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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
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19-箱入れ-


 激戦や接戦という言葉がしっくりくるような気がした。


 最後の箱。


 残す勝負はそれによって決められることとなった。


 同点になれば、恐らく引き分けではなくサドンデス。


 つまり、雅が入れさえすれば勝ち。


『ご覧ください』

 と、放送が言った。

 瞬間だった。

 何かが飛ぶ様に過ぎていく。

「!?」

 それが2人の周りをくるくると回る。


「これは……箱?」

 どうも今回の箱は超高速で動き続けるようだ。


「……」

 不規則に。

 眼にもとまらぬ速さで、

 その箱は動き続けていた。


『今回は先攻後攻は関係なく、先に入れた方を勝者とします。弾数は一人10個までです』

 放送が言う。

『準備ができ次第、報告お願いします』

 と、続けた。


 この勝負。


 初めて雅に有利な勝負運びとなった。

 なぜなら、今回は測定によって何とかなる問題では無い。

 ともすれば動体視力とタイミング。

 それなら華壱より雅の動体視力の方が勝るだろうし、タイミングに関しては持ち合わせたダンスの力で大丈夫のはず。


 ならば、この勝負もらった――。


「早く始めましょう」

 雅が言う。

「そうだな」

 華壱も言った。

『では、開始してください』

 言った瞬間にボールが飛び出す。

 雅は野球ボール。

 華壱はバスケットボール。

 お互いボールを手に取り――。



『終了です』


 放送が言った声に驚く。

 いや、放送の声に驚いたわけではない。

 正確には、もうすでに驚くべき事態にはなっていたのだ。


 ボールを受け取った瞬間、華壱は躊躇なくボールをすぐさま投げたのだ。

 そしてそのボールは見事箱の中に入った。


「な……!?」

 どういうことか、判断に迷う。

 いったい、どうやって……。

「測定器だ」

 隼人が言った。

「どういうことだ?」

「測定っていう言い方をしているけど、要は『計算機』だ」

「計算機……」

「つまり、あの無秩序に動いているように見える箱に法則性を見つけた、そういうことだろう」

 隼人は言って、正面を見る。


「悪いね、雅」

「いえ、流石です」

「さて……サドンデスの始まりだ」


 そうは言ったものの、このサドンデスが始まりそうな雰囲気の中、次の箱で勝敗は決まるのだった。

 それはあまりにも無理難題で越えられないような箱だった。


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