パンダさんの君の知らない物語!
賑やかな夕暮れ。街は浮足立っていた。
雑踏や喧噪に疲れ、私はアテもなくさまよっている。
田舎から出てきて早17年、思えば遠くへ来たものだ。
コツコツとイラストを描いてきた。
古いアパートで独り暮らし。家族も友人知人もない。
だが、私は満足していた。私はこの街を愛している。
フト、道ばたに黒ずくめの少女が立っていた。
魔界コス?少女は無言でチラシを差し出す。
「黙って座ればピタリと当たる!
アナタの知らないアナタのヒミツ!
星は何でも知っている!」
少女が指さす先、ウス暗い路地へと私は入っていった。
こんなところに来るのは初めてだ。
いや、こんなところがあることすら知らなかった。
足元がジメジメしてる。すえたような異臭。
両サイドがコンクリートの壁で圧迫されそうだ。
引き返そうか?今ならまだ間に合うかもしれない。
古びた電柱に裸電球がポツリ。
その真下に乱暴な手書き「占い」の看板・・・
黒ずくめの占い師が、水晶玉を前にうずくまっていた。
化粧の濃い若い女が、なにやら熱心に語っている。
少々酔っているのか、女は苛立だし気だ。
占い師はうつむいたままボソボソつぶやいている。
「違う!ウソだ!そんなの、デタラメだ!」
とうとう女は大声で叫んだ。怒りと屈辱に震えている。
女は占い師に罵声を浴びせ、泣きながら走り去った。
占い師は小さくため息をついている。
私はその場を動くことができない。
占い師が気づいて顔を上げた。
「いらっしゃい」
占い師は、占い師は・・・パンダだった。
いやっ私は別に・・・
「待って!お静かに・・・ははあ、アナタは困ってますね」
えっ、一体何のこと?
「わかります。アナタは困ってる。だから、ココに来た」
あのぉ、私は・・・
「ふふふ、心配はいりません。すべてボクにオカマセを」
だから、別に何も・・・
「アナタは平凡なサラリーマンだが、酒とバクチで身を滅ぼした」
はあっ?
「奥さんは宗教にハマリ、娘はグレて一家離散!」
おいおい、何を言ってるんだ!
「RPGアプリに課金しまくり、サラ金から借金まみれ!」
「メイド喫茶の推しに入れ込み、会社の金を横領!」
「通学途中の女子高生をいつもイヤラシイ目でガン見!」
違う!ウソだ!そんなの、デタラメだ!
とうとう私は大声で叫んだ。怒りと屈辱で震えている。
私はパンダに罵声を浴びせ、その場を走り去った。
振り返ると、パンダは小さくため息をついている。
そこへ、黒づくめの老婆がヒョコタンヒョコタン現れた。
「パンダさん、留守番ありがとう」
パンダさんの君の知らない物語!
当たるも八卦、当たらぬも八卦!
信じるか信じないかは、アナタ次第!
・・・・・・・・・・To Be Continued




