009 近衛騎士団、改革!
ややこしい軍事面の事が出てきて申し訳ありません。
極力、分かりにくい階級などはあまり話には出さず、あくまでも戦闘描写での設定のために使わせていただきます。
ですので、バイスさん達は今まで通り表記していきます。基本、会話など必要な部分を覗いて『バイス大将』などの表記は避けるつもりです。
もし、分かりにくい場合や、解説が欲しい場合はコメントを頂ければ対応致します。
私は今、集会で話をする校長先生の気分だ。
え?なんでかって?
それは、近衛騎士団の前で初めて話をするからだ。もちろん、話す内容は決まってる。
でも、この人数の前に立ったことなんて無いし、ましてや演説をするなんて・・・・・
あ、入学式・・・・・
いや、あれは相手が子供だったし、なんか、色々あって記憶にないし・・・・・
まあ、今さら逃げ出すことは出来ない。
あぁ、こんなはずじゃ無かったのに・・・・・
「私は、サラ・リステインです。第5近衛騎士団の皆さん、今日は集まっていただき、ありがとうございます。
今から、第5近衛騎士団の規則と階級制度について説明します。
規則についてですが、一つ目として、職務中でも職務に影響を出さない範囲で人々のために動くこと。
二つ目として、最優先に守るべき人を守ること、そして、その次は自分達の生存を目的とすること。
三つ目として、私の指示や行動がおかしいと思ったら誰でも意見すること。もちろん、反対の意見を出したからと言って罰する事はありません。
最後に、どんな状況でも最善と考えられる事と命令が違う場合や命令が出ていない場合でも、臨機応変に対応すること。
最後に関しては、皆さんが私を生かすや助けるという選択肢を捨てる事がこの国の為になると判断した場合、その選択肢を選ぶ事を許可します。」
近衛騎士団に対する規則としておかしいと思われるかもしれない。でも、私を助ける為に王都が壊滅したなんて事になったら私はその重さに耐えられる自信が無い。
が、この命令は予想外だったのだろう。
それこそ、近衛騎士団の護衛対象を切り捨てるという選択肢を与えたわけだから無理もないか。
自衛隊にそれで多くが助かるなら首都圏を捨てていいと総理大臣が言ったようなものだ。
隣のバイスさんですら信じられないという顔をしている。
「そして、階級制度については、非常時の命令系統の維持と数万人規模の軍の管理のため、今は各隊事の指揮官しか決まっていませんが、それぞれに階級をつけ、指揮官不在時や負傷した際にも作戦行動に影響が出ないようにします。
そして、部隊の部隊の再編成を行います。」
そう。これは徹底したい。近衛騎士団の人達を守るためにも。
何故なら、万が一戦闘時に指揮官が不在だったり負傷したりした場合、次に誰の指示に従えばいいのかわからなくなる。
そして、連携の取れなくなった部隊の末路は決して明るいものではない。
それならば、地球の軍のようにそれぞれに階級をつけ、指揮官の次に階級の高い者が指揮するようにすればいい。
何より、人は頑張りが評価される制度がある方が余程努力する。
そして、大隊が大きすぎるからもう少し細かく分ける。
「詳しい話は、それぞれ今の各大隊長から聞いてください。では、皆さん、これからよろしくお願いします。
各大隊長と補佐2名は私のところに来てください。
以上です。」
近衛騎士団から、「おぉ。」などの声が聞こえてくる。
恐らく、今まで政治的な事に関与してこなかった私が急に軍を持って、どうなるか不安なところがあったんだと思う。
でも、しっかり考えてこのスピーチをしたからか、認めてもらえたみたいだ。
「では、詳しい説明に入ります。」
集まったバイスさんや各大隊長、何故か見に来ているジルさんに説明を始めた。
階級制度に関しては、旧日本軍のものを簡略化して使う。自衛隊のでも良かったが、映画とかの影響か大佐とかのほうがしっくりくる。
「まず、階級制度と部隊編成ですが、お配りした資料のようにわけます。」
第5近衛騎士団の階級制度について
大将 全体の司令官。命令を参謀と共に決定し、各部隊に通達する。
中将 大将を除く中での最高階級。司令部の大将からの命令に従い、1個師団を指揮する。
少将 大将、中将の元で参謀職に就く。連隊の指揮をとることもある。
大佐 連隊、大隊の指揮をとる。
中佐 大隊、中隊の指揮をとる。
少佐 大隊、中隊の指揮をとる。
大尉 中隊、小隊の指揮をとる。
中尉 小隊の指揮をとる。
少尉 小隊の指揮をとる。
以下名称のみ
准尉 曹長 軍曹 伍長 兵長
上等兵 一等兵 二等兵
部隊編成
小隊 30人以下の部隊
中隊 小隊が2~4つ集まったもの。
大隊 中隊が2~4つ集まったもの。
連隊 大隊が2~4つ集まったもの。
師団 連隊が2~4つ集まったもの。
物凄くざっくりしているが、いきなり細かい事は難しいだろうから、これくらいでいい。
「それと、全員の騎士団の制服と鎧に階級と所属大隊が分かるものをつけてください。」
何故こんなに細かくするのかと聞かれたけど、諸々の理由を言ったらなるほどと理解してくれた。
後はもう少し細かい事を教えて終わった。
「わかりました。確かに、画期的なご意見です。サラ様、部隊の再編成と階級制度の浸透、それぞれへの階級、部隊規模の教育のために2ヶ月ほど時間をいただいても構いませんか?」
バイスさんからの質問に答える。
もちろんyesで。
それに、その方が学校に行けるので有難い。
詳しい階級分けや部隊編成は丸投げ。もとい、おまかせして私は早急に寮に戻った。
なんでかって?
楽しい楽しい校外学習の準備に決まってるじゃない!
今日は準備をした後、明日に備えてベットに潜り込んだ。
興奮して眠れないかとも思ったけど、杞憂だった。
私は、極度の緊張によって疲れきっていた。
精神的に。
あれでも、かなり緊張していたのだ。入学式の時は考える暇もなくとにかくやり遂げるという方向に精一杯だったが、今は時間も余裕もあった為、めちゃくちゃ緊張した。
まあ、ともあれ、ぐっすりと眠った私は、荷物をまとめて教室に向かった。
今日はとても気分がいい。
小学生に戻ったみたいだ。いや、事実その位の年齢だ。・・・見た目は。
「見た目は子供。頭脳は・・・・・」
子供?うるさいなぁ!いいんだよ!
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