表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

12.魔術と魔法

解説回です。



懇親会が終わり、翌日。フェイル殿下は約束通り準備してくれたようだ。やってきた侍女に案内された部屋にはすでに書籍が準備されていた。


「終わりましたらお声を掛けてください。それと部屋を出まして左手の部屋が書庫となっておりますのでご自由にお読みください」


「ありがとうございます」


なるほど、書庫の隣だったのか。用意されている本の表紙を確認すると魔術関連や、よく分からないものが中心となっている。この国の歴史書とか何か関連があるのだろうか。


「ミサさんとライザさんは隣から適当に本を持って来ていいですよ。時間は掛かりますから」


一般大衆向けの本があるかもしれないから。流石に全部が歴史やら学術、魔術に関連するものではないだろう。何かしらの娯楽小説があっても不思議じゃない。


「ですが琴音様をお一人にさせる訳にはいきません」


「護衛役だからね。ほったらかしは不味いよ」


「私も付いていきますから」


確かにエルザの言う通り。率先して俺を一人にするような人が護衛役なんて言えないな。ミサさんに関しても俺が仮の主人なんだから勝手な行動も出来ないか。


「立派な書庫があるんですね。私達の国にもありましたが王城に大量の書物が納まっているのは何処も同じなのでしょうか」


「重要なものですと民間で管理するのは危険がありますから、必然的にお城の方に集まってくるのです。禁書などもあります」


禁書を民間で管理していたらあっさりと強奪されたりするものなのか。こっちだと警備が厳重であるという認識が強いから、どこでも一緒だと思っていたんだけど。


「それにしても娯楽小説なんてものもあるんだね」


「城の人達の息抜き用ではないでしょうか。我々の方でも準備しておりますから」


寝泊りしている場所でもあるから小難しいものばかり用意している訳でもないと。今度行ってみようかな。最近は娯楽なしの勉強漬けだったから少しばかり息抜きが欲しい。これから難しい書物を読まないといけない訳だが。


「しかし国に関わる資料も普通に置いていますけど、私達が悪用するとは考えていないのでしょうか」


流石に鍵付きで、一般用の書棚とは隔離されているけどな。それでも他国の者がこの部屋に入るのは不味いのではないだろうか。


「それだけ信用されているという事でしょう。琴音様は我が国の外交官であり、殿下の盟友となっておりますから」


「その設定、初めて知ったんですけど」


外交官なのは今更の話だけど、何で殿下の親友になっているんだよ。会ってまだ一か月しか経っていないんだぞ。確かに殿下とはよく話すし、お茶なんかも一緒にしたりはしているけどさ。まだ俺のことを諦めていないのだろうか。


「琴音様に悪い虫が付かないようにとの殿下からの心配りです」


「いらないお節介です」


勇者として必要とされているのか、嫁として狙われているのか判断付かないな。もしかしたら両方かもしれないけど。その内、暴露してみようかな。元は男であることを。


「それで選ぶのは終わりましたか?」


「うーん、最後はこれでいいかな。あとはミサと交換しながら暇を潰すよ」


「私の方もこれで大丈夫です」


うん、二人とも終わったか。それじゃ戻りますか。俺はこれから難しい本を読破しないといけないのだけど、必要なことだから仕方ない。最近こればっかりだけど。


それから夕刻まで資料を読みふけた。エルザさんは途中で飽きたのか寝ていたが、それでいいのか護衛者よ。いや、ここで襲われるとかはないのは分かるさ。そうじゃないと城の中の警備は何をしているっていう話になるからさ。


「流石に一日で読破は無理ですね」


「量がありますから。琴音様、お茶をどうぞ」


「ありがとう」


取り敢えず歴史書やら、あまり外に出しちゃいけないものもあったな。三代前までの勇者の記録と言っていたが、それ以前の勇者についての情報もあったな。理由は察したけどさ。


「基本的にやらかした勇者っていないんですね」


「私は資料を読んでいませんから分かりかねますが、そうなのですか?」


「むしろ国がやらかすことが多かったようです。勇者争奪戦争とか」


一人の勇者を巡っての戦争。当時の勇者も所属国を明確にしていなかったのが原因みたいだけど。せめて戦争を止める行動位しなよと。結局は戦争に勝利した国に所属したみたいだけど、被害は甚大だっただろう。参戦しなかった国は賢かったな。


「そもそも勇者を呼び出す理由が強力な魔獣討伐が目的みたいですから、力を求めていたのが原因だと思いますが」


知識が欲しいから呼び出したとかはなかったな。この世界の住人だけでは対処できない魔獣の出現によって各国の要請を受けて召喚。それが一般的な流れみたいだけど。


「それに勇者自体が旅に出るとかもありませんね」


旅に出た所で路銀を稼ぐ手段が限られている。それに旅に出たら勇者という肩書は通じない。国に求められているから勇者として生きていける。一般の国民には勇者としては通じないだろう。大体ギルドとかないのだから日銭を稼ぐのがやっとだ。


「やっぱり勇者の英雄譚って夢物語ですね」


「魔王を倒した勇者は本当の意味で英雄でしたがそれ以外の方々はパッとしないというのが一般的です」


列車を開発した勇者も偉人扱いだと思うけど。ただそれ以外の人達が何かをしたというのはあまり見ないな。まぁ調味料の開発とか技術革新としては弱いか。


「そして帰ることを試した勇者は一人だけと。確かにこれだとちゃんとした資料が残っているとは思えませんね」


しかもかなり前の勇者だから資料自体も怪しい。尚且つ、どのような手段や方法を用いたのかといった一番重要なことが書かれていない。お手上げもいいところだ。


「ただ資料を読んでいても何故勇者をそこまで求めているのかが分かりませんね」


特殊な技術を求めてという割に、勇者自体が何を開発したとか教えたとかの記述が少ない。技術的な革新が起きることが稀なようだし。もしかしたらそういった細かい事象が求められているのだろうか。


