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銀白の錬金魔術師  作者: 月と胡蝶
第二章 学園編
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課外授業の終わりと金髪ロリっ娘

文章のブラッシュアップが終わったかどうかは置いておいて、とりあえず投稿しておきます。


「やっぱりあんた、ブラッキーだな」


いつの間にかオスカリダの服装は黒のローブに変化しておりフードから覗く口元には例のニタニタとした笑みが張り付いていた。


「いかにもだけど?どうするの?私を殺す?」

「できれば穏便にいきたいねえ。少なくとも今は」


シルイトはここである程度の情報を得たい考えだ。


「入学して間もないころにリクトっていう一年生男子に接触しなかったか?」

「ああ、あの堕ち人ね。私を狙ってこの学園に入学した人がいるって聞いたからてっきり彼かと思ったんだけど見当違いだったみたいね。もっともそのおかげでかなり早いうちにあなたたちを見つけることができたのだけど」

「予想通り一枚かんでいたか。あんたの能力には正直かなり興味がある。この前のあの煙。あれはどうやって再現したんだ?魔術か?」

「さっきから質問ばっかね。でも答えてあげてもいいわよ、対策が立てられるわけでもないし。ただし条件があるわ」

「なんだ?」

「私がこのフードを外して一人の女子生徒、オスカリダとしているときは私の事をオスカリダとして扱って。私はもう少しこの学園にいたいから邪魔されるのは困るの」

「どっちが邪魔してるんだか」

「いいのよ別に。この条件が飲めないのなら私も何も言わないから。ただ、もし条件を飲んでくれるのなら私もあなたたちの身元を明かすようなことをしないと約束する」


シルイトが見るオスカリダ、もといブラッキーの目は真剣そのものでとても嘘をついているようには見えなかった。ニタニタと笑ってはいるが。


「わかったよ。約束する」


シルイトのその言葉を聞いたブラッキーはいったんニタニタ笑いを一瞬だけ止めてふっと笑った。


「うん、それじゃあ話してあげよう。簡単な話、あれは私本人じゃないんだ」

「へ?」

「この前ゴールディアンちゃんを助けた私は自分で作った精巧なレプリカ。実体がそもそもないからいくら攻撃されても魔力が尽きない限り動き続けることができるってわけ」

「でもそれを操るには目の届く場所にいる必要があるよな。こっちは何も探知できなかったぞ」


いくら自分の分身と言ってもそれに視力や聴力などの五感を与えようとするとそれぞれの役割を持つ魔術なりなんなりの術を新たに付与していく必要がある。

また、いくら感覚を術で得ても術者にそれを伝える必要があるから、また新たな術を使うことになる。

もちろんそんなことは非効率だし、単純に全体を俯瞰できる場所から操作した方が効率がいいというのは周知の事実である。


「私たちの家はちょっと特殊だからね。どこにでもあってどこにもないみたいな」

「その真意についてはまだ教えてくれないようだな。だが、まあいい。重要な情報を与えてくれたことには感謝する」

「それじゃあ私はオスカリダに戻るね。二人も合わせてよ」


ブラッキーはそういうとフードを脱いだ。

いつの間にかニタニタ笑いを止めていた彼女がフードをとると同時に黒いローブは薄れて消えて本来の学生服が現れた。


「それじゃあ、あといくつか薬草を拾ってとっとと帰りましょ」


まだ警戒感が残る二人であったが予想とは裏腹に何事もなく採集が進んでいった。

かくして課外授業は終わった。






それから約一年。シルイト達は進級テストを終え、無事に二年生への進級が決定した。

幸いこの学園には下位クラスをバカにする風潮も無く、自分から話しかけない限り余計ないざこざも生まれることはなかった。


進級テストはクラス分けテストも兼ねており、テストの点数順にそれぞれのクラスへ配属されていく。

クラス分けの結果は入学時と同様に紙で貼りだされている。

コンフィアンザはもちろん二年次もAクラスでトップ。シルイトもAクラスに昇進となった。

意外だったのはパルテとイレハで二人ともシルイトに感化されたのかAまではいかなかったもののBクラスに昇進となった。

他のEクラスの面々はもともと勉強する質ではなかったが、シルイトの影響で授業自体はとても静かで勉強に最適な環境であったためか全員がDクラスと交代した。もっとも、シルイトが居なくなった二年生ではまた成績が下がるかもしれない。


「やっと、ますたと一緒に勉強できてうれしいです。学園でも・・」


コンフィアンザがシルイトと話そうとすると、コンフィアンザに話しかけてきたAクラスの人たちに遮られた。

実は、コンフィアンザは誰も寄せ付けなさそうな美貌とそれに対照的な性格とのギャップでクラスの人からはそれなりの人気を獲得していた。


「あの、私、お話し中で、・・・あ、ますた、またあとでお話ししましょう~」


来年度も同じクラスであることが決まったクラスメイト達に取り囲まれ何処かへ連れていかれるコンフィアンザ。

悪意がないのはシルイトもわかっているので同意するように手だけ振ってその場を後にした。



そして来る新年度。コンフィアンザと並んでAクラスに入ったシルイトは昨年度とのあまりの違いに言葉を失った。

ほぼ全員が集合時間の約二十分まえだというのに着席して教科書やノートを開いて自習をしている。

シルイト達の方へ目を向ける人も少ししかいない。

おそらく新たな年度を迎えて気を引き締めなおしているのだろう。

シルイト達に目を向けている少しに該当するのは去年Bクラスのトップだったファナティスである。

ちなみにリクトは健闘むなしくBクラスどまりである。リクトを快く思っていないパルテとイレハと同じクラスであるが特に関心はないシルイトであった。



その日の昼、シルイトと一緒に学食で昼ご飯を取ろうとしたコンフィアンザであったが、想定外の人物に邪魔されることになる。


「ぎんいろ」


教室の後ろ側のドアから小さな声が聞こえてくる。コンフィアンザがそちらへ顔を向けるとそこには腰まで伸びる金色の髪をした一年生が立っていた。

顔立ちは幼く背も低い。制服を見てもそれ以下のサイズがなかったのか少しだぼっとしている。

その一年生は上級生の教室に臆することもなく入っていくとシルイトのそばまで行きシルイトの袖をぎゅっと握った。


「ぎんいろ」

「あーっと、銀色っていうのは何かな?」

「ぎんいろ、ついてきて」

「え、俺のあだ名?・・あ、ちょっと」


一年生は掴んだ袖をそのまま引っ張ってシルイトを引きずりながら教室を後にした。

ブラッキーは敵なのか、それとも・・・。そしてこういうお話につきものの金髪ロリっ娘の正体とは!?



・・それはともかく、以前も書いたかもしれませんが学園でのエピソードは基本的に閑話として本編とは別に書いていきます。

キャラが出そろうのは二年生からなので二年生次のエピソードを軸にしていきますが、一年次はシルイトとコンフィアンザの二人だけの絡みがたくさんあるでしょうからそちらも書きたいです。


本編では主に学園でこういう人物と知り合って仲が良くなった的な描写にとどめようと考えてます。

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