夢視
夢を、視たんだ。
でも、憶えていない。うろ覚えですら、ない。
『観た』という、記憶しか……ない。
そんなこと、あなたはあるだろうか。
筆者には、よくあるんだ。
眠っている間に観る、なにか。
起きると、霧散している、なにか。
よく、目標を『夢』と呼ぶけど。
人の夢と書いて、儚いというけど。
なんだか、妙にしっくりとくる表現だな……と、思う。
どうだろう? どう思う?
夢の中だけでも、楽しく、幸せであって欲しいけど。
起きると、じっとりと——嫌な気分だけが、残っている。
頭の——身体の——内側に、纏わりつくように。
朝は、嫌いだ。
毎日、思う。『起きたくない。朝なんて来なければいいのに』と。
だが。
夢の中にすら、逃げ場所がないのではないのか。
そんなふうに、考えることも出来るわけだ。
そう。出来て、しまうのだ。
幼い頃から、寝ることが好きだった。
そう、思い込んでいたけど。
実は、起きたくなかっただけなのかも知れない。
起きると、『現実』と向き合わなくてはいけないから。
すぐに疲れてしまっていたのかも知れない。
幼い筆者にとっての現実は、重たいもの……だったのだろうか。
自分では、よく変な空想をする、生意気で怠惰な子供だったように思うが……。
実は、違うのかも知れない。
過去の記憶も、鮮明ではない。だから、はっきりと断言しきれない。
ああ、そうか。
ならば、人生とは。
『夢』なのかも知れないな。
なるほど。
儚いことだ。
では、次に目覚めた時には——。




