パンダさんのあかずの踏切!
目の前を電車が、駆け抜けて行く。
風をまきこんで電車が、すり抜けて行く。
喜びも悲しみも思い出ともに、運び去ってしまう。
むこうに恋人が待っているのに、ただ立ち尽くす。
懐かしい顔がこちらを向いているのに、立ち尽くす。
ここは、あかずの踏切!
パンダさんは、さっきからイライラしてます。
渋滞で、全然前に進めないのです。
どーなってんだよっ、コレ!
仕方ありません。この先は、あかずの踏切!
コッチからアッチへ行くにはこの道しかない。
この道をまるでワザと横切ってるように電車が通る!
そのたびに、踏切が通行止めになるのです。
たまにならまだ、ガマンのしようもある。
だけど、ひっきりなしなのです。ホントによく通る。
線路は、上りと下りの2WAYあるのもヤッカイ!
このわずかな時間差のスキマを渡らねばならぬ。
ここは、あかずの踏切!
パンダさんは、まだ踏切を渡れずにいます。
くそっ、このままではチコクしてしまう。
また奥さんに怒られるんだぞっ、このヤロウ!
こんなことなら、もっとサボるべきだった!
動画あと2本くらい観れたのにっ!
ハシビロコウの如く、微動だにしねぇ!
いやっ、たしかに前進はしてるのです。
ウッカリすると見落としてしまうくらい、ゆっくりと。
カメとカタツムリが優美にランデブーするかのように。
ああっ、私のハートはストップモーション!
ここは、あかずの踏切!
石の上にも三年、ようやくパンダさん、先頭に出た。
ふうむ、これが諸悪の根源、踏切の遮断機かっ!
ソイツは黄色と黒のトラ模様で威嚇していました。
顔は四角く、大きな赤い目が点滅するのです。
鳴き声は、カンカンカンカン、うるさくて神経を逆なでます。
そして問題の細長い腕!
これ見よがしにいっぱいに広げて、通せんぼ!
こんなヤツのために、ボクは前に進めないんだ!
ここは、あかずの踏切!
ボケッとなすすべもなく立ち尽くすパンダさん!
フト、あることに気がついた。
鳴き声はウルサイが、腕はあんなに細いじゃないか。
弱いイヌほどよく吠えるってゆうし。
パンダさんはためしに腕をつかんでみました。
かっ軽い?!しかもその腕の感触は覚えがあります。
こっこれは!たっ竹じゃねぇかあぁぁぁーっ!
幽霊の正体見たり枯れ尾花!
何と遮断機の腕は竹に黄色と黒のテープ巻いただけだった!
エサの分際でフザケンナ!
バリバリボリボリバリボリボリ!
パンダさん、一気に食べちゃった!
パンダさんのあかずの踏切!
次々と電車が、駆け抜けて行く!
君はいつまで待っているのだろう?
ここは、あかずの踏切!
・・・・・・・・・・To Be Continued




