アリアンロッドについて イディオン目線
お兄ちゃん目線!
妹に対する思いです。
僕の妹のアリアンロッドはお転婆で生意気な女の子だった。
「私、お兄様の事好きよ!だからお兄様と結婚してあげても良いのよ!」
「………アリアンロッド、僕らは兄妹だよ。」
「お兄様知らないの?この国では血が繋がってなければ結婚出来るのよ!」
「………実際僕らは血が繋がってないけどアリアンロッドの事は妹にしか見れないよ。」
「いつか、もっと良い女になってお兄様を振り向かせてみせるから覚悟しててね!」
いつもそんなことばっかり言って流行り病を煩っても生意気ばかり言っていた。
「お兄様、お父様、夢を見たよ。ディオプロセフ様が出てきてね。私を復活の木のてっぺんに連れていってくれるって………だから私が死んだら私の体が欲しいって………ディオプロセフ様ってば助けたい人が居るんだって………彼女とっても素敵なの天使様みたいな女の子なの………きっとお兄様も好きになっちゃうと思う………だから彼女に優しくしてあげてね。」
僕と父上は彼女の夢の話だと高を括っていた。
眠ってしまった彼女をおいて少しはなれた隙に彼女は旅立ってしまった。
アリアンロッドが言った通り天使のような白い肌に黒い流れるようなロングヘアー漆黒の瞳のあの子があらわれた。
髪の毛や瞳の色はその人の魂に刻まれた色だと言われているから、アリアンロッドの体にはもうアリアンロッドでは無い誰かがいると言うことが解った。
最初に見た彼女の綺麗な土下座に度肝を抜かれた。
何だか力が抜けてしまったんだ。
アリアンロッドは彼女に優しくしてほしいと言った。
アリアンロッドは彼女に体を明け渡し、転生するために復活の木へ向かったのだ。
「………復活の木は死者が魂となった時に招かれる。根っ子に取り込まれれば前世で過ちを起こした事となり、てっぺんまで行ければ生まれ変わるために天界に連れていってもらえるらしい。悪いことをすればするほど根っ子の深いところに取り込まれる、そのため下手をすると下界に落ちて魔物になると言う………」
「ハイ!お兄様先生!」
「………なんだい、アリアンロッド君?」
「この世界には葬儀がありますか?あるならお嬢様の葬儀はしないのですか?」
「そうだね!良い質問だ………葬儀はある。けど、誰もが認める良い人なら軽く重罪をおこしたものは盛大にやるんだ。意味が解るかい?」
「………解りません。」
「ようは、この人は誰もが認める良い人だから復活の木の上の方に行けると思う人には頑張って生まれ変わってね!って送り出す。重罪をおこしたものはあんなことしてしまったけど、こんなに人に愛されて居るんだから少しでも上の方に上がれますようにって願いが込められるんだよ!アリアンロッドはディオプロセフ様からてっぺんを約束されていると言っていたから、頑張れって気持ちを皆が持つだけで十分なんだよ。人が死んだのに葬儀をしないって最高の良い人の証なんだ。他に質問は?」
「お嬢様はディオ君に会っていたんですか?」
「夢の中に出てきたと言っていたよ。だから君を受け入れた僕と父上とスキロフとケーシーは君が来ることを知っていたんだよ!」
アリアンロッドが言っていた通りかも知れない。
僕は彼女に引かれている。
珍しい肌の色も瞳の色も髪の色もすべてが教会の壁画に描かれている天使様にそっくりだ。
たしか勇者も似た色をしていたが肌の色は僕らとさほど代わらなかったように思う。
