悪ってなんだろう
幼い頃から散々言われた『悪』という言葉。
人間の創り出した、概念のひとつ。
対義的な概念としては、良、善、聖……などがあるのだろうか。
「また悪いことばっかりして!」
悪戯や、大人の言うことを聞かなければ、言われることだ。
「嘘吐きは泥棒の始まりだよ!」
言い訳や、作り話をすると言われることだ。ついでに、「泥棒は悪い人間だ」とも教えられる。
こんな場合は、発言者にとって都合が"悪い"場合に使われることが多い印象だ。
この発言——考え方は、道徳的・倫理的な感覚に基づいているように思う。
"悪"というものは、つまり道徳に反したものということなのだろうか。
日本の刑法としては、放火は殺人よりも重罪とされていると思う。これは、延焼の可能性が高い住宅事情や文化背景が密接に関わっていそうである。
この、法に抵触する行為は、犯罪と呼ばれ、悪いこととされている。
では、その法がなかった頃は、どうだったのだろうか。
"悪"とは、どのようにして生まれた概念なんだろうか。
人間は、他集団や他種族を、躊躇なく殺していたはずだ。
利害関係によっては、近しい者すら害しただろう。
人間とは、そもそもが、そういう生き物なのだから。
おそらく、そんな頃には、『勝者こそが善』『死人に口なし』という感覚だったのではないだろうか。それこそが、生存競争だったのだろうから。
法治国家となった現代社会でも、そんな概念を持って事に当たる場合は往々にしてあると思う。戦争など、まさにそれだ。
利己でしかない人間が、個人をよりよくせんがために利他をして、膨れ上がって出来あがった社会だと思うが。それをより円滑に進めるために、善悪という概念が出来たのだろうか。それとも、死にたくないと願った者が、言い出したことなのだろうか。
現代をみると。殺人は悪だとされているが、戦争は悪ではないらしい。要求を呑まない国は"悪い国"なので、攻めてもいいようだ。
どうやら、"悪"とは、社会を邪魔するもの——といった感じらしい。
そして、小さなコミュニティのローカルなルールで塗り替えられたりもする。
さらに、個人を邪魔するものも、悪とされる場合もあるように見受けられる。
"悪"とは、なんなのだろう。
必要悪という言葉もある。
どうやら、悪は必要なものらしい。
悪いものが必要とは、これ如何に。だったら、概念として善悪を分ける必要がないだろうに。不思議なものである。
一度生まれた概念は、変遷するから仕方がないのだろうか。
原初の悪って、どんなものだったのだろう。きっと、現代の感覚とはまた違ったのものだったのだろうな。
現代の"悪"には、権利という概念も密接に関わっているように思える。権利が認められなければ、悪……とされるように思う。
小さな悪から、大きな悪まで。世界は、悪で溢れている。
では逆に、良いこと——善——とは、なんだろうか。
義と呼ばれる概念——正しいとされるものは、正義と呼ばれていると思うが。対義語的には、不義なのだろうから、善や良とはまた少し違った概念なんだろう。
だが、正義と悪などという表現もある。使われているシーンをみると、対決するときの、煽り文句なのだろうか。
見た感じ、正義が悪と見えることもあるからな。まぁ、気持ちの問題なのかも知れないが。
本当に、悪とはなんなのだろうか。
……映画、観過ぎたかも知れない。
人間ドラマ系は、総じてリアリティが高めなのだ。『いるいる、こんなヤツ』と、思わされることが、かなり多いのだ。
そして、世に言う『善人』は、出てこない。『善良な市民』という言い方をよくするが。小さな悪事を行っていたり、無意識な悪意を放っていたりするものだ。人間は、総じて利己なのだから。
そうして、筆者は、ぐるぐると——答えの出ない問いを、考え続けることになるのだ。
なんてこった。
自業自得が過ぎる。
これは、"悪い"ことだな。




