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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第三神話 神との正しい接し方
29/29

#5

 俺が人間だとバレたら、一体どうなる?

 考えたことは何度かあったが、俺の楽観的な性格が幸いしてか、深く考えたことはなかった。

 しかし、脅迫状? を見つけた翌日。


「――な、なぬッ!?」


 学校に登校した俺は、下駄箱を開けた際にとんでもないものを発見してしまう。

 それは、俺が長年求め続けてきたが、決して手に入れることのできなかった幻の品物!


「お、おぱんちゅ」


 女性用下着、――清楚な純白パンティーが俺の下駄箱に入っていたのだ!

 ライオンが放し飼いにされたサファリパークに突然放りだされたかのように、俺は高速で辺りを見す。

 そして、誰にも今の状況を見られていないことを確認した俺は、上履きの上に綺麗に畳まれた白いパンツを鷲掴みにすると、上履きを履かずに下駄箱前を駆けだした。

 駆け出したことに理由なんてない。あまりの嬉しさに、走らずにはいられなかっただけだ!

 そしてこのとき、俺に懐かしい記憶がよみがえる。

 あぁ、この感覚。小学生の頃、学校帰りに見つけたエロ本を服の下に隠して持ち帰った、あのときの高揚感だ!

 周りの友人よりも性の目覚めが早かった俺は、自分が変態であることを誰にも話せないでいた。

 友人と帰宅途中に稀でエロ本を発見することはあったが、その際は変態だと悟られないように、わざと友人の前で落ちていたエロ本を破り捨てたもんだ。

 ……あの頃の俺は、未熟者だった!

 エロ本を破くことによって、俺は全然エロくないとアピールをしていたんだ。

 そして、エロ本を破きながら、俺は毎回心の中でこう呟く。


『早く、大人になりてぇ。……コンビニで堂々とエロ本を読める、大人になりてぇ!』


 あの頃の俺よ……。俺はコンビニでエロ本を読めるだけでなく、女子のパンツを鷲掴みにできるまでに成長したよ!

 俺はパンツを握る力を更に強める。すると肌触りの良い絹のような感触が、俺の掌一杯に返ってくる。


「一体、どんな美少女のパンツなんだろうなっ」


 脳に幸せエキスが分泌されすぎて、思考回路が上手く繋がらない。

 俺の頭の中は、パンツで一杯だ! もう、周りがパンツにしか見えない!

 そんなパンツ畑を走る俺に釘をさすかのように、ドブ色をした汚ねぇパンツを一枚見つけてしまった。

 気分を害された俺は、思わずそのパンツをガン見する。


「……ちょっと、なに見てるのよ! キモイからコッチ見んな、変態!」


 俺に罵倒を浴びせてきたドブ色をしたパンツ。

 その正体は、アメリカのポリ公みたく、腹がトランポリンな肥満女子だった。

 そうだ。こいつは確か、……俺とおとさんがエロ話で盛り上がっていたときに、あの大きな腹でタックルをかましてきやがった肥満女子!

 美少女が免疫のないエロ話を聞いていまい、恥しがっての一撃というのならば、俺は大いに許す!

 だが、コイツみたいな……


「――はっ!」


 お、俺はっ! なんという恐ろしいことを考えてしまっているんだ!

 ――パンツの持ち主が、コイツみたいな奴だったら。なんて!


「ちょ、ちょっと! そんなに熱い視線を私に向けないで! 孕んだらどうするのよ!」


「頼まれたって、お前に俺のビッグマグナムは使わん! だが、一応は感謝をしておく!」


 俺は肥満女子から踵を返して立ち去る。

 ……ようやく冷静になれた。

 そもそも、俺は考える順序を間違えていたんだ。

 持ち主特定→わっしょい! なところを、その逆をしていた!

 パンツの魔力に魅せられちまっていたんだ!

 

「俺がこのパンツを使用してから、持ち主が化物ミュータントだと知ったのならば、俺の精神は間違いなくブレイクされていた……」


 パンツを下駄箱に入れるなんて、正気の沙汰じゃねぇ! という考えを、一番初めに抱けなかった時点で、俺は敗北のレールを走らされていた。

 これは、俺に脅迫状を送りつけた奴の練りに練った作戦に違いない。


「……とりあえず、このパンツはチャック付きビニールで密封保存だっ!!」


 持ち主が解らない限り、このパンツは危険。

 しかし、厄介なことにその危険が、かえって俺に上質な妄想を与えてきやがる。

 人間の脳というのは都合の良いもので、悪いことよりも良いことの方を考えてしまう。

 宝くじを買った際に、当たるはずがないと解っているくせして、当たったときの妄想を強く意識してしまうのが解りやすい例だ。


「つまりこのパンツは、――天使にも悪魔にもなる!」


 一体どっちなんだ!?


読んでいただきありがとうございます!


一話を十一にわけて構成しているのですが、私の計算では第四話で完結する見込みだったのが、余分な話を入れすぎているのが原因で、第四話で終わらせられるかが解らなくなってきました(汗


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