パンダさんの黒くぬれ!
森のクマさんは悩んでいました。
森の中に住んでいるのですが、友だちがいません。
そりゃ、森には鳥やケモノがいますし、川に魚だっている。
だけどそいつらはみんな、エサなのです。
たまにニンゲンが来ますが、死んだフリされる。
クマさんは、お話しがしたい!
山菜採りのお爺さんを優しくハグすると即死しちゃう。
クマさんは、いつもひとりぼっちでした。
クマさんは、パンダさんに相談してみました。
なにしろ、同族で姿形はほぼ変わらない。キバもツメもある。
だけど、ヒールのクマに対して、パンダは人気者!
白黒の柄だけで、どうしてこんなに差がついた?
「そりゃ、kawaiiからさっ!」
パンダさん、身もフタもなく、一刀両断!
でもなあ、友だちなんかいるか?
ボクなんか、いつもみんなが寄ってくるからウザくってさあ。
静かな湖畔の森の中、悠々自適の生活でウラヤマシイくらいだ。
だけどクマさん、にぎやかな街中でワイワイ楽しみたい、
そこまで言うならと、パンダさんはひとつ提案します。
パンダさんとクマさんの生活を入れ替えてみようじゃないか。
ここんとこ忙しいパンダさん、森の中でリフレシュも悪くない。
でもイキナリ、クマさんがパン屋に出没してもパニック!
なので変装することに。パンダさんは白髪染めで黒一色。
クマさんは、頭からおしろいかぶってまず真っ白に。
それから、黒のメイクはパンダさんが施しました。
が、そもそも動物は鏡なんか見やしません。
自分がどんな柄なのかちょっと自信がない。
奥さんの顔を思い出し、まあこんな感じだろう。
アイツはタレ目だが、ボクはオスのイケメンなんで目元キリッとしとくか。
体はどうだったかなあ。手足黒かったけ?まあ、いいや。
どーせ、動物たちは自己チュー、他をあんまり気にしてない。
「またパンダさんが変なことして遊んでる」でスルーされるでしょう。
クマさんは、意気揚々とパンダさんのパン屋さんに向かいました。
「このグータラ!忙しいのにどこ行っとったんじゃ!」
イキナリ奥さんから罵声を浴びせられ、過酷な重労働を課せられます。
ゴミを捨てにいくと、あちこちから声をかけられました。
「あっパンダさんだ!お金返して!」
「こないだパンに砂が混じってたぞ!」
「うちの庭にマーキングするなと言っただろ!」
ガキンチョが石をぶつけてきます。
JKの集団がやってきました。パンダ風クマさん見るなり、
「きゃー、パンダさんだーっ!セクハラされるーっ!」
クモの子を散らすように逃げられました。
おいっ!パンダさんって、ホントに人気者なのかぁぁぁーっ?!
一方、黒塗りパンダさん。
森の中は意外とうるさく、虫に刺されたりします。
ヒマだし、昼寝だったら家でもできる。
アニメの配信あるんで、サッサと帰ってきちゃった。
パンダさんの黒くぬれ!
トナリの芝生は青く見える。
・・・・・・・・・・To Be Continued




