39-小休止-
3日後、つまり5月8日。それが選挙最終戦の日に決定して副会長としての闘いは幕を閉じた。
シオさんは相変わらず気絶したままではあったが、しばらくすれば元に戻るだろう。
「だよな?」
「だよな? って……君がやったことに対して僕に同意を求めないでくれよ」
「……」
俺は冷や汗を浮かべて黙り込む。隼人はその黙り込んだ僕を見て、焦った顔を浮かべた。
「……まあ心配しなくても大丈夫だろう」
「根拠ないだろ、その解答」
俺の発言に隼人は少し口調を強めて、突っ込む。うん、そこは流してほしかったところだ。
「3日もあるから大丈夫だろ」
「根拠がない」
「そこは……まあ、無視しておいてくれよ」
「……ったく」
彼はそう言って苦笑いを浮かべた。
「面倒なことになってしまったね」
「あの男が関わっている、この選挙自体がいったい何を示しているのか……それが分からない限りいつまでも安心はできないな」
「選挙自体に関与しようとはしていないからいいんじゃないのかい?」
「今回干渉してきたぜ?」
「……聞いてないんだけど」
「え、言ってなかったか?」
隼人の発言に俺は逆に疑問を発する。
そういや言ってなかったような気がする。
「タイミングを失っていたのかもしれないな!」
「大事な問題だぜ、それは。本当にあの男は僕らか向こう側のどちらかに勝たせようとしているのかもしれない」
「シオさんの記憶の方を壊したってことは、俺に勝たせたかったってことなのかな?」
「むしろリミットを外して、君を殺すぐらいのつもりで戦わせたかったということになるかもしれない」
「……」
「そう。どっちが正解かもわからないよ」
隼人はそう言って校舎を出ていった。俺もついていくように昇降口に向かった。
救急車があわただしく出入りする学校をを見に来ていた野次馬の視線を無視して校門をくぐり、足早に学校を出ていった。
「嘉島」
家に帰り、部屋でベッドに寝転んでゆっくりしていると突然海馬が現れた。
「どうした? 海馬」
「訊きたいことがある」
海馬はそう言って俺の勉強机の椅子に座る。
「何だ? 訊きたいことって」
「シオさんは……どうしたんだ」
ああ、その話か。
「分からない。けどしばらくすれば戻るだろうし、何かきっかけがあれば目を醒ますかもしれない」
「きっかけ?」
「気絶はしてるけど、脳が作用していない訳ではない。何かのきっかけで戻るかもしれない。大切なものとか……人とか」
「少し繋がるが話していいか?」
「構わないよ」
俺が少し隼人のように言うと、海馬は苦笑してその後、姿勢を軽く正した。
「一条寺先輩とシオさんの話だ」