21話 折れない
はい、昨日の居残り稽古で初恋の相手、栗花落皐月先輩から同志という肩書きを得た宮地翔です。
僕は今、1週間振りの久々の定休日だというのにショウちゃんと通い始めた晴剣館にて稽古をしています。
いつもと違う年齢層やメンツ、などの学校の部活とは違う周囲の環境に戸惑う事はあってもやる事は変わ無いと信じ竹刀を振っています。
何故敬語なのかって?そうでもしないとあの無駄に爽やかなイケメン警官に、喧嘩を売ってしまいそうだからです。
そうあれは、稽古前の挨拶のこと。
「今日からお世話になります。宮地翔です!!よろしくお願いします」
「同じく進藤将吾です。よろしくお願いします」
挨拶を済ませた僕達に話しかけてくれたのは、栗花落先輩ではなく、ショウちゃんの従兄弟でイケメン警官をやってる。葉山冬獅郎22歳だ。
「将吾!!これから宜しくな。身内だからって手加減しないぞ」
「うん。これから宜しく」
「ああ、それから君もだ。俺は葉山冬獅郎よろしくな」
「よろしくお願いします!!」
「ああ、宜しく。わかんない事とかあったら俺や同じ学校の栗花落に聞いて良いから頑張れよ」
近くにいた栗花落先輩に話題を振り急に話を振られた先輩は、相変わらずのポーカーフェイスで視線を1度こっちに向ける。僕と目が合ったあと、コクンと頷き去っていく。
「オッケーだってよ。良かったな後輩君」
「は、はい」
僕のこの人の第1印象は見た目通りの爽やかな人っていう印象だったが変わったぞ。気安いぞこの男、栗花落先輩に気安いぞー!!ショウちゃん!!僕はこの男には絶対に負けんぞー
隣にいたショウちゃんは、隣で隣で馬鹿みたいに闘争心を燃やす僕を見て溜め息を吐いた。解せぬ。
そして現在鍔迫り合いから技を出す稽古、引き技の稽古を終えた後、師範の東野孝吉にありがたい言葉をもらう。
「見とり稽古もれっきとした稽古の一つ。レベルの高い人の動きを見るのも勉強になる。見る事で自分にない物をみつけよう」
「「「オッス」」」
師範の言う通りだ。あの爽やかイケメン警官は、とっても強いってショウちゃん言ったたよな。ライバルの動きを参考にするなんてなんか釈だけど、強くなる為ならなんだってやってやる。
そう意気込んでいると、隣にやってきたショウちゃんに小声で耳打ちされる。
「覚悟して見とけよ。あの人マジで全国トップレベルだから」
「えっ?うん」
正直言って僕はあの爽やかイケメンを舐めていたと言っていいだろう。だが、今日僕は衝撃的な実力差を地稽古をする爽やかイケメン先輩に叩きつけられる。
素直に尊敬すると同時に、このレベルに達するのに自分はどれだけ掛かるのだろうと考えてしまう程に魅せられる。
強くなって大会に出るレギュラーになり、大会でも結果を出しまくり先輩に告る。言うは易しだが、とてつもなく無謀な挑戦だと再認識させられる。
だけど僕は絶対に折れてやらない。頑張ってる僕に勇気をもらってるって、あの人に言ってもらえたんだ。あいつが、どんなに凄かろうが絶対に折れるもんか!!
僕は更なる闘志を燃やし、稽古に打ち込んでいった。
数時間後、僕の初めての晴剣館での稽古が終わり、ショウちゃんと一緒に帰路に着いていた。
「ショウちゃん。もう無理、歩けないよ」
「頑張れ、絶対帰れる俺達は、家に帰れるぞ」
中学に上がりたての僕達は体が全然出来てない為、身体が悲鳴を上げ筋肉痛や体力不足で疲れすぎて、変なハイテンションになっていた。
僕達はやっとの事で近所の公園近くまで辿り着く。ゴールデンウィークは授業はないけど部活動をやる者にとっては完全休養日にならない為、小学生時代が恋しく感じる。
「剣道ってなんでこんなに重いの?!マジあり得ない。辛いでも頑張る!!」
「なぁ、翔」
「ん?」
僕がそうやってハフハフと息を切らしながら身体の節々の痛みに泣きそうになりながら激を自分に送っていると、ショウちゃんに話しかけられる。
「どうだ?やって行けそうか?」
幼馴染みの心配が、心に沁みる。恐らくあのイケメンに僕の向上心が折られてないか心配しているのだろう。いつも周りを見ていて配慮をくれる幼馴染みの優しさに思わず笑顔になる。
「ショウちゃん。僕あの人に勝ちたいよ」
「…翔」
「今のところ負けてる要素しかないけど、絶対勝つ」
「そうか」
僕の根拠のない宣言を聞いた幼馴染みは微笑を浮かべ帰宅への歩みを再開させる。そして僕は置いていかれない様に着いて行った。
なんとか帰宅し既に親が沸かしてくれていまお風呂に入って夕食をおかわりしまくって完食した後、僕は動かない身体を引きずりながら2階の自室に戻り、ダイブギヤを手に取る。
「へへ、どんなに身体が動かなくてもこれがあれば実践経験を積める。僕の全財産叩いた甲斐があったよ」
これが有れば身体が疲れて動かなくても今日見た葉山冬獅郎や師範の動きの技の再現に注力できるぞ!!
僕は、更なる強さを求めunknown journeyの世界にダイブして行った。




