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第二十三話 納品

「よお、なんだ結構狩れたみたいだな」


 鍛冶屋に入るとドゴンが顔を出し、ミラが背負っているダッシュリザードの皮を見てにやりと笑みを浮かべた。


 本当面構えだけ見てる分には鉄より人を何人かやってそうなそんな雰囲気を感じるな。

 実際はミラにただでナイフを譲ってくれたりポーションをくれたり随分と人のいい人みたいだけどね。


「おかげさまで大量です。それとこのナイフと紐は役立ちました。ありがとうございます」


「別にお礼を言われるようなことはしてねぇよ」


 本当素直じゃないなこのドワーフは。まあ、優しいふりをして近づいて騙してくるような奴よりはマシなのかもしれないけど。

 

 そして話はそこそこにミラはカウンターにダッシュリザードの皮を置いた。一応ミラなりに綺麗に剥いでいたし、俺から見てもそんな不格好なことにはなってないと思う。


「ふむ、若い割に丁重な仕事してるな。これならこっちは全然文句はないが、で、どうする? 全部納品するか?」

「いえ、エッジとも相談したんですが、5枚を納品、後10枚はマナに変えて頂けますか? そうしないと依頼料が足りなくなってしまうから……」


 そう。ドゴンに頼んでダッシュリザードの皮を素材に防具を一式揃えようにも出すものがなければ仕方がない。


 途中でポーションを買ったのもあって、残りマナは84と心もとないというのもある。纏めて注文するにしても400マナは必要だしな。


 だからここで10枚、つまり150マナ分は換金しておく。注文分の資金としてもそうだが、またボックルに再会した時にはもう少しポーションが欲しいしな。


「なるほどな。そのあたりはちゃんと考えているってわけか」


 ニヤッとした笑みを浮かべながらドゴンが言う。


『ドゴン、あとまた俺を直して欲しいんだ。ダッシュリザードは結構硬いから耐久値がすぐ減ってしまう』

「そうか、じゃあちょっと見せてみろ」

「判りました」


 ミラが俺をドゴンに手渡してくれた。そして俺に触れたり見たりした後、ミラに金額を告げる。


「前にも言ったが今回からは手入れするにもマナは必要になる。完全に直すなら耐久値20分で100マナ必要だがどうする?」


「それでお願いします。中途半端に直しても仕方ないので」


「判った。なら買い取り分から手入れ分を差し引いて50マナ渡そう」


 こうして取り引きは終了。俺は前と同じように奥の鍛冶場へ運ばれることになるが――


「少し時間が掛かるから、その間これでも摘んでろ」


「え? いいんですか?」


「ただの水と、芋を蒸したもんだ、そんなかしこまるほどのもんじゃねぇぞ」


 そんなやり取りをミラとした後、ドゴンが戻ってきて作業に入った。

 それにしても相変わらずだなこのおっさん。でもこの状況で水分と食事は嬉しいだろ。正直干し肉だって後の事を考えて2枚しか手を付けていなかったからな。


「じゃあ始めるぞ」


『おう! 男前にしてくれよ!』


「俺の仕事は完璧だが、男前になるかどうかはお前次第だろ」


『うぐっ! 手厳しいな――』


 そんな軽口を叩きながらもドゴンの手で再び俺の耐久値は回復した。勿論相変わらずハンマーでの叩き具合とか諸々の作業は俺に癒やしを与えてくれた。こんなドワーフにここまで気持ちよくされるなんてーーーー!





「……おい、終わったぞ」


「え!? あ、しまった、僕眠っちゃって――」


 ミラはカウンターに突っ伏すようにして完全に落ちてしまっていた。なにせずっとダンジョン内を彷徨い続けているしな。そりゃ疲れるだろう。ダンジョン内はいつ魔物に襲われるかも判らない。一応俺がちゃんと見ているけど、それでも緊張感を保ち続けているのだろう。だから寝るのだって一苦労だ。


 それがドゴンの店の中で水分を摂りお腹も満たされたことですっかり緊張の糸が解けたんだろうな。


「え~と、僕どれぐらい?」

「3時間ってところか。今回は耐久値も結構減っていたから俺もそれぐらい掛かったしな」

 

 それは嘘なんだけどな。実際は1時間ぐらいで終わったんだが、ドゴンが気を利かせて眠らせてくれた。本当なんだかんだでいいおっさんだよこのドワーフは。


「あ、あの本当にありがとうございました」


「それは俺のセリフだろ。貰うもの貰って仕事している以上あんたは客だ。だから別にお礼なんていい」


「……いい人に出会えて良かったです」


「馬鹿いってんじゃねぇ! ほら、いいから用が済んだらとっとと出て行け! まだまだ材料は足りてないんだからな! しっかり狩ってきやがれ!」


「は、はい! 判りました!」


 そしてミラは完全に回復した俺を携え店を後にした。本当口は悪いけどな。でもお陰様で俺もミラの疲労もすっかり取れた。これで随分と狩りも楽になるはずだけどな。


『ところでミラ進化PTが結構溜まっていてな――』


 俺はミラにスキルについての話を持ちかけた。これだけあれば何かしらレベルを上げることも可能だしな。


「それなら、剣術をとってもいいかな? ここで剣術を上げておけば更に狩りも楽になりそうだし」


『……そうだな。それに奥にいるツインリザードヘッドのことも気になる。いずれ戦うなら上げておいたほうがいいか』


 全く奥にいかないってわけにもいかないしな。なので結局ここで剣術を取るって話に落ち着いた。


『剣術をレベルアップするぞ』


――パッシブスキル【剣術】の強化には進化PT150が必要です。宜しいですか?


【現在の進化PT:180】


『頼む』


――パッシブスキル【剣術】がLV1からLV2に強化されました。ステータス欄に反映いたします。

 

 よし、これで強化完了だな。そしてミラは再び狩りを再開させたわけだが――


「グギェ!?」


――進化PTを6得ました。


――経験値を50得ました。


――熟練度が5に向上しました。


――パッシブスキル【両手持ち】がアンロックされました。

――スキルリストに追加いたします。


 これによってまたステータスが変化したな。



──────────

ステータス

種別:進化の剣

剣銘 :ロングソード

熟練度:5/10(2%)

耐久値:29/35↑5

重量:1.5kg

進化PT:48

直接属性

切:28↑3打:19↑2突:22↑2魔:0

補助属性

火:0水:0土:0風:0

光:0闇:0雷:0氷:0

パッシブスキル

【ガイドLV2】【言語理解LV1】【念話LV1】【シンクロナイズLV1】【鉄の精神LV1】【剣術LV2】【マナ換算LV1】

アクティブスキル

【鞘攻撃LV1】

称号

【勇敢な剣士(付加中)】【異世界パートナー】【返しの名人】【ゴブリンキラー】


 スキルリストでも多少変化があったが一応確認すると。


──────────

スキルリスト(パッシブ)

【剣術】

LV2:取得済み

次のレベルには300PT必要。

概要:剣術に長けるようになる。

【両手持ち】

取得には30PT必要。

概要:両手で武器を持てる。

──────────



 

 変化があったのはこんなところで……地道にステータスが増えていて剣術は必要なPTが結構増えたな……300か。


 しかし、それはそうと両手持ちのこれはなんだ?


『ミラ、一つ聞いていいか?』

「うん? 何?」

『その――ミラは両手で剣を持てないのか?』

「へ? 持てるけど?」


 そう言って俺を両手で振ってくれた。

 デスヨネー。

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