16-箱入れ-
テスト終了!
一気に行くぜ!
秒差1秒間隔以内で8つの窓にボールを投げ入れる。
つまり、1つのボールが入ってから1秒以内に全ての窓にすべてのボールを入れること。
それが今回のルールということだ。
「じゃあ、さっさとやろうか」
華壱はいきなり言った。
「こんなことができるのか?」
「一気に8個のボールを投げ飛ばすことが可能ならば、ね」
隼人はそう言って笑った。
『では開始します。華壱さん、お願いします』
「あいよ」
ボールが一気に8個出てくる。
全てラグビーボールだった。
「……計算式を発動する」
華壱は呟く。
「計測開始……が…………だから……で…………」
「どうするつもりだろうな?」
「さあ。方法はいくらでもあるだろ」
隼人は言って笑う。
どうしてこいつは危険になればなるほど笑顔を見せるのだろう。
よくわからない性格であること限りなし。
「いっくぜえええええ!!」
華壱は叫んだかと思うと、全てのボールを様々な方向から蹴りまくった。
それぞれが一見乱雑に飛んでいく。
が、それらはすべて、窓に向かって飛んで行っているのが分かる。
「計算……じゃない」
「そうですね。あれが華壱様の素晴らしいところでございます」
楊瀬さんが言う。
「今まで培ってきた経験と予測……それと、計測結果と計算。そして繊細で微妙な調整までこなす、それが彼なのです」
その言葉を待っていたかのように、
すべてのボールが吸い込まれるように窓の中へと入っていった。
『秒差0.71。クリアです』
華壱は見事にすべての箱にボールを入れて見せた。