「お兄様は今おいくつですか?」
「僕は19歳だよ。魔法局で魔導師をしている。これでも優秀な魔導師なんだよ!魔王討伐のメンバーだったんだから!」
「魔王。」
「そう、2週間ぐらい前に帰ってきたばかりだよ。」
「………勇者。」
「勇者に会いたい?」
「………そうですね。少しだけ。それよりはディオ君に会いたい気がします。」
「ディオプロセフ様?」
「私にこんな素敵な家族を与えて下さった方ですからお礼を。」
ああ、この子は本当に可愛い事を言う。
「じゃあ、神殿に行こう。神官長をしている男はアリアンロッドの幼馴染みなんだよ。きっと通訳してくれる。」
「………はい。」
「その前に君の肌も髪も瞳も珍しいから魔導師のマントを貸してあげるよ。」
「はい。」
彼女には可哀想だが少しの間我慢してもらうとしよう。
神殿につくとすぐにしたっぱの神官が慌てたようにあらわれた。
「イディオン様!」
「ルーニベルグは居るかな?」
「神官長様が………」
神官はチラリとアリアンロッドを見たのが解った。
「天使を連れてきただけだよ。」
「て、天使様ですか?」
「………」
彼女は僕の洋服の袖をキュッとにぎった。
彼女はどうやら怯えているみたいだ。
「大丈夫だよルーニベルグは気の良いやつだから。」
彼女が安心出来るように彼女の手を握ると彼女は僕の手にもう片方の手も重ねた。
………なんだこの可愛さは?
僕が彼女の可愛さに胸キュンしている間に神官の後ろからルーニベルグがあらわれた。
「イディオン!お前だけなら何も言わないかアリアンロッドは帰らせろ!」
「悪いけど、今日はこの子がメインなんだよ!ディオプロセフ様に彼女を会わせないと。」
「ディオプロセフ様と対話出きるのは俺だけだ!」
「うん、だから通訳してくれる?」
「……何を話す気だ。」
「アリアンロッドがどうしてもお礼が言いたいらしい。」
「?」
「良いから良いから!」
僕はルーニベルグの背中を押して神殿の中を急いだ。
彼女が小走りに後ろを付いて来るのが見えて微笑ましく思えた。
神殿の一番奥の祈りの部屋に勢いよく入ると壇上に一人の男が立っていた。
海と空のような男だと思った。
年のころは20代ぐらいだろうか?
「待ってたよ。」
「………ディオ君?」
彼女の声が聞こえた。
「あの人がディオプロセフ様?僕まで声が聞こえるけど?」
「あんなにハッキリ姿を表されたのは初めてだ。」
ルーニベルグも驚いている。
「時雨ちゃん!」
「だ、騙された!ディオ君は小さな子供じゃないの?」
「だってこの姿で会ったら時雨ちゃん僕の事警戒したでしょ?」
「だ、だって、そ、それに!人様の体にお邪魔するなんて聞いてない!」
「アリアンロッドちゃんはすでに天界に行ってるから安心して!」
「でぃ、ディオ君!」
彼女が叫ぶとディオプロセフ様はフワリと浮き上がって彼女のもとに飛んできた。
「ごめんね。でも、時雨ちゃんには早く幸せになって笑って欲しい。あんな家族のいる世界より僕の目のとどく所で幸せになって欲しかったんだよ。」
「ディオ君。」
「運が良いのか悪いのか、アリアンロッドちゃんはもう虫の息だったしアリアンロッドちゃんは家族に愛されて幸せだった。時雨ちゃんには家族に愛される事を知って欲しかったんだよ。」
「ディオ君、ありがとう。でも、ちゃんと説明してくれないと解らないよ。」
「ごめんね。」
ディオプロセフ様はそう言うと彼女にキスを落とした。
!!!
