著者あとがき
著者あとがき
この物語を書き終えた今、
胸の奥に静かな余韻が残っています。
「マジカルミステリーラブ」というタイトルに込めたのは、
“恋はいつだって謎で、魔法で、説明できない”という想いでした。
上月和と佐伯湊。
二人は大学時代、互いに気づきながらも踏み込めず、
“未完”のまま別れました。
でも、未完だからこそ、
心のどこかに残り続ける。
忘れたふりをしても、
日常のどこかでふと蘇る。
書店の棚、
雨の匂い、
観測会の夜、
喫茶店のランプの光。
そういう“記憶の断片”が、
二人を再び引き寄せる力になりました。
恋愛は勝ち負けじゃない。
でも、
「あの日の自分に勝つ」
という意味なら、
和は確かに勝ちました。
逃げずに、
諦めずに、
心の奥にしまっていた想いを抱え続けたから。
そして湊もまた、
自分の弱さに向き合い、
逃げずに言葉を選んだ。
二人の“勝った”は、
誰かに勝つことではなく、
自分自身に勝つことでした。
この物語を通して描きたかったのは、
派手な奇跡ではなく、
静かで、
でも確かに人生を変える“偶然”です。
読んでくださったあなたが、
もし誰かとの未完の記憶を思い出したなら、
それはきっと、この物語の魔法です。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました。
——比奈我弥生




