13:道中とこの世界の地理。
帝都ヴァリアルを出て早半刻。たくさんの馬車に追い抜かれながらてこてこと歩いていく。
僕は勇者をやっていただけあって、普通の人よりは足が速い。なので同じころに北の大門を抜けてきた人たちを置き去りにしつつ、けれど朝一番に出た人たちには追い付けない。だから周りにはだーれもいなかったりする。
そんなわけで街道を一人歩きながらこの世界の地理についておさらいすることにする。
この世界は地球と同じようにまぁるい星の形をしている。
北極に当たる場所にあるのが第一大陸。南極に当たる場所にあるのが第八大陸。第一大陸と第八大陸の間をぐるりと一周するようにあるのが第二から第七大陸だ。
第二から第七大陸の位置は第一大陸を中心に見た場合、南に第二大陸、北に第三大陸、北西に第四大陸、南東に第五大陸、南西に第六大陸、北東に第七大陸だ。
大陸それぞれの環境としては、地球とは全然違うとしか。
この世界の環境を決めるのって、緯度とか経度とかじゃなくって、神様たちなんだよね。正確には神様の意向を受けて世界のバランスを整えている精霊たち。
精霊たちは六つの属性に分かれている。この世界を構成すると言われている火、水、風、地、光、闇の六属性だ。
精霊たちは世界中に漂って世界のバランス、マナと呼ばれるエネルギーの流れを整えているんだけど、時々一つまたは二つの属性の精霊が一か所に集まる事がある。そうするとその場所が段々一つまたは二つの属性に傾いていって、環境を変えていく。
例えば火属性の精霊が一か所に集まると火山地帯になったりとか、水属性の精霊が一か所に固まるとおっきな湖ができたりとかして。
例えば火属性と地属性の精霊が一か所に集まると砂漠地帯になったりとか、水属性と風属性の精霊が一か所に集まると豪雪地帯になったりとかする。
そんな感じで、全部の環境はそこにいる精霊の比率によって変化していくんだ。
話を戻して。
とりあえず他の大陸の事は置いておいて、まずは今から旅するこの大陸、第一大陸「神秘の大地 アリアル」を詳しくおさらいしていこう。
アリアル大陸と呼ばれる事が多いこの大陸は、魔王に蹂躙されなかった唯一の大陸だ。だからかな、五〇年前…魔王の猛攻が始まってからは「人類種最後の楽園 アリアル」と呼ばれる事も多くなったみたい。
アリアル大陸には神聖帝国リリヴァル・ターレ、通称リリヴァル帝国を中心に、大小十個の国がある。一番大きいのはもちろんリリヴァル帝国だ。
気候的にはそうだな、日本が近いかな?ただし春と秋が長くて夏と冬が短いし湿気も少ないから日本よりも過ごしやすいけれど。
アリアル大陸は縦に長い楕円形をしている。大陸の中央には「はじまりの島」があって、そこを囲うようにリリヴァル帝国の帝都ヴァリアルがある。
帝都ヴァリアルの周辺は元々広大な草原が広がっていたけれど、この三〇〇年の間に殆どが畑になっている。まぁ、他六大陸の食料の殆どをアリアル大陸が賄っていたからね。耕せそうな場所は殆ど畑にしちゃったんだ。畑にしなかったところもほぼ牧場だし。
帝都ヴァリアルから繋がる道は三つ。北、西、南。北東から南東にかけてはティティリア山脈と呼ばれる大山脈地帯があって、その向こうは海なので国はない。だから東には道がないんだ。
ちなみにこのティティリア山脈、半円を描くのように北東と南東から東にかけて段々と大きく分厚く複数の山が連なっていて、帝都ヴァリアルと山脈との距離は結構近い。すぐ裏手ってわけじゃないけど、山の麓に別の町を作るには近すぎるな、って感じかな。
だから帝都ヴァリアルの東側は貴族や軍部が利用する土地となったみたい。貴族たちが所有する馬の牧場があったり、軍部所有の牧場があったり訓練場があったりと、関係者以外立ち入り禁止区域だったりもする。ヴァリアルの東側が貴族街になったのは、東側の土地を有効利用するためだった、ってわけです。
ちなみにヴァリアル城が南を向いてるのは、西の湖と東の山脈が正面にも裏にも向かなかったから。北は北で建国当時はちょっと問題があったらしいよ?だから消去法で南が正面なんだって。
リリヴァル帝国の領土はアリアル大陸の大体三分の一。西にあるリリヴァル帝国唯一の港町を中心に三角形を描くような感じかな。
国境となるのは二つの大河。北の国境はティティリア山脈の北東から西の海に向かって真っすぐに流れるアリア大河。南の国境はティティリア山脈の南東から西の海に向かって蛇行しながら流れるアリル大河だ。
アリア大河の対岸には四つの小国あって、その向こう側に大国が一つある。
アリル大河の対岸には大国が一つと中規模の国が一つ、小国が一つの計三つ。その向こうに中規模の国が一つある。
これにリリヴァル帝国を加えて合計十個。アリアル大陸にあるすべての国の数であり、大まかな位置だ。
それぞれの国の関係はおおよそ良好、かな。北側も南側もそれぞれでちょっと仲が悪い国同士もあるけれど、許容範囲内。少なくともリリヴァル帝国とは良好らしいよ。
元々リリヴァル帝国は「神教」の総本山としての立場から人類種同士の戦争に断固反対、中立、専守防衛を国是に掲げてるからね。争いになった場合、酷くなる前に止めに入ってたんだって。だからリリヴァル帝国は「調停国」なんて言われたりもするらしいよ。
まぁ、そもそもここ三〇〇年はそれどころじゃなかったから、ね。でも平和になって、皆色々考えてるみたいだからなぁ…。二十年先は危ないかもしれない、って宰相さんが言ってたっけ。
まぁ、僕は勇者の立場からどこか一国に肩入れできないんだけど。するつもりもないし。しても七英雄のいる国くらいじゃ…?
あー、でも一方的な侵略とかだったら止めに入るかな?まぁ、その時になってみないとわかんないよね…。争いなんてない方がいいんだけどなぁ。
さて気を取り直して!僕の旅の予定だけど。
今回はリリヴァル帝国を巡ります!隅々まで、ってわけにはいかないけどね。比較的大きな街は全部行こうかな、って。
東には街がないから、北から西回りで南に行って、また帝都ヴァリアルに戻ってくるつもり。
んー、一応転移魔法も使えるんだけどね。戦争中はよくそれであっちこっち行ってたし。というか転移魔法なかったら間に合わなかった場面とかいっぱいあったからね!本当に転移魔法様々だったよ!
でも、そんな便利な転移魔法も今回は使わないつもり。自分で歩いたり乗り物に乗ったりして行くから旅なんだし。まぁ、何かあったらその限りじゃないけどね…。
リリヴァル帝国を巡り終わったら転移魔法解禁してもいいかなぁ。シャルたちに会いたくなったらパッと帰ってこれるし。まぁ行きは自力で頑張るけどね!帰りならいいよね!やっぱり便利だし!
というわけで、ハイド領はサージェの街目指して歩くぞー!
あとで書き直すかも?そして書き溜め終了につき不定期更新に入ります。




