


 何気に夜の森って怖いなーと考えながら名刀ツルハシをしまい。愛刀名も無き刀を装備し直す。帰るまでが探索だ。変なモンスターに絡まれたりしない様に慎重に行動しよう。


 「ねぇ君、お姉さんと遊ばない?」


 はい。モンスターに絡まれるより先にプレイヤーに絡まれました。


僕は鈴を転がすような声が飛んできた方角に向き直り、森の奥から段々と近づいてくる。女の人にお断りを入れる。

「ごめんお姉さん。悪いけど僕はこれから街に戻るつもりなんだ。ナンパなら別の人にしといてよ」


 森の奥から月に照らされ杖を持った10代後半の美少女が現れる。「あら残念…じゃあ、送ってあげるよ。デスペナルティ付きでね」


 彼女のプレイヤーネームは赤くなっており、オマケに笑顔のピエロマークも付いている。


 完全にこの人フライが言ってたPK(ピーケープレイヤー)じゃん。


 僕の初めてのVR対人戦闘が始まる。



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