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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
279/324

20-箱入れ-


 


『続いての箱はあちらです。校舎の方をご覧ください』

 放送は言った。

 ……。

 …………。

 ………………。

「は?」

 何も起きなかった。

『今回の箱はあなた方から見た校舎の裏側にあります』

「な……!?」

『映像も見せません。場所もお教えしません。但し、1つの球につき距離感をお教えします』

「……」


 つまり、1つボールを投げれば、落下地点との距離を教えてくれるというわけか。

『また、方法として発射台を用意しました。ご自由にお使いください』

 という放送とともに、地面からバズーカの様なものが出てきた。

『では、開始です。サドンデスルールです。先に居れた方の勝利ですので、先攻後攻はありません』

 放送はそこでブツリと途絶えた。

 ボールが飛び出す。

「じゃあ、さっさとやるか」

 華壱は言って、サッカーボールをバズーカの中に入れた。

 そして速攻で放つ。


 屋上を飛び越して校舎の裏に。

『目標の箱まで、10メートルです』

「ちぇ……もう少し遠くかぁ」

 華壱は言う。

 次の瞬間には、素早く新たな球を入れて発射した。

 ほぼ同様の、それでも遠くへとボールが飛んでいく。

『目標の箱まで、7メートルです』

「さっきより伸びたな。着実に場所には近づいている……」

 華壱は言って、またボールを用意しようとしている。

「雅!急げ!」

「分かってますよ」

 雅は言って、すぐに一回転してサッカーボールを投げた。

 遠心力+スパイラルで、勢いだけは良い。

 そして距離としても申し分ない。

 が、方向が少しくるっている。吉と出るか凶と出るか……。


 ボールはまた校舎裏へと消えていった。


『目標の箱まで5メートルです』



「近寄った……!!」

 が、これがあまりいいこととは言えない。

 なぜなら華壱にヒントを与えてしまったわけだから――。

「今、華壱にヒントを与えたとか思ったか?」

「……え?」

 一条字先輩が言う。

「甘いな、嘉島奏明」

「どういう――」

「王城隼人、貴様ならわかっているのではないか?」

「……」

 隼人は黙って俺の方を見た。

「相手は測定器。合計3つの距離情報があればある程度の位置予測はつく。それに風の流れとかをうまく感じることが出来れば、どこに何があるかとかもわかるんだろう」

「ってことは――」

「あと一発撃てば、恐らく華壱君は入れてくる」

 そう言って隼人は唇をかみしめた。

「……雅なら何とかしてくれる」

 俺はそう呟いた。

 それは悲痛の叫びや期待にも似ていたと思う。

「……」

 雅は固まって動かなかった。

 雅の脳の回転ならば、隼人と同じことに気付いたのだろう。

「俺の勝ちだぜ」

 華壱は笑った。


 次の瞬間、華壱が放ったボールは、箱に入った。


 勝敗は決した。


『勝者は、華壱 匁 です』


 放送は言い放った。



 劇的ってこういうことだろ?


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