俺は勢いよく彼女を引き寄せていた。
彼女の被っていた魔導師のマントのフードが外れて彼女の白い肌が赤く色付いているのが解ってイラッとする。
「彼女はもう僕の妹です。不用意に触らないでもらいたい。」
「………時雨ちゃんは僕が連れてきたのに~。」
ディオプロセフ様は神様とは思えないような顔で口を尖らせて不満げだ。
「彼女はシグレではなくアリアンロッドになったのです。いくら神でも妹に手を出すことは許さない!」
「ちぇ~でも、時雨ちゃんを大事にしてくれるならちょっとぐらい我慢するよ!」
「………ディオ君、我慢ってなに?」
「本当は時雨ちゃんには僕と一緒に居て欲しいんだけどね。」
「?」
「時雨ちゃん大好きだよ。」
僕は全身の毛が逆立つような気がして彼女を抱き締めた。
「イディオン君!狡い!」
「もうここには近寄りません!アリアンロッド、帰るよ!」
「え、お兄様?………ディオ君、またね!」
「うん!またね!時雨ちゃん!」
僕は彼女を引っ張ってその部屋から飛び出した。
今までに感じたことのない感情だった。
「イディオン!アリアンロッドが死んだとはどう言う事た。」
僕達を追いかけてきたルーニベルグに苦笑いを浮かべた。
「さっき聞いた通りだ。アリアンロッドが死に今はシグレと言う少女の魂が入ってる。」
彼女はルーニベルグに頭を下げた。
「時雨ともうします。アリアンロッドさんの体をお借りしています。」
「し、白い肌に黒髪、黒目?」
「彼女は家の天使だ!だからディオプロセフ様にだって渡さない。」
「お兄様………何で天使って言うのか聞いても良いですか?」
彼女の言葉にルーニベルグが言った。
「ついてこい。」
ルーニベルグは彼女を連れて壁画の所に向かった。
いつみても美しいと思う壁画。
白い肌に漆黒の髪の毛に黒曜石のような瞳に真っ白な羽根を広げた天使の壁画を見つめる彼女が壁画の天使とそっくりだと思った。
「私の世界の天使とは違います。」
「そうなの?」
「私の世界の天使は金髪でパーマがかかったチリチリ髪です………たいてい子供の姿をしています。」
「………肌の色はどうなんだ?」
ルーニベルグの言葉に彼女は言った。
「天使様は白い気がします。私の世界では肌の白い人も黒い人も居ました。私の住んでいた国では白より黄色っぽい人が多いです。」
「………触ってみて良いか?」
「へ?」
「駄目に決まってんだろ?ルーニベルグ、殺すよ!」
「………冗談だ。………君の事をなんと呼べば良い?」
「………アリアンロッドとお呼びください。お兄様もお父様も私をアリアンロッドとして生きる事を進めてくださったので!」
「………アリアンロッド、いつでも好きな時にここに来ると良い。」
「ありがとうございます!………こんな時は笑った方が良いのでしょうが私は笑う事が出来なくて………不愉快な気持ちにさせてしまったらごめんなさい。」
アリアンロッドは困ったような顔でそう言った。
もう笑うとか笑わないとかじゃなくて可愛い。
「大丈夫だ。気にしない。」
明らかにルーニベルグが彼女に興味を持ってしまったようだ。
「アリアンロッド、帰ろうか?」
「はい。お兄様。」
少しだけ弾んだ声になった気がしたのは僕の願望だろうか?
帰り道僕は彼女を気遣いながら言った。
「ルーニベルグは苦手かい?」
「へ?………ちょっとだけ。」
「………ディオプロセフ様とは仲良しみたいだったね。」
「………ディオ君も少し苦手です。お兄様。」
「?」
「助けて下さってありがとうございます。危うくキスされちゃうかと思いました。」
してなかったんだ。
ものすごく安心している自分が可笑しくて笑ってしまった。
「神殿に行く時は僕も一緒に行くから、どうしても行きたい時は言うんだよ。」
「はい。お兄様。」
彼女はコクりと頷いて本当に可愛かった。
僕は言い知れぬ独占欲を彼女に悟られないように笑顔を作るのだった。
あ、あれ?
お兄ちゃんヤンデレじゃ無いよね?
………無いよね?




