025 殲滅
「誇りを捨て、宣戦布告も無しに我が国へ侵略し、罪無き人々を傷つけたバーシアス帝国軍に告ぐ!
私はサラ・リステイン。リステイン王国国王代理、これからリステイン王国とその民を守るため、いえ、取り返すため、リステイン王国内に侵略したバーシアス帝国軍を殲滅する者です。」
大音量スピーカーで降伏勧告をしているのは、名乗りあげたサラ本人である。
サラ、結構本気でお怒りである。
サラの降伏勧告を聞き、空に浮かぶ戦艦リステインを目にしたバーシアス帝国軍の兵士達は、ただただ呆然としていた。
「私の最後の慈悲です。ここで大人しく武装解除──鎧、武器、盗品を全て投棄し、王城跡の城壁内に入ったものに関しては、命は助けます。
そうですね。30分待ちましょう。
その間に降伏しなければ、戦艦リステインの力を見ることになりますよ?」
しかし、この時、サラとアイラはある事を見落としていた。
いや、アイラは知らなかった。
──王都を壊滅させた存在のことを
突如、戦艦リステインが大きく揺れる。
大きな横揺れだ。
「なに?地震?」
「いや、馬鹿か。空の上だろう。」
「なら。うわっ!?」
再び大きく揺れる。
と言うより、突進されている感じだ。
「おい、サラ。もしかして、龍、か?」
「そんなわけ──
そう言えば、いましたね。」
「おいっ!!龍はあれでも神の眷属だぞ!」
「大丈夫です!この船、強いですから。──たぶん。」
「なぁ、サラ。」
「何ですか?今、準備で忙しいんですけど。」
「お前に興味本位でついてきたことを後悔している。」
「私に言われても・・・
よしっ。」
「どうした?」
「準備ができたんです。
あの龍と兵士達を屠るための。」
まずは龍だ。
度々、魔法のように雷を放って来るが、セレネティア曰く魔法が効かない戦艦リステインにとって、多少の衝撃があるくらいだった。
サラの意思に従って動く戦艦リステインは、離れたところで大きな魔法陣を描いている龍に砲口を向けた。
「おい、サラ、何する気だ!?」
アイラは、艦橋から見える主砲が横に向いたのを見て、理由のない恐怖に襲われた。
「目標、龍、全主砲斉射!
てーーーーー!!!!」
サラの中の言ってみたい言葉ランキング第26位である。
大きな衝撃が戦艦リステインを襲い、艦橋からは煙を上げる主砲が見える。
もちろん、これは発砲炎に伴うものだが、アイラはそれを知らない。
サラですら初めて見る光景に焦ったのだから。
「おいっ!本当に大丈夫なのか!?」
「アイラ先生、あれを見てください。」
「なんだ?
・・・・・・・・りゅ、龍が・・・・・・・一撃で・・・・・・・・」
「よかったぁ~。初めて使うからうまくいかないかと思った。」
「・・・・」
もはや、アイラには話すべき言葉が見つからなかった。
また、地上から見ていたバーシアス帝国軍にとっては、今の戦いの衝撃はとんでもないものだった。
「龍が・・・」
「サラ・リステインって言ってなかったか?
あれ、リステインの王女様だよな・・・」
「やっぱり、こんなことしたのが間違いだったんだ!」
「俺は死にたくねぇ!
投降するぞ!」
煙を纏いながら落ちていく龍。
もはや、バーシアス帝国軍の指揮はあってないようなものだった。
各地で投降、敗走が始まる。
しかし、なんとも残念な頭の持ち主が多いようだった。
戦艦リステインは王城跡に降伏した者以外殲滅すると言われたばかりなのだ。
戦艦リステインの砲口が船体が傾き、砲口が地上へ向けられる。
が、それが発射されることは無かった。
それでは、王都にクレーターができ、復興が更に大変になる。
だから、機銃掃射にした。
が、機銃は基本的に対空用である。
撃つために船体はさらに傾き、サラとアイラは艦橋ないで床へとなり変わった元々壁だった部分に打ち付けられていた。
わずか十分で掃討が完了した。
運良く生き延びのものもゼロではないが、戦意なんてものは微塵も残っていない。
考えるべきはただ一つ。
魔物に襲われず、リステイン王国軍にもバレることなく如何にして帰るか。ただそれだけである。
戦艦リステインとサラは、そんな敗残兵には目もくれず、戦い──否、一方的な殲滅を目の当たりにして動くことすら叶わない投降した兵士達の元へ降りるのだった。
サラの冒険者デビューは3章になるはずです。