「一般的な所で強者であること。特殊な知識を持っているかもしれないことではないでしょうか」


「かもしれないで国を巻き込んだ戦争をするんですか」


「やはり我々とは違う技術体系の世界から来て頂いていますので、ちょっとしたことでも我々を刺激するのでしょう」


なるほど。俺たちにとっては当たり前のことでも、この世界の人達からしたら異常なことでもある。俺なんて自分で何かしようとすると基本的に止められる。ミサさんの仕事だということらしい。


「やっぱり必要としているのは武器についてでしょうか」


「ですが新しい兵器が出来たという話は聞いたことがありません。やはり現状ですと実現不可能なのでしょう」


定番な所で戦車やミサイル。戦闘機は流石に無理かな。魔術の応用とかで簡単に出来そうだと考えていたんだが、やっぱり難しいのか。ちなみに銃はあるらしい。普及していないだけで。


「私には理解できないのですが」


「私の世界の知識がないと判断できないですからね。しかしこれで帰還方法が前途多難であることが分かりました」


まだ魔術の書籍を読んでいないから判断するのは早いかもしれないが、載ってはいないだろう。そもそも空間転移みたいな空間に作用する魔術も存在していないからな。あったら列車なんて作らないだろう。


「それじゃ今日はここまでにしましょう。エルザさん、戻りますよ」


眠っているエルザさんを起こして一旦部屋を出る。その際に近くの人へ言伝を頼んで去っただけ。特にこれといったイベントもない日だったな。やっぱり三馬鹿に会わないと平和だった。


そして二日目。魔術関連の資料を見たけど収穫はゼロ。いや、全くのゼロじゃないんだけどさ。帰還方法についての情報がゼロなだけ。この世界の知識を深めるという事に関しては十分であった。


「魔術って二種類あるんですね。魔法との違いもちょっと曖昧ですし」


「詠唱が必要なのを魔術。無詠唱なのを魔法と私達は区別しております」


そうなのだ。この世界には不思議要素のものが二つ存在している。詠唱は決まった言葉に魔力を乗せれば誰でも効果を発揮する。そもそも声に魔力を乗せるって何なんだよ。そこからして未知の領域なんだが。


「魔術に関しては諦めですね」


「私達としては当たり前のことなんですが」


これが文化の違いというものか。今の所、魔術が使えなくても困ることは無いけどこれからのことを考えると使える方がいいんだろう。誰かに教わって何とかなるだろうか。


「逆に私は魔法の方が使えそうな気がするんですけど」


「そちらの方が私達にとっては難しい部類なのですが」


魔法は詠唱が要らない代わりにイメージが重要になる。だけど炎が出るだけのイメージでは駄目らしい。どうして炎が出るとどうなるか。仮に人に当たった場合はどうなるかもイメージしないといけないみたい。


つまり人の焼ける様子もイメージしないとダメージ判定はないということ。


「周囲の気温が上がる。空気が減るなど考えれば幾らでも出そうですけど、何処までイメージする必要があるのかは要検証ですね」


魔力を込めるとかの必要もないから、こっちの方が使える気がするんだけどなぁ。反射的に使用できるかと言われると難しいと答えるけど。瞬間的なイメージなんて出来るかよ。


「予備知識ですが魔術師よりも、魔法師の方が需要は高いです。それだけ高位の使い手として認められております」


「その理由は?」


「自由度の高さでしょうか。魔術は決まったことしか出来ないのですが、魔法はイメージ次第で色々と出来る点でしょうか。ただし魔力が不足しますと不発に終わるという欠点もありますが」


魔力不足で不発ならいい方かな。全部搾り取られて死亡とかそっちの方が怖い。安全装置が働くのは初心者にはありがたいな。ただイメージ次第なら何で馬鹿は習得できなかったんだろう。


「真面目に魔力なかったりして」


「誰の事ですか?」


「馬鹿の事」


「なるほど。可能性はありますね。馬鹿の魔力に関してまして、誰も確認をしておりませんからね」


馬鹿で通じるのもあれだと思うのだが、うちの国だと共通認識だから仕方ない。魔法について試したいが、これだけ本がある場所で事故を起こすわけにはいかないからな。


「琴音様は魔力をお持ちですよね?」


「ありますね。その所為で二日目の高熱を出したんですから」


あれは辛かったなぁ。インフルエンザに掛かったことを思い出したよ。そういえばこの世界での病気って元の世界と同じなのだろうか。後で調べておこう。


「それにしてもやっぱり簡単には帰れそうにありませんね」


期待はしていなかったとはいえ、落胆はする。少しくらいは情報があればという思いがあるんだよ。勝手な期待なんだけどな。


「私といたしまして永住されても全く問題ありません」


「協力してくださいよ」


「協力は致しますが、本心はそちらであるとご理解ください」


うーん、俺を置いておいていいことなんてあるのか。普通に考えたら勇者は厄介者以外の何者でもないような気がするんだけど。知識があれば別だけど。


そして特にイベントもないまま一か国目を去る時がやって来た。

何度メモ帳がフリーズしたのか分かりません。

Windowsアップデートしてから不安定なんですよね。

だからやらないでとあれほど言ったのに。

ロスト対策で小まめな保存を忘れないようにしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