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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
188/192

188 あるカフェ



あるカフェ




ゆたかは原宿の歩道を歩いています。

設計事務所との打ち合わせが終わったのです。

例の原宿の設計事務所です。


先週は、部下というか同僚の「渡邊みなみ」も一緒でしたが、今日は居ません。

今日は、アメリカ企業大型物件の社内打ち合わせがあり、そちらに出席しているのです。

ゆたかが推薦、いや、部長推薦の鈴木君も一緒です。

部長も一緒に出席しているので、ゆたかは安心して原宿の設計事務所との打ち合わせに来れたのです。



実は、昨夜、おとうさんがゆたかに嫌味?を言ったのです。

「明日の社内打ち合わせ、お前は出ないのか?」


「俺の代わりに、うちの部長が出てくれるから ・・・ 」


そう言われては、おとうさん、いや、役員としては、それ以上は言えなくなりました。


ちょっと、面白くない様な態度の役員おとうさんです。


上司と一緒の家に住んでいると、碌な事はありません。



そんな事を考えて歩いていたら、いつの間にか、原宿のカフェの前まで来ていました。


カフェに入った時、格好つけて、「いつもの」と言ってみました。

美智子だけでなく、オーナーのおば様にも笑われてしまいました。


いつもの様に、お店の一番奥の、大きいテーブル席に陣取ります。


でも、いつの頃からなのかは分かりませんが、ゆたか専用のマグカップで、コーヒーが運ばれてきました。

他にも店員さんがいるのですが、ゆたかの頼んだものは、必ず美智子が運んできます。

「はい。 いつもの。」


そう言って、コーヒーの入ったマグカップが置かれました。

美智子。

「ついでに、スペシャル。」


そう言っておかれたのは、パンケーキです。

「ナオミおねえちゃんが作った、プロテインタップリのパンケーキよ。」


ナオミは、色んな所で、色んなものを作っているようです。


多分、今日、このパンケーキを食べた事は、ナオミに連絡が行っていると思います。

そんな訳で、良く味わっていただきます。

家に帰れば、必ず、感想を聞かれるからです。


見た目は普通のパンケーキです。

一口食べてみました。

甘くありません。


怪訝な顔をしていると、美智子が何やら持ってきました。

「バターとシロップもいる?」


「やっぱり、パンケーキには甘さが欲しいな。」


「バターは普通のだけど、シロップは砂糖不使用よ。」


「ふ~~ん ・・・ 」


「ほら、このお店からジムに行ったり、ジムから帰って来てからこのお店に来る人がいるでしょう?」


「うん。」


「そんな人の為に、プロテインタップリのパンケーキを作ってみたんだって。」



でも、実際は違います。

「太った」と思い込んだナオミが、痩せる為にジムに通いました。

筋肉を付ければ、痩せやすいと考えたのです。


そしてナオミは ・・・

鍛えたのです。

頑張ったのです。

痩せたかったのです。


でも、プロテインタップリの食事をたくさん食べていたので、筋肉が付いたのです。

そして、増えた筋肉の分だけ、体重が増えました。


まあ、プロテインタップリのパンケーキは、その時の名残です。

お店に出すという事で味に工夫がしてあって、甘くないのですが美味しいのです。



お店の奥から、知った声がしました。

「おう、ユタちゃん。来てたのか?」


「あ、ジイジ ・・・ 」


「そんなパンケーキより、こっちのバウムクーヘンを食べないか?」


「あれ? バウムクーヘンって、そんな切り方をするの?」

大き目のお皿の上に、削いだような切り方をしたバウムクーヘンがたくさん乗っています。

お皿の横には、タップリの生クリームが乗っています。


「ユーハイムのバウムクーヘン、日本で一番最初にバウムクーヘンを作ったのは、ここだよ。 バウムクーヘンの切り方も、”扇形” ではなく、削ぎ切りが正統なんだ。」

【昔あった、渋谷の ”東急文化会館” 1階のユーハイムのレストランでは、バウムクーヘンを頼むと、こうやって出てきました。】


「ふ~ん。 折角だから、どっちも食べる。」


「太るぞ。 パンケーキなんか、止めておけ。」


「ジイジ。 このパンケーキ、ナオミが作ったヤツだって ・・・ 」


「え~~~~~~~~~~ ・・・ 」

ジイジの顔色が青くなりました。

「い、今のジイジの発言は、忘れてくれ! ナオミには絶対言わないでくれ、頼むから ・・・ 」


ジイジが怖いモノ ・・・ それは、バアバです。

それにも増して怖いモノがあります。

それが、ナオミです。


どういう訳か、ジイジもおとうさんも、ナオミには頭が上がりません ・・・





さて ・・・

このビルは、他のビルと同じくらいの高さです。

普通のデザインで、目立ったところはありません。


遠くからはビルがあるのが分かるのですが、近付くと分からなくなります。

「分からない」というより、「気にならなくなる」のです。



このビルの1階にカフェがあります。

ビルの形は普通ですが、カフェには大きいガラスの窓があります。

窓際の席には、長い足を綺麗に揃えた素敵なお姉さん方が外を見ています。


魔女は足を組んだりはしません。

長い足を横にずらしているので、足が組んだように見えるのです。

足を組むことで骨盤が歪み、その歪みが体全体のバランスの悪さを引き起こします。

わざわざ、人間の悪い癖を真似る様な、愚かな魔女は存在しないのです。



中からは外の景色がよく見えます。

普通なら、外からも中の様子が見える筈なのです。


