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アリアンロッドになりました。

異世界に来ました。

目が覚めて最初に視界に入ってきたのは灰色髪の毛に同じ色の少したれた犬耳がついた眼鏡の男の人とピンク色髪の毛に同じ色の猫耳をつけた女の人の顔だった。

二人とも褐色の肌だな~と不思議に思った。


「アリアンロッド様!」


犬耳さんは誰の事を言っているのだろうか?


「アリアンロッド様!良かった!旦那様達を呼んでまいります!」


ピンクの猫耳さんが走って部屋を出ていった。

よくよく見れば西洋風の室内は絵本の中のお姫様の部屋のようだった。


「アーリー!………アーリーかい?………スキロフ、アーリーはどうしてしまったんだい?」


慌てたようにあらわれた渋いモスグリーンの髪の毛小麦色の肌のおじ様が犬耳さんに話かけている。


「アリアンロッド様の心臓が止まられた瞬間アリアンロッド様の体が光に包まれ、髪は黒く染まり肌は白く変わられ見れば瞳の色も漆黒に染まられているようです。私とケーシーはお側を離れていませんのでこの方がアリアンロッド様で間違いありません。」


犬耳さんの言葉に私は布団から起き上がりお姫様用風のベットを降りて膝をついた。

明らかに彼らの顔が真っ青になる。

私はそれを見ながら彼らに向かって土下座した。


「アリアンロッド様!」

「あ、アーリー!」


二人が動揺している声がした。

だが、説明しなければならない。


「アリアンロッド!」


もう一人増えた声がした。

私は構わず言った。


「申し訳ございません!私はこの体の持ち主ではございません!私は時雨ともうします。安易にこの世界で生きたいなどと口にしてしまったばかりにこのお嬢さんの体を与えられてしまい………お嬢さんのご遺体に勝手にお邪魔してしまって申し訳ございません。」


私の言葉に沈黙が流れた。


「き、君の今の言葉を聞くとアリアンロッドは死んだのか?」


モスグリーンのおじ様がいち早く聞いてきた。


「ディオ君の話では死にたてホヤホヤだとい………不謹慎で申し訳ございません。」

「ディオ君とはディオプロセフ様でしょうか?」


犬耳さんの言葉にハッとした。


「た、たぶんそうだと思います!彼がディオ君で良いと言うのでそう呼ばせていただいてます。」


そんな床に頭をこすり付けている私を後ろから抱えあげる人物が居た。


「君、その体はアリアンロッドの物なら土下座なんて止めてくれないか?」

「ご、ごめんなさい!で、ですよね!ごめんなさい。」


私は起き上がり私を抱えて立たせた人を見た。

その人は小麦色の肌に黄緑色の瞳にエメラルドグリーンの髪の毛をしたイケメン様だった。


「僕の名前はイディオンだ。よろしく。」

「よ、よろしく?」

「君はこれから僕の妹のアリアンロッドとして生きてくのだろ?なら僕の事をちゃんと覚えて。」

「ま、待ってください!私はこのままこの体に居ても良いのですか?」

「ディオプロセフ様の思し召しならアリアンロッドの体は君の物だ。」


イディオンさんは私に苦笑いを浮かべて言った。


「君は今日からアリアンロッドだ。父上、よろしいですね。」

「………そうだな。神の決めたことなら従うほかない。………それにしても、君の肌は陶器の様に白い………この世界では本当に珍しいんだよ。」


これは気持ち悪いって事だろうか?


「不快な気持ちにさせてしまって申し訳ございません。」

「違うよ。父上は君を美しいと言ってるんだ。」

「う、美しい?」

「そうだよ。僕も父上も君を美しいと思ってる。」

「そんなこと………言われたこと無い。」

「僕は君の兄だから、何度でも言うよ。君は美しい。」


私の目から涙が溢れた。

あわてふためくモスグリーンさんが見える。

イディオンさんは私の涙を人差し指で拭いながら笑った。


「どうして泣くの?」

「ふ、わ、………」

「ゆっくりで良いよ。話て。」


私は涙を流しながら言った。


「わ、私、不良品なの。ずっとそう言われて育ったの。」

「………誰がそんなこと。」

「家族………とくに妹と父親に。」


イディオンさんは眉間に皺を寄せた。


「私が、笑えないから………不良品の私がこのお嬢さんの体を……」


私は後ろから抱き締められて言葉を止めた。


「言わなくていい。君はこれから僕とイディオンがたくさん甘やかしてあげよう。アーリー。君は今日から僕の娘だ。」


私は思わず声をあげて泣いてしまった。

そんな私をモスグリーンさんとイディオンさんがはさむように抱き締めてくれた。


「私達は、使用人ではありますがアリアンロッド様のためなら何でもさせていただきます。何なりとお申し付けください。」


犬耳さんの横で猫耳さんも頷いている。


「彼らは獣人で家の使用人のスキロフとケーシーだ。他にも居るがおもにアーリーの世話をしてくれるのはこの二人だよ。」


犬耳さんがスキロフさんで猫耳さんがケーシーさん。


「お、お世話になります。」

「そんなにかしこまらずとも結構ですよ。」

「お嬢様を不良品などではございません!天使の様な美しさですわ!」


私は涙を止めた。

こんな時に笑えない自分が怨めしい。


「アリアンロッド、君は美しいよ。」

「イディオンさん。」

「お兄様だよ。」

「お兄様。」

「僕の事はお父様だよ。」

「お父様。」

「私はスキロフと」

「スキロフ………さん。」

「呼び捨てでかまいません。」

「………さん付けしたら駄目ですか?」

「………かまいません。」


私がそう聞くとスキロフさんはため息でも付きそうな顔でしぶしぶ了承してくれた。


「私はケーシーですお嬢様。」

「ケーシーさん。」

「………かまいません天使様。」

「て、天使ですか?」


その場に居た人達は口々に天使だと言い出した。


「あわわわわわ、み、皆さん居たたまれないので止めて下さい!」


その場に居た全員にニコッと笑われた。


「アリアンロッド、これからは僕達が君を愛してあげるからね。」


私はこうしてアリアンロッドになったのだった。


回りが受け入れるのが早すぎないか?

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