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生け贄

スキロフさんの見た目を灰色の髪と犬耳、眼鏡にしました。


「アーリーちゃん!遊びましょう!」


朝から突然響いた声に私は、飛び上がった。

女の子の声だった。

彼女だ。

わたしがソワソワするとスキロフさんがかけていた眼鏡をくいっと上げた。


「自分が行ってまいります。」


朝食を食べていた途中だったため、お父様もお兄様も一緒に居るからスキロフさんは丁寧な言葉でそう言って部屋を出ていった。

私は、挙動不審にまわりをキョロキョロしてしまった。


「天使様。そんなに気になるのでしたら私が見てまいります。」


ケーシーさんがクスクス笑いながらそう言ってくれた。

ケーシーさんが出ていくと私は、急いで朝食を食べ終えた。


「シグレ、そんなに心配しなくてもスキロフは一流の番犬だから大丈夫だよ。」

「ば、番犬?」

「そう、獣人の中でも限られた者しか番犬の称号は与えられない特別な執事なんだよ。」


お兄様の言葉に安心して良いのか解らない。


「そんなことより今日は僕お休みだからシグレ、一緒に出掛けしないかい?」

「お出かけですか?」


スキロフさんが大丈夫か気になって出かける気には今はなれないですよお兄様。

私がそう言おうと思って口をひらこうとするとスキロフさんとケーシーさんが眉間にシワを寄せて帰ってきた。


「どうした?」

「彼女には話が通じないので叩き出してもよろしいでしょうか?」


スキロフさんの言葉に沈黙が流れた。


「わ、私………大丈夫です。愛子さんと会いますよ。」

「「それは駄目です!」」


スキロフさんとケーシーさんが、ハモった。


「あんな話の通じない相手を長時間アリアンロッド様と一緒にするなど、自分が絶えられません!」

「お願いでございます!ご自分を大事にしてくださいませ!」


二人は彼女とどんな話をしたのだろう?


「スキロフも大変だね。」


お兄様がスキロフさんに笑顔を向けるとスキロフさんは良いことを思い付いたように言った。


「イディオン様、たしか今日は休日でしたね?」

「………嫌な予感しかしないよ?」

「アリアンロッド様は大好きな勉強の時間がこのあと立て込んでいます。イディオン様は今日の予定はありませんでしたよね。都合が悪くなれば直ぐにでも魔法陣で逃げ出せるじゃないでしょうか?」

「スキロフが行けば良いんじゃないかな?」

「自分はアリアンロッド様の講師兼執事でございます!アリアンロッド様のお側を離れるわけにはいきません。」


お兄様は恨めしそうにスキロフさんをにらんだ。


「お兄様に迷惑をかけるわけにはいきませんから、私が。」


自分の席から私が立ち上がると、お兄様は慌てて言った。


「いや、僕が行くよ!シグレはお勉強が楽しいんだよね?」

「………はい。」

「なら、彼女の事は僕にまかせて良いよ。」

「あ、ありがとうございます。」


私は、お兄様の優しい笑顔に安心して笑顔を返した。

お兄様は目を見開いて真っ赤になった。

そんなお兄様を見てお父様がお腹を抱えて笑いをこらえていた。


「シグレ笑えるようになったんだね。」


お兄様は安心したように笑った。

顔は赤いままだ。

顔が赤くなるほど喜んでくれるならもっと早く笑えたら良かったのに………私の表情筋のポンコツ!

私は、心のなかでそう呟いていた。


「天使の笑顔を見たんだ、何だって我慢できるよ。頑張ってくるね。」


お兄様はそう言うと愛子さんのもとへ向かった。


「スキロフ、君の誘導は素晴らしいの一言につきるね。」

「お褒めにあずかり光栄にございます。」

「………私にはイディオンが生け贄の様で面白かったよ。」

「………」


お父様はクスクス笑った。

スキロフさんはふくみのある笑顔を浮かべるだけだった。

お、お兄様、ごめんなさい。

私は、そう思わずには居られなかった。

スキロフさんめお父様も腹黒っぽくなったな~。


次は愛子さん目線かな?

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