でも、誰もカフェを見ようとはしませんし、入ろうとしません。

素敵なお姉さん方が物憂げに外を見ているというのに ・・・


外の歩道を歩いている誰も、大きいガラス窓ではなく、ただ壁があるかの様に通り過ぎて行きます。


「気にならなくなる」というより、「分からない」のです。

魔法が掛かっているのです。

ですから、魔女や鬼女や魔法使いの関係者でないと入れないのです。




このビルには、魔女や鬼女や魔法使いをサポートする施設が入っています。

でも、ナオミの夫のゆたかでさえ、カフェ以外には行った事がありません。


上の階には「保育室」や「学童」があります。

結構、利用している魔女や鬼女がいる様です。

でも別に、強制ではありませんから、地域の保育園や学童でも問題はありません。



子供の魔女の場合、訳も分からずに魔法を使う事がありますが、そんな時は「魔法を使えなくする魔法」を子供に掛けることが出来ます。

基本的には、母親が自分の子供にしか掛けられない魔法です。

でも、ここの保育園の関係者は、子供であれば「魔法を使えなくする魔法」を掛けることが出来ます。


対象は「子供」だけです。

他の魔女から「魔法を使えなくする魔法」を勝手に掛けられては堪ったものではありませんから ・・・


制限のある魔法は多いのです。

長い魔女の歴史の中で、魔法も進化してきたのです。



魔女は普通の小学校や中学校、高校に入学します。

希望すれば、ジイジやバアバが理事長をしている○○学園へも入学できます。

お金持ちの多い学校なので、入学金や授業料は高いのですが、魔女の団体から補助が出ます。


魔女は記憶力が良く、結果的に勉強が出来ますから、少し頑張れば「特待生」で授業料を無料にすることが出来ます。

因みに、ナオミやきららは特待生で、授業料を払った事はありません。



ビルの上の方には、医療機関もあります。

一応入院可能ですが、それほど大きい施設ではないので、難しい病気は大きい病院に回します。

勿論、そんな大きい病院には、魔女やその夫の医者がいる病院です。



事務所もあります。

魔女の団体の事務所です。


鬼女の事務所もありますが、鬼女の事務所は「東京支部」で、「本部」は京都駅の近くのビルにあります。

鬼女の大元は京都なので、そういう事になっています。

鬼女は、日本のみの種族です。

魔法を使う時に目が金色に光る事と、怒りが頂点に達すると「般若」に変わる事が魔女との違いです。

基本は魔女と一緒ですが、日本で固有に進化した種族なのです。


魔女と一緒で、「女の鬼」、「山姥やまんば」等と言われるものも、鬼女です。


昔、程度の低い男が鬼女に良からぬ事をして、コテンパンにされた腹いせに、「女の鬼」、「山姥やまんば」等が出た、とふれまわったのが始まりです。

魔女と一緒で、人間からの迫害から自分や自分達を守る為に、強くなったのです。

美人でスタイルの良い女性にコテンパンにされたとは、口が裂けても言える訳が無いからです。



今の魔女の日本代表は、おかあさんです。

期間がある持ち回りです。

以前は、原宿のカフェのオーナーも日本代表をやっていました。


鬼女の代表は、京都のひとです。

以前は、美智子の母親がやっていましたが、この間、京都の若手の鬼女に変わりました。


魔女も鬼女も「絶滅危惧種」なので、昔は対立していたようですが、今は協力して生きています。



保育園や学童の上のフロアーに、相談窓口があります。

「育児の不安」や「子供の進学・就職」等、多岐に渡ります。



ナオミと一緒で、「太った」は「いけない事」と思っている魔女も多いのです。

魔女の「じょ」は「おんな」なのです。

そんな魔女の為に、ダンス教室やヨガ教室等のエクササイズを教えているフロアーもあります。

講師にハルミもいます。

ファッションモデルを目指していたくらいなので、お得意です。


実際、痩せるのには「食事の見直し」が一番です。

それについても教室があります。

管理栄養士の魔女が、親切に教えてくれます。


ファッション関係の教室もあります。

こちらの講師にもハルミの名前があります。

ソッチ方面では、ハルミは人気者です。



他にも色々ありますが、フィットネスの施設はありません。

歩いて直ぐのところにジムがあるからです。

魔女の団体が「法人会員」になっていて、気軽に利用できます。



ビルの地下には「道場」があります。

学生の魔女は、強制的に通わされています。

柔道ではなく、空手と合気道です。

女の子なので、組み合って戦うものではなく、離れて戦うものを教えています。

空手はバアバも講師の一人です。


本当は、ゆたかの姉のヨーコも空手が上手なのですが、寸止めや手加減が出来ないので、講師にはなれません。



他にも色々な施設が、フロアーごとにありますが、魔女が安全に安心して暮らせる事を、一番に考えているものばかりです。

実際は、外から見えるフロアー数の倍以上の階数がありますが、4次元の空間を利用しているので、高層ビルにはなっていません。



また、魔女は「人間の違法な行為で集められた資金」をチョロマカシて搾取しているので、全ての事には利用料金は掛かりません。



また、どうやって集めているのかは分かりませんが、魔力をストックするシステムがあるのです。


普通の魔女は、ナオミの様に魔力が強くはありません。

逆に言えば、ナオミが異常なのです。

ですから、「子連れでの瞬間移動」は沢山の魔力を必要とするので、難しいのです。

そこで、たくさんストックした魔力で、子連れのママ魔女の瞬間移動をサポートしています。



至れり尽くせりなのです。




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