048 事件解決
「サラ様、地下へは立ち入らないでください。」
「何故です?」
地下の人に服や水を届けると共に様子を見ようと思っていたサラは止められた。
「その、あまり気持ちのいいものではありませんし、伝染病などの可能性もあります。」
「大丈夫です。それより、早く水と衣服を。」
「では、私が持っていきます。水と衣服をいただけますか?」
「いえ、その、水は魔法で出そうと思ったのですが・・・・・」
「そうでしたか・・・。でしたら、衣服だけ頂戴します。」
「そう。じゃあお願いします。」
サラは素直に衣服を渡した。
サラから衣服を受け取った兵士は一礼をして地下へと向かった。
それを見届けたサラは素直に戻る・・・わけも無く、地下へと降りる階段を進んだ。
「うわぁ・・・・・」
「サラ様!?」
地下の惨状を見て思わず飛び出てしまった声に兵士が反応し、付いてきたのがバレてしまった。
が、そこはもう地下である。手遅れというものだ。
「大丈夫です。それに、もう来てしまいましたから。それよりも、先ほど渡しきれなかった分もあります。処置をしてくださっている皆さんは取りに来てください。
水も必要でしたら出します。」
「サラ様・・・ありがとうございます。みんな、取りにおいで!」
地下で指揮をしているらしい女性騎士はサラに礼を言い、指示を出すとまた戻ってしまった。
とりあえず、サラは受け取りに来た女性兵士達に衣服や水を与え、地上へ戻った。
ノルベルクの元へ向かうと、断末魔の叫び声が聞こえてきた。
そして、サラは自分が怒りで去り際に使った魔法がかなり酷かったことに気がついた。
だか、後悔はしていない。それに値するだけのことをしたのだ。
だが、あまりにもいたたまれなくなったので、魔法は解除した。
「少しは反省できましたか?あなたには、後日刑を課します。まずは牢で自分の行いを省みなさい。そこの兵士達、コイツを牢に入れておきなさい。」
「はっ!」
次に、サラは、クロエの元にむかった。
「クロエさん、1通り、落ち着いたみたいです。私は、城に戻ってから孤児院へ向かいます。同行していただけますか?」
「わかりました。指揮を引き継ぎますので、5分ほどお待ちいただけますか?」
「では、向こうで待っています。」
「サラ様、お待たせしました。」
「いえ、まだ5分もたってませんから。では、行きましょう。」
城に戻ったサラは、滞っていあ支給額の分をかき集め、孤児院へとむかった。
「すみません。院長先生はいらっしゃいますか?」
「はーい。っ!サラ様!先日はありがとうございました。それと、申し遅れて申し訳ございません。私は、ここの孤児院の院長をしていますマリアと申します。」
「そうでしたか。では、マリアさん。支給金ですが、途中で横領があったことがわかりました。こちらの不手際です。本当にすみません。学校ができるまでの間、これで子供達をお願いします。それと、安全のため、騎士を警備につかせます。」
「サラ様、本当に何から何までありがとうございます。なんとお礼申し上げれば良いものか・・・」
「いえ、子供達のためです。そうだ、今度、落ち着いたらまた訪ねますので、その時は子供達に会わせていだけますか?」
「もちろんです。子供達にも伝えておきます。」
「では、また。」
サラは孤児院を去った。
このまま何もなく城へ・・・
とは行かなかった。
ここは貧民街である。サラの政策が開始されて以降、だいぶ暮らしは向上してきたが、それでも裕福な王族や貴族、商人を怨む者は少なからずいる。
そして、金に困った者も。
「おい、嬢ちゃん?メイドと二人でこんなとこまで何しに来たんだ?お嬢様はお金、いっぱい持ってるよなぁ?
その金、ちょっとわけてくれないか?その代わり、俺達がいいことしてやるよ?」
サラが言い返す前に、クロエが前に出る。
「おーおー、メイドさん。お嬢様のためにいい度胸だねぇ。いいから出してるじゃねぇか。お嬢様助けたかったら俺らに付き合いな。」
クロエは何も言わずに懐から出したナイフを構えた。
「クロエさん、相手は男で人数も多いです。逃げた方が・・・・」
「サラ様、ご安心ください。この程度の相手に遅れは取りません。」
「そ、そう。危なくなったら撤退しますよ?」 「わかりました。」
サラにそう答えると、クロエは声を大きくして宣言した。
「サラ様に忠誠を捧げたあの時よりこの身この剣はサラ様のため。サラ様を傷つけようとするならば、それは敵だ!容赦はしない。」
「ふんっ!ならば、力ずくで従わせるまでだ!」
クロエVSガラの悪い男×20ぐらいの戦闘が始まる。
しかし、クロエはたった1人で誰も殺すことなく制圧していく。
最も、剣の腹で殴って気絶させているので、殺そうと思えば出来たということだ。
サラは密かに思った。
(クロエさんまじカッコイイ・・・
逆らわないようにしよう。怒られたことを想像すると震えが・・・)
「サラ様、制圧完了しました。この者達はどうしますか?」
「今回のことで少しは反省したでしょう。今回は不問としましょう。」
「わかりました。では、戻りましょう。アリス様が心配なさいます。」
「そうね。急ぎましょうか。」
城に戻って来たサラは自室でアリスと二人でいた。
「おねぇちゃん、おかえり。」
「ただいま。ごめんね。しばらく、ここにいるよ。」
「うん!でも、おねぇちゃんがしたいようにしていいからね。」
アリスはこう言っているが、サラはしばらくここにいると言った時にアリスの表情が目に見えて明るくなったのを見逃さなかった。
「そう言えばアリス、最近困ってることない?」
「大丈夫だよ。あ、でも、おねぇちゃんがいない時にフランス聖教国から使者が来たよ。何でも、魔獣が大量発生したとかで、もしかしたら援助をお願いするかもしれないって。」
「フランス?」
「うん。」
フランスと聞くとどうしても前の世界が頭に浮かんでしまうが、たまたまなのだろうとあまり気にしなかった。
「まあ、討伐隊を出せるようには準備させとくよ。あとは大丈夫?」
「はい。少しさみしかったくらいです。」
サラは何も言わず、アリスを抱きしめた。
サラは、アリスが泣いているのを見て、いくら女王して振る舞っていても中身は本当に10歳なのだと改めて感じ、自分もアリスの負担を減らせるように頑張ろうと決めた